2012年4月16日(月) 再びの桜花 その1
例年より、やや遅れたものの、今年も桜花の季節が巡って来た。春の訪れを、最も強く感じるのは、やはり、桜だろうか。昔は、梅と鶯も、春の使者として大事にされたようだが、現代では、こちらは、やや、縁遠くなっている。関東周辺の桜は、満開を過ぎて、桜前線は、北上中である。
以前は、桜の開花は、鑑賞用だけでなく、農作業や園芸の暦代わりにも使われ、桜が咲いたら、種を播いても大丈夫、などと教えられたものだ。
昨年は、東日本大震災があったことから、桜を観賞する精神的余裕は、あまり無かったのだが、震災から一年を過ぎた今、何事も無かったかのように、美しく元気に咲く桜を見ると、懐かしいような、心休まる思いがある。
先日のTV情報によれば、例年の花見客の数は、上野公園が、200万人で最高かと思っていたら、青森の弘前城公園は、250万人という。
便利で気楽に行ける上野も素晴らしく、これまで、何度か出かけた。が、以前に訪れたこともある、歴史を感じさせる城郭と桜花の対比が素晴らしい弘前の花見客数が、日本一と聞くと、嬉しくなる。この春の開花予想日は、4月26日とか。
昨年の春には、当ブログに、下記の記事を載せたのだが
桜花に寄せて (2011/5/5)
今年も、桜に纏わる身近な幾つかの話題を、2回に分けて、取り上げて見たい。
○先日の4月8日(日)は、東京の桜の満開の時期とあって、「桜狩」(さくらがり)が行われた。古来、花見の事を、風流に、「桜狩り」と呼んでいるが、実は、邦楽の、三曲合奏だったのである。
山田流筝曲の古典曲に、流祖山田検校の作曲になる、「桜狩」という、名曲がある。尺八をやっている仲間と、山田流筝曲の先生社中のグループとの合同で、勉強会を兼ねた合奏会があり、季節に因んで、箏、三絃の糸方と、尺八の全員で、会の冒頭、この、「桜狩」を合奏したのである。
会場は、都内赤坂の、豊川稲荷神社の境内だったのだが、桜の木は、写真のように、一寸した木が1本あるだけだった。よく咲いていたのだが、残念ながら、花の下での、本当の桜狩りは出来なかった。
境内の桜
○東京の下町に建設中の、東京スカイツリーの工事も順調のようで、いよいよ、5月22日には、オープンの予定だ。我が家の部屋の中からも、数km先にあるこのタワーが良く見えるのだが、見え具合によって、その日の天気予報にも活用している。
すこし前、関西の知人を案内して、建設中のタワーを、真下から見上げたりしたが、つい先日は、近くまで車で行った知人が、タワーの形をした菓子を、お土産に持ってきてくれた。
先日のTVでは、浅草寺境内の満開の桜花の上に見えるスカイツリーや、隅田川堤防の桜並木を前にした、スカイツリーの素晴らしい映像等が、放映された。直線的で近代的な最先端の建造物と、伝統的な仏閣や桜花との組み合わせも、なかなか良いようだ。
隅田川畔の桜(ネットより借用)
台東・墨田両区の間を流れる隅田川に架かる吾妻橋の近くに、もうひとつ、歩行者専用のXの形をした桜橋があり、花見の頃はこの橋が大変に賑わう。
滝廉太郎作曲になる、有名な歌曲「花」は、武島羽衣の作詞で、以下のように始まる。
♪♪ 春のうららの隅田川、上り下りの船人が、--------------
曲名の花とは、言うまでも無く桜花の事で、隅田川沿いの桜を歌ったものだが、場所は、桜橋の辺りになるのだろうか。
「花」は、春爛漫の日本の風景を謳いあげた、二部合唱のハーモニーが美しい名曲である。
○桜は、開花してから、散るまでの期間は、比較的短いのだが、先日の、某民放TVによれば、その期間は、おおよそ、以下と言う。
開花~満開 7日
満開~散り始め 4日
散り始め~葉桜 6日
・開花の定義は良く知らないが、以前、その地域での標準木で、蕾の重さを計って決めたとも聞いたが、最近は、目視で、数輪開くと、開花を宣言する、のだろうか。
桜の開花予想日を決めるのは、気象庁の重要で楽しい仕事の一つのようだ。 少し前まで、各地でのこの予想日を、天気図の等圧線のように繋いで日本地図上に表した、風流な、桜前線というのがあった。最近は、民間での予報の普及もあってか、気象庁による桜前線は、取りやめになっているのは、少し残念だがーーー。
・開花後、満開までには、2分咲き、3分咲き、5分咲きなどなど、細かく表現され、終には、満開を迎える。枝の状況や、日当たりの状況によって、多少の時間のずれがあるが、満開の状態が続くのは、精々数日で、この間、桜の香りがあたりに充満していて、時間が停まった様に感じる、豊かさがある。
・やがて、ちらほらと、風に舞って、花びらが散り始める。少し、地面に花びらが散り落ちている様子の方が、風情がある。雨などがあると、やや持ちこたえるがーー。
風がある時は、一面に花びらが舞う、正に、花吹雪になる。 雪の降る様に譬えた、花吹雪というこの日本語の、何と美しい表現であろうか。
満開の桜花よりも、散り際に、ものの哀れや、淋しさを感じるのが、日本人の感性と言われる。でも、自分としては、開花後、次第に満開になって行くプロセスが好きである。
日本の古典文学「太平記」にある、
“落花の雪に踏み迷う、交野の春の桜狩り、紅葉の錦着て帰る、嵐の山の秋の暮、”
で始まる、有名な道行き文は、高校時代の古文で教わったのだが、今でも口に出る、75調の名文だ。
この中で、桜が散る様を、雪に譬えた、落花の雪、という表現もよく、雪ならぬ花びらをいとおしんで、踏み迷う、とは、やや、技巧的だが、素晴らしい!
所で、この、交野(かたの)とは、現在の大阪府交野市のようで、現在も、桜の名所となっているようだ。関西では、今でも桜の名所として、奈良県南の、天下の吉野山と対比されるような感じなのだろうか。
・花が、殆ど散ってしまうと、急に関心が薄れるせいか、気が付いたら葉桜になっている、ことが多い。葉が出るより先に、花が咲く桜としては、葉が出そろったところで、光合成を行う等、これからが、植物としての大事な仕事が始まるのだがーーーー。