経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

右脳に訴えかける

2007-01-08 | 書籍を読む
 お正月休みの間に、「コンサルタントの現場力」と「人は見た目が9割」を読みました。違うジャンルの本ではあるのですが、「プロの仕事」やコミュニケーションスキルという点で共通のものが感じられて、なかなか面白かったです。
 「コンサルタントの現場力」のほうは、優れたコンサルタントは「左脳で仕組み、右脳で仕掛ける」という説明がなるほど、という感じでした。左脳を駆使した精緻な分析は大前提になるものの、コンサルの実効性を高めるためには右脳を刺激するような伝え方が必要だ、というものです。
 「人は見た目が9割」のほうでは、内容は題名そのままのイメージとはちょっと違っていて、ノンバーバル(言葉によらない)コミュニケーションの重要性を説いています。こちらで興味深かったのは、そのノンバーバルコミュニケーションが、実は「技術」(マンガの描き方や舞台俳優のちょっとした仕草etc.)によってかなりコントロールできるということです。
 この両者を読んで考えたことは、
物事を実現するためには右脳に働きかけることが有効であり、その背後には左脳を駆使して積み上げられた理論・技術が必要とされる。
 同じことを逆に言えば、
何かを実現しようと思えば、まず左脳を駆使した理論構成が前提となり、その上で右脳に訴えかけるような実践が必要になる。
ということです。
 知財業務を強化しようとするとき、精緻な分析や戦略の立案は大前提として必要なことですが、それを絵に描いた餅に終わらせないためには、どうやって浸透させるか、現場のメンバーを動かしていくことができるか、という右脳に働きかける部分が、実は一番大切なことであるように思います。特許戦略ということを考えてみても、事業戦略との整合を考える、戦術的にはこういう方法がある、といったことを検討する段階よりも、それをどうやって実践するかというところが本当はネックになっていることが多く、そういう意味ではこの2冊の本には「実践」のために必要なヒントが隠されているような気がします。