ペルーに関わって、30年近くになる。
いいことも、不愉快なことも、悲しいことも、全て体験した。その上で、
ペルーが気に入っている。
昔、ペルーの北の町、トルヒーヨに車で行ったことがあった。
もう亡くなってしまったが、トルヒーヨ日系人協会に貢献した森田さんという人と知り合いになった。
僕よりも20歳くらい年上だ。
何度かお会いし、一緒にブラジルに行ったり、リマの町で寿司の食べ方を教えてくれと、カウンターに座ったことがあった。
森田さんは、時計屋を営んでいた。あるとき、
「時計はどれがいいですか?」
と訊ねると、
「修理をしやすいので、ロンヒーネス(ロンジン)がいい」
と教えてくれた。
それから、ロンジンを一つ買った。
森田さんが癌の病魔に侵され、余命半年と宣告を受けたと聞いたとき、悲しくて涙が止まらなかった。
森田さんの命日は、奇しくも僕の誕生日だった。
今回のペルーの最終日、友人たちと3人でコーヒーを飲んだ。いろいろと面白い話を聞いた。
お店はスターバックス。リマにはもうたくさんのスタバ店舗がある。
ガイドさんの話は面白い。いろいろなお客さんがいることを知った。
クスコは高地だから高山病の危険性がある。
とはいえ、高山病になりやすいか、どうかは多くの日本人には不明だろう。
だから、とりあえず、クスコまで飛行機でいく。
そこで初めて、高山病になる人がいる。高山病は甘く見ると酷い目にあう。
高山病がひどくなると点滴をほどこす。素直に受けてくれればいいが、なかなかペルーの医療を信じてくれなくて、困ることがある、と話していた。
中には、気を失って、朝起きてこなくて、救急病院まで運ばれる人もいる。ガイドさんは通訳で付いていくが、そのとき、患者の秘密まで知ってしまうので、これも困ると嘆いていた。
コーヒーを飲み終わって、
車で帰ったが、途中で、貴重品の入った荷物を忘れたことに気が付いた。
ペルーのレストランは、普通、イスにカバンをかけ、しかも鍵がついている。
それほど注意しなければ、食事中に誰かに盗まれてしまう、ということだ。
100%あきらめたが、友人たちが、とにかく戻りましょうと、
またスターバックスに行った。
この間、15分程度。
お店に行くと、当然、荷物はない。念のためにと、お店の人に訊ねると、
幸い、保管しておいてくれた。
パスポート、チケット、お金、全財産がそのまま残っていた。
有難いとは、有る事が難しいという意だそうだが、
本当に信じられないことが有った。有難かった。
旅行の最終日で、ヒッヤとしたが、またいい思い出になった。
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