2021年12月31日(金) 汚染水と核のゴミ
2021年も、今日で終わり、明日からまた、新たな年が始まる。
先日の、12月27日午前、立憲民主党の泉健太代表が、福島の、事故原発を視察したというニュースが流れた。
(立憲・泉氏が福島で原発視察、処理水の海洋放出に「県民の理解まだ から引用」
視察する泉代表
視察後、泉代表は、
1、県民、全国民に対する丁寧な説明が必要だ
2,トリチウムを分離する技術は、あきらめることなく、国として努力して欲しい
と、2項目を指摘している。
国の方向づけを預かる政治家として、現地を視察して、極めて重い懸案に、正面から向き合う姿勢を評価したい。
1項目は、周知のように、タンクに収納されている膨大な量の汚染水の処理を、政府と東京電力が、2024年にも、海洋に投棄する方向で進めようとしている、ことへの見解だ。
汚染水からは、放射性物質は除去しているものの、トリチウムだけは、現在の技術では、分離し除去することはできないようだ。
計画では、海洋投棄では、汚染水を薄めた状態にし、自然界に存在するトリチウムのレベル以下に下げて、沖合まで地下トンネルを掘り、放出する計画だ。魚などの海の生物には影響はないと言われる。
でも、地域の漁民たちは、風評被害を恐れており、地元に十分に、納得してもらうことが肝心で、これが不十分との泉代表の懸念だ。この事で徹底した話し合いを求めている。
2項目は、トリチウムを分離し除去する技術の研究を、今後も続けるべきことを、国に要請しているものだ。
トリチウムは、三重水素とばれる放射性物質で、水素の仲間だ。半減期は12年程という。
現在の技術では、汚染水からトリチウムを除去するのは難しいとされているが、泉代表は、国に対して、技術開発を諦めることなく進めて欲しいと要望している。
〇汚染水の現状と投棄
現在も高温が続く事故原発の冷却が必要なことから、日に140トンもの冷却水が必要という。これに伴い、同量程度の汚染水が、毎日、出てくるので、ALPSシステムによる除染処理を行った後、それを貯蔵するタンクが必要だ。現在、タンクは、約1000基が設置されているようだが、タンクの設置可能量が限られていて、2022年には限界に達すると言われている。貯蔵タンクの容量は、1基約10トンである。
〇汚染水の投棄
2021年4月に、政府は、2年後めどに、IAEAの了解を得て、汚染水の投棄をやる事を決定している。
この9月に、IAEAのエブラール事務局次長が来日し、政府担当と打ち合わせし、意見交換している。
(下図は、通算省サイトより引用)
投棄方法としては、5つの選択肢の中で、以下の2つに絞り、
・薄めて海洋投棄
・蒸発させて、残った残滓を処理
更に、海洋投棄を選んだようだ。沖合に向けて、海底トンネルを掘り、そこにパイプを通して、その先から、海中に放出するという。投棄が完了するまでいは、相当の期間がかかるようだ。
〇核のゴミの措置
この秋の10月26日、北海道の小さな留寿都町で、大きな首長選挙が行われた。
核のゴミの処分場を巡る選挙である。
投票結果は、
片岡春雄氏(72) 1135票
越前谷由樹(70) 900票
投票率84.07%
で、現職の片岡氏が、6選を果たしている。
この結果、原子力発電環境整備機構(NUMO)が進めている、調査が、今後も継続される見通しとなった。
調査は、最初の第一段階で、文献調査等により、概要調査地区の選定を行うものだ。段階が進めば、第二段階で精密調査地区の選定が行われ、第3段階へと進んで処分施設建設地の選定が行われることとなる。
核のゴミの関連では、稼働している原発から出るゴミに加えて、事故原発自体の処理に伴うゴミ(高レベル廃棄物)や、汚染地域の除染作業で出てきている膨大な低レベル廃棄物もあり、これらの処分場をどうするかが、国家的な懸案である。