ペルーには、意外と<占い師>が多い。
地方の開けていないところから、首都リマまで満遍なくいる。
大体は、ペルー北部の占い師が有名。
呼べば出張もしてくれる。
ほとんどがタロットをつかう。なかには、悪魔よけと言われるアロエの葉なども使う。
占いばかりではなく、病気治しや、呪をかける、呪を解くことまで幅が広い。
もちろん、どちらか一方だけを専門に扱うひともいる。その場合は呼び名がちがう。
占い師の年齢層も様々で、20代前半から年寄りまでいる。
看板をかけて宣伝はしない。口コミだけだ。
呪は、占い師によって違うが、動物の屍骸をつかって、行う。
効果のほどは知らないが、風聞では恐ろしいまでの力があるという。
そんな人に一度、会ってみたいと願っていたが、今日まで会えない。
頼むと、けっこうなお金がかかる。
本人から直接話を聞いたが、
毎晩、幽霊に悩まされていた日系人がいた。
幽霊は男のようで、乱暴までするという。
朝起きると青あざがカラダにできている。
頭がおかしくなりそうだと、教会の神父さんに頼んだ。神父さんがお祓いをしてくれたそうだが、効果がない。それで、
有名な人にお祓いを頼んだ。が、やはり効果がなかった。
1年ほどあちこち有名な教会や専門家に頼んで御払いをやってもらったが、効果はなかった。
これだけで、財産をほとんど遣ってしまった。
こういうときは、逃げるが一番と、家を逃げ出したそうだ。
友人の一人が呪をかけられた。
体調が優れないので、おかしいと思っていたという。
ある日、マーケットを買いものでブラブラしていると、急に呼び止められた。
「あんた、そのままでは殺されるよ」
友人が見ると、おまじないで使う香料などを売っている店の女性がだった。
「呪をかけられているから、すぐ解かなければあぶない」
とその女性が続けた。
友人は、バカバカしいと思いながら話を聞くと、夜、呪を解きにいくという。
その夜、友人は普段どおりベッドに入ると、耳元で、
「チョキ、チョキ、チョキ」
とハサミで布を切る音がしたという。変だなと思っていると、昼間の女性の言葉を思い出した。
「今夜、呪を解きにあなたの家まで行く。ハサミを使うが、そのまま横になっていればいい」
友人は、半信半疑で、その音が鳴り止むのを聞いていたという。
その後、体調も回復した。
以来、友人は占い師のことを決してバカにはしなくなった、という。