ペルー人の友人と、電車に乗った。
外を見ている。
鉄橋をわたったとき、いくつかの青いシートを見つけた。
「あれはなんですか?」
「あれは・・・、ホームレス、ですね」
友人は驚いた。こんなにも豊かな日本に、家の無い日本人がいることが信じられない様子だった。
地方に行けば、家を失った外国人も多いことを、説明した。
さらに、
年老いた受刑者は、冷暖房の聞いた場所に、栄養を考えた食事を提供され、適度な運動や仕事まで与えられて、生活している。が、
何年も税金を納め、なにも悪いことをせずに、生きてきた人が、仕事を失って生活保護を訴え、
「おにぎり」を食べたい、と書置きを残してアパートで餓死する人も一方ではいることを、話した。
恐ろしいまでのブラックユーモアだ。
心の傷は、なかなか消えない。
傷を持たない人は、おそらくいないだろう。だれもが、受けた傷、与えた傷を心にもっている。
受けた傷は、信頼している相手から受けたのなら、なおさらきつい。
与えた傷は、認識できた場合のみ、傷として残るが、
知らず識らずに与えた傷のほうが、実は、多いが、気が付く人はいない。
受けた傷は、相手を許せるようになれば、あるいは自分次第で浅くなるが、
意識できる与えた傷は、年月と共に深くなるし、癒されることが無い。