ペルーの治安が悪い時代、現大統領の、前回の政権のときだった。
テロの跳梁跋扈はすざまじかった。
当時、仲のいい友人が誘拐された。
家族からすぐ連絡が、入った。誘拐されると言う覚悟をしていたが、とうとう事実になってしまった、と悲愴な声だった。
僕にはかける言葉も無かった。
テロリストは、目的の人物の行動パターンを徹底的に調査する。1年に渡ることもある。
狙われたら、防ぎようが無い。
テロリストは、思想で動く。だから、誘拐してもやたら殺さない。
半年や1年は幽閉されるが、友人はひと月も満たないうちに解放された。
後で話を聞くと、一週間目から、テロリストは優しく接してくれたそうだ。
彼らの要求は、
お金と指定された住民への食料の配布などだった。
毎日が危険と隣りあわせだった。
また最近、テロリストが出てきた、と話を聞いた。悪夢の再現かもしれない。
思想的なものなのか、それとも単にテロリストを標榜しているだけなのか、不明だ。
多分、想像するに、思想的なテロリストの名前をかたっているだけだろう、と思う。
20年前、30年前はペルーは、貧富の差が激しすぎた。
思想的なテロリストがいつ出てもおかしくない状況だったが、
組織化が進んだのは、1985年と、他の国々に比べて遅すぎる。
これは、しかし、なぜ遅かったのか研究に値するテーマだと思うが、明確な回答は、まだ分からない。
現代のペルーは、思想的なテロリストがまた組織されるような状況にはないと、考えているが、
貧民層が、再び増え、虐げられるような社会になれば、また出現してくるだろう。
そして、これは、けっして他国のことではなく、日本でも同じだろうと思う。