本年6月に出版されたばかり、内容もホットイシューな本書は、全国区の選挙として初めて18歳選挙権が適用される参議院選挙を直前に控え誠に旬なトピックということで早速参院選前後に通読させていただきました。主に18、19歳の有権者とその予備軍、そしてその親御さんを想定して書かれたもので、内容としては、我が国の政党政治や普通選挙の歴史、選挙の制度や現状、候補者の選び方、選挙と政治とお金の問題、ネット選挙において有権者が注意すべき点、また、国会議員やその秘書の日常、国会質疑の仕組みや裏側などについて、与野党各党の政策担当秘書さんたちがわかりやすく記してくれています。ただ、お若い方だけでなく、選挙権を持って久しい方々が読んでみてもあらためて選挙や政治について認識を深める、あるいは改めることができること請け合いだと思います(全285頁)。
より具体的には、いわゆるシルバーデモクラシー、組織票が議員の行動に与える影響、いわゆる「文春砲」のような雑誌のスキャンダル記事の裏側はもちろんのこと、政治家側の悩みとして、具体的な政策提言や対案等を出し、かつ政府提出法案の8割近くに賛成しているにもかかわらず、それがメディアに報じられないがために「ただ批判と反対ばかりしているじゃないか!」と受け取られてしまう野党サイドの悩み、そして、これは与野党問わずですが、日々どれだけ懸命に真面目に活動しようとも、メディア側が「公平性」の観点から取り上げにくいためニュースに乗らず、結果としてそうした地道な取組みが有権者に知られることがない政治家の悩み(=テレビに出演している政治家が必ずしも「働いている」わけではない)といったあたりはもう少し広く知られるべき点かもしれません。
個人的にも、前回の都知事選におけるクラウドファウンディングを使った選挙資金集めの実例、いわゆる「青木の法則」=元自民党参議院議員会長の青木幹雄さんの経験則で「内閣支持率と(政権与党の)政党支持率の合計が50%を切ると内閣は退陣に追い込まれる」というもの、新聞や雑誌における選挙情勢の表現ぶり(当選可能性が高い順:安定⇒優位⇒一歩リード⇒横一線⇒大接戦⇒猛追⇒追う⇒伸び悩む)、メディアが報じたいのは「いままでにない新しい情報」「国民の間で意見が割れている争点・論点」であること、といったあたりは大変興味深く読ませていただきました。また、復習と言う意味でも、民主主義や立憲主義の本来の意味、選挙の5大原則(普通選挙、平等選挙、秘密選挙、直接選挙、自由選挙)、いわゆる「55年体制」以降の我が国主要政党の離合集散ぶり、そして、かつての中選挙制度から小選挙制度に変更した目的とその結果生じた変化についての分析あたりも勉強になりました。
そして、最後に本書の中で重みのある指摘として挙げておきたいのが、「有権者も『政治家や政党を育てる』視点を持つべきという指摘、そして、名著「職業としての政治」を記したマックス・ウェーバーの「一国の政治の質は、その国の民度の域を出ない」と言う言葉(これは「日本の政治はダメだ!」と吐き捨てた時、実はそのダメな日本の政治というのは我々ダメな国民の写し鏡なのだ、という大変厳しい、しかし本質的な指摘)、そして、約100年前の合衆国の政治家ジェイムズ・ポール・クラークの「政治屋(politician)は次の選挙のことを考える。政治家(statesman)は次の世代のことを考える。」という3つの言葉でした。今回の18歳選挙権について、世代間格差是正の観点から個人的には大賛成です。そして、その10代の皆さんの今回の実際の投票行動がどういったものだったかについては、与党支持が多かった等の大まかな情報は既に流れてきていますが、もう少し時間を置いて明らかになるであろうより詳細な情報についても今から非常に興味を持っています。
より具体的には、いわゆるシルバーデモクラシー、組織票が議員の行動に与える影響、いわゆる「文春砲」のような雑誌のスキャンダル記事の裏側はもちろんのこと、政治家側の悩みとして、具体的な政策提言や対案等を出し、かつ政府提出法案の8割近くに賛成しているにもかかわらず、それがメディアに報じられないがために「ただ批判と反対ばかりしているじゃないか!」と受け取られてしまう野党サイドの悩み、そして、これは与野党問わずですが、日々どれだけ懸命に真面目に活動しようとも、メディア側が「公平性」の観点から取り上げにくいためニュースに乗らず、結果としてそうした地道な取組みが有権者に知られることがない政治家の悩み(=テレビに出演している政治家が必ずしも「働いている」わけではない)といったあたりはもう少し広く知られるべき点かもしれません。
個人的にも、前回の都知事選におけるクラウドファウンディングを使った選挙資金集めの実例、いわゆる「青木の法則」=元自民党参議院議員会長の青木幹雄さんの経験則で「内閣支持率と(政権与党の)政党支持率の合計が50%を切ると内閣は退陣に追い込まれる」というもの、新聞や雑誌における選挙情勢の表現ぶり(当選可能性が高い順:安定⇒優位⇒一歩リード⇒横一線⇒大接戦⇒猛追⇒追う⇒伸び悩む)、メディアが報じたいのは「いままでにない新しい情報」「国民の間で意見が割れている争点・論点」であること、といったあたりは大変興味深く読ませていただきました。また、復習と言う意味でも、民主主義や立憲主義の本来の意味、選挙の5大原則(普通選挙、平等選挙、秘密選挙、直接選挙、自由選挙)、いわゆる「55年体制」以降の我が国主要政党の離合集散ぶり、そして、かつての中選挙制度から小選挙制度に変更した目的とその結果生じた変化についての分析あたりも勉強になりました。
そして、最後に本書の中で重みのある指摘として挙げておきたいのが、「有権者も『政治家や政党を育てる』視点を持つべきという指摘、そして、名著「職業としての政治」を記したマックス・ウェーバーの「一国の政治の質は、その国の民度の域を出ない」と言う言葉(これは「日本の政治はダメだ!」と吐き捨てた時、実はそのダメな日本の政治というのは我々ダメな国民の写し鏡なのだ、という大変厳しい、しかし本質的な指摘)、そして、約100年前の合衆国の政治家ジェイムズ・ポール・クラークの「政治屋(politician)は次の選挙のことを考える。政治家(statesman)は次の世代のことを考える。」という3つの言葉でした。今回の18歳選挙権について、世代間格差是正の観点から個人的には大賛成です。そして、その10代の皆さんの今回の実際の投票行動がどういったものだったかについては、与党支持が多かった等の大まかな情報は既に流れてきていますが、もう少し時間を置いて明らかになるであろうより詳細な情報についても今から非常に興味を持っています。
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