赤い彷徨 part II

★★★★☆★☆★★☆
こんにちは、アジア王者です。↑お星さまが増えました。

【本】坂の上の雲(一)(二)/司馬遼太郎

2009-11-26 07:46:34 | エンタメ・書籍所感
NHK大河の後枠で「坂の上の雲」が放送されると初めて知ったのは昨年の師走に横須賀の記念艦三笠を訪れた際だった。いよいよその放送も始まるようなので、学生時代に読破した原作を再読し始めた。文庫本で8冊にも渡る長編なのだが、いや司馬遼太郎の作品には10年以上ぶりでもやっぱりひきこまれてしまうもので、一度読み始めるとあっという間に夢中になってしまう。

言わずと知れた、日露戦争において、それぞれ陸軍、海軍で目覚しい活躍を遂げた秋山好古、真之の兄弟と、そして近代短歌・俳句の革新に短い生涯を捧げた正岡子規の3名を主人公に、維新直後からの激動の明治日本を描いた長編小説。1、2巻は、日清戦争後にじりじりと日露戦争に向かって時を刻み始めるところまでが納められている。今回あらためて感じたのは、「ちなみに」、「余談だが」というくだりの多さ。年を経ることにヲタ化がじわじわ進行しつつある自分的にはアドレナリン分泌を促進する「魔法の接続詞」なのかもしれない。

そして教訓めいたこととして印象深かったのは秋山真之の才能についてのくだり。日露戦争で連合艦隊参謀として作戦立案にあたり、大方の予想を裏切り日本を勝利に導いた秋山真之だが、彼は天才ではなく、彼自身の言葉を借りれば「物事の要点をつかむ能力と、不要不急のものは切り捨てる大胆さ」だけが問題なのだという。要点の発見法は、過去のあらゆる型を見たり聞いたり調べることであり、海軍兵学校の試験対策から鍛え上げたものなんだとか。「不要不急のものは切り捨てる」ってのは時節柄あっちを思い出しちまいますが。

そして時節柄と言えば(?)、一番印象に残ったのはドイツ人についての考察を箇条書きにて。

・物事を論理的に追求していく能力の高さとその構成力の堅牢さはゲルマン人の国民性とでもいうべきもの。
・その能力が科学に向かうとき、恐るべき効果を発揮する。
・しかしながら、その裏で、この論理好きは形式好きになり、それが軍隊にあてはめられるときに弊害も多い。
・どの国の軍隊でも、軍隊は規律をもって生命としているが、ドイツ軍隊にあってはそれが極端であり、規律美のためには他の重要なことでも当然のように犠牲にする。

いえ、まったくもって他意はありません(笑)が、何となく頷けるような、頷けないような・・・。

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