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パリ協定の署名式

2016年04月27日 11時53分32秒 | 日記

2016年4月27日(水)  パリ協定の署名式

 

 

 昨年12月、パリで開催された、国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議 (COP21)で、「パリ協定」(Paris Agreement)が採択された。

これに関しては、当ブログの下記記事、 

      地球温暖化防止対策―COP21  (2015/12/29) 

で、地球温暖化の危機的状況を踏まえた、協定の意義や、具体的な内容、今後の取り組み等について、可なり詳しく取り上げている。

 

 本稿では、パリ協定の署名式など、地球温暖化防止を巡る、最近の動きを取り上げる。

     環境省のロゴマーク(2011年制定)

 

 ○署名式

 パリ協定は、196カ国が参加して、粘り強い交渉の末に採択されたが、今般、ニューヨークの国連本部で、4月22日から1年間に亘って行われる署名受付の初日に、パリ協定の署名式なるイベントが開催されたようだ。今回の署名式には、175もの国の首脳・閣僚等が参加していて、関心の高さが覗える。 

この署名式は、採択された条約の内容を各国が公式に確認するとともに、今後の批准、発効に向けて、国際的な気運を盛り上げる、お祭り的な行事でもある、と言えるだろうか。

 昨年採択されたパリ協定が、各国の批准を経た後に、発効する条件は、

    「55カ国以上が批准し、批准国の温暖化ガスの排出量が、地球全体の排出量の55%以上であること」

となっている。

 今回の署名式に際して、島嶼等の15カ国は、いち早く、批准書を提出したようだ。これら諸国は、水没の危機等を迎えている、被害を受ける側の小さな国々だろうか。

 

 

○主な国の動き

・米国

 米国は、世界全体の排出量の16%に当たり第2位である。米国は、これまでの京都議定書体制では、後ろ向きだったが、COP21では、全員参加を目指し、その姿勢を前向きに転じ、同様にはっきりしなかった中国と共に、主導的に動いたと自己PRしている。

 現オバマ政権は、当初から前向きだったものの、在任期間が短くなり、目下、次期大統領選の候補者選びが進行中で、今や、レイムダック化している面もある。大統領選の本選が終了する今秋11月までは、確たる約束は出来ない状況だろうか。

民主党で本命とされる、H.クリントン候補は、地球環境への取り組みには積極的とも言われるが、批判的な事項もあるようだ。

 一方、共和党では候補者選びは混迷しているが、言動が過激で不安定な暴言王 D.トランプ候補の人気が高く、“環境問題は金星を調べれば分る”、“地球温暖化問題は米国の製造業に対する中国の陰謀”、などと言っているとの報道もある。

 署名式では、アメリカ代表は、“年内に批准できると期待している”、と表明したようだ。現大統領が大統領権限で批准するやり方(「単独行政協定」)もあるようだが、誰が新大統領となり、その政権が、どの様なスタンスを取るかは、見通せないようだ。(パリ協定“署名式”とは何か | NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute など)

環境問題については、アメリカには、京都議定書発効後、ころりと変わって脱退した前科もあり、今回も、当てにならないところがある。

 

・中国

 中国は、全世界の26%を占める、温暖化ガスの最大排出国だが、この所の中国経済の減速は、世界経済の大きな不安要因となっている。一方、近年の、北京などでの公害の実状は、極めて深刻なものがある。

 中国は、インド等と同じく絶対値ではなく、GNP当たりの排出量を、削減目標としているが、経済成長を図りながら環境対策も進めていくことは、並大抵のことではない。

今回、中国代表は、“9月迄には批准手続きをとる”、と明言したようだがーー。

 

・日本

 京都議定書の成立では、主導的に動いた日本だが、その後、経済の低迷や、東日本大震災と原発事故などがあって、排出量目標を自主規制に変えるなど、苦しい立場になってきており、この所の日本の排出量は、世界の3.9%(世界の第6位)を占めている。

最近では、消費税問題、TPPの承認、熊本地震の復興等、国内の優先課題が多く、パリ協定の批准の見通しが立っておらず、今回の署名式でも、明言は出来なかったようだ。

 環境問題に直結する、原発の再稼働については、今回の熊本地震で、批判的意見が増えただろうか。

 

 尚、その他の主要国の排出量は、先述の記事にもあるが、以下のように、BRICS諸国が大きいようだ。

     3位EU11%、4位インド6.2%、5位ロシア5.2%、7位ブラジル1.4% 

 

 ○今後

 パリ協定に基づいた、地球温暖化防止の新たな枠組みは、2020年の東京五輪・パラ輪の年にスタートする計画だが、パリ協定は、産業革命前と比較して、世界の平均気温の上昇を2度未満に抑えるため、今世紀後半には世界の温室効果ガスの排出量を、実質ゼロにすることを打ち出した、壮大なものだ。

 これに向けて、上述したように、当面は、55カ国以上で、しかも、全排出量の55%以上を占める国々で、批准が行われて、協定が発効する事が目標だが、排出量が大きい、中国、米国、BRICSなどの動きが焦点となろうか。

この5月、日本で開催されるG7サミットでは、テーマとして取り上げる時間的余裕があるだろうか。

 今年の11月上旬に、北アフリカのモロッコで開催予定のCOP22で、条約の発効を確認できることを、期待したいところである。

 

 

 ○「付記」

  国際的な条約等が結ばれる迄の手続きには、ネット情報では、全体として、

        署名 signature

        批准 ratification

        加入 accession

        受諾 acceptance

        承認 recognition

等があるようだ。

 日本では、国内的には、下図のようになるようだ。(外務省サイトより)

COP21で採択され、署名式まで進んだパリ協定だが、これの日本国内の手続きが、下図のどのルートになるかは、今後の動きを見ないと分らない。

       


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