銀座に行った。
松屋の角に、灰皿がある。よく見ないと灰皿とは気がつかない。
それを綺麗にしている初老の男。
僕はちょっと躊躇しながらタバコをだした。
脇でせわしそうにタバコをふかしているサラリーマンが二人。
女性が近寄って、タバコを取り出す。
普段着の男と、若い男が話しながらやってきた。
腕時計を覗いて、サラリーマンが吸殻を捨てて、先を急いだ。
女性は、ゆっくりタバコを楽しんでいるようだった。
僕は、二本目を点けて、また灰皿によってくる人々を眺めた。
3人の若い女性が、
「こんなところに灰皿がある。すってもいいんだあ」
といいながら、安堵の表情を浮かべた。
灰皿は分かりにくい。喫煙場所とも書いてはない。
無造作に、淋しくおいてあるだけだった。