つれづれの記

日々の生活での印象

地球最北の町 その1

2012年02月16日 11時31分55秒 | 日記

2012年2月16日(木) 地球最北の町 その1

 

 

先日だが、2月2日のNHKTVの、地球イチバンで、 

   地球でイチバン北の町~ノルウエー・ロングイヤービエン~

が放送された。

“エーッ、地球上には、こう言う所もあるの!”という驚きを味わった。

 

以前、アイスランドで起こった火山の大噴火で、欧州の航空便に、大きな影響が出て、それに関連し、当ブログでも、

   アイスランドの火山噴火  (2010/4/28)

という記事を載せたことがある。

アイスランドは、北極線のある、北緯66度33分の、凡そ真下にあるのだが、今回の舞台である、スバールバル諸島のスピッツベルゲン島の中心都市であるロングイヤービエンは、それよりも、遥かに北の、北緯78度になる。

このロングイヤービエンは、定住人口のある町としては、地球上で最北の町と言われる。

 

スバールバル諸島の、自然環境は、次の様なものだ。

ノルウエー本土から、約2000kmの北にあり、その広さは、約6万kmで、大雑把には、北海道位の広さだろうか。

異種外射方位図法によると思われる、北極圏の地図を下に示す(ネットから借用)。 この図法の名称は、生齧りで調べたものだが、人工衛星や、宇宙ステーションから見える地球の映像に近いもののようだ。

 

図中のグリーンランドの右にスバールバル諸島が、図の右上隅に、赤く北海道が見える。

 

 

良く見る、メルカトール図法の世界全図では、極に近づく程、横に広がるため、この島々は、見かけでは、かなり大きく描かれる。

スバールバル諸島の、詳しい地図(Wikipediaより借用)とノルウエー国旗を、下に示す。

 

  

 

                         

この島の平均気温は、夏期は、最高気温が7℃(7月)になるが地面は凍ったままで、冬期は、最低気温は-21℃(2月)だが、-30℃位に寒くなる時もあり、白い氷と雪に閉ざされた、極寒の世界という。

番組の中で、氷河のトンネルの内部が紹介された。 凹凸のある筋状に凍っている氷壁をこすったら、シロホンのように、済んだ音の素晴らしいハーモニーになった、のが印象的だった。

 

北極線より北では、夏期は、太陽が地平線より下にならず、夜も明るい「白夜」があることは、知っていた。一方、冬期は、昼も、太陽が地平線から出て来ず、暗い「極夜」となるようで、この言葉があることは、知らなかった。 これらについては、次稿で、改めて触れることとしたい。

 

美しいオーロラは、勿論、この地でも、季節を問わず、見られるが、最盛期は、1~2月と言う。ノルウエー本土の、トロムソは、オーロラ観光の中心地の一つとなっている。 

 

 オーロラ(NHK番組 HPから) 

 

オーロラと言えば、以前、アンカレッジ経由の飛行機でヨーロッパへ行った時に、アラスカ上空で、飛行機の中から見たことがあるが、ボーっと空が青白く光っていたのを覚えている。

又、オーロラは、地上からは、下から見上げる形だが、宇宙ステーションからは、上から見下ろす形で見えるようだ。 この1/4の、NHKあさイチ番組の、宇宙の渚スペシャルの中で、北極の廻りを、巨大なリング(ドーナツ)状に囲むようにして、黄緑色に輝きながら動くオーロラが見えたのは、幻想的な素晴らしい光景だった。

このようにオーロラは、北極を中心とする、ドーナッツ状になっていることから、北極に近い高緯度になると、却って見えなくなるようで、このスバールバル諸島あたりが、見られる限界、と言うのは面白い。

 

このような、厳寒の地域に、なぜ人が定住しているのだろうか。

以前、この島では、良質の石炭の採掘権等を巡り、勢力争いが続けられてきたようだが、争いをなくすために、1920年に、スバールバル条約と言うものが、結ばれたようだ。 この国際条約は、現在も有効で、日本も含めた、41カ国が加盟している、という。

この条約により、領有権は、最も近いノルウエー領になったが、国際的な「フリーゾーン」として、条約に加盟している国の人間であれば、誰でも、この地域に自由に出入り出来、仕事が出来、生活出来るようになったようだ。

自由な国として憧れの対象となるのはアメリカ合衆国であり、経済特区のことを、フリーゾーンと言うようだが、スバールバル諸島の様な、完全なフリーゾーンは、地球上には、他には無いようだ。

出入国管理が無いので、パスポートは不要だが、逆に、島に定住していても、ノルウエー政府から、パスポートは発行されないため、移住する前の国籍のままであるという。

人口は、2300人程で、このうち、約1/5が外国人のようだが、出入りが激しく、毎年1/4程度が替わると言われ、或る情報では、平均居住期間は、6.3年という。

言語は、ノルウエー語で、通貨は、本土と同じ、ノルウエークローネという。

住んでいる住民が払う税金は、所得税は10%以下で、消費税はかからず、酒やたばこは、免税と言う。

現在は、ノルウエー本土との間は、航空便が開設されており、観光地としても人気があり、勿論、世界中の誰でも、自由に行くことができる。

 

住んでいる人々の仕事や暮らしはどうだろうか。

自治政府の様な、地域行政庁があり、勿論、警察や学校や病院もあるようだ。 学校は、小、中、高が、一緒になっているという。

島の主産業は、石炭の採掘で、良質の石炭が取れると言う。現在は、男たちは、ロングイヤービエンから、単身で飛行機で炭鉱に行って、採炭の仕事をしていると言う。炭鉱の埋蔵量は、どの位だろうか。 近い将来、掘り尽くされたら住む人はいなくなり、日本の炭鉱町の例のように、荒廃するのだろうか。

一方、ここは、極地に近い寒冷地であることから、極地科学研究の世界的な拠点となっているようで、各種の研究機関がある、と言うのは、希望の持てる情報だ。その中には、世界中から集めた植物の種を、ツンドラの中に、永久保存する施設もあるという。 

島で唯一のスーパーには、世界各地の商品が並んでいるようだ。 全て、航空便で空輸しているので、物価は高いようだ。

社会的な問題は、福祉施設等がなく、墓地も無いので、死ぬわけにはいかず、高齢者には、住みにくいという。

      

TV番組では、先の、旧ユーゴスラビアの内戦で、クロアチアから逃げて来た、或るセルビア人家族に焦点をあてて、報道された。 

この人たちは、内戦勃発後、セルビア人と言うことで、住んでいたクロアチアで迫害され、そこから逃げ出し、あちこちを転々とした挙句、終に、10年ほど前に、自由の地である、ここに辿りついたという。辛い中でも、希望を失わず生きて来た姿が、印象的であった。

親達は、将来は、古巣のクロアチアに帰りたいのだが、現在高校生である息子達は、今後の進路については、クロアチアではなく、ノルウエー国籍を取得して、ノルウエー本土の大学へ行きたい、という。

 

この番組と、関連した調査を通して、世界の多様さを知ると共に、人間の幸せとは何だろうか? と、改めて考えさせられた、ことである。


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