ケイの読書日記

個人が書く書評

法月綸太郎「犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題」

2013-04-15 08:50:34 | Weblog
 星占いの12星座。その前半6星座にまつわる6つの事件を、名探偵・法月綸太郎が、美しく解決!

 実はこの中で「ゼウスの息子たち」と「ヒュドラ第十の首」は、前に別のアンソロジーで読んだことがある。
 その時は、それほど良い出来とも思わなかったが、再び読んでみると…なかなかの秀作ではないか!!
 今どき、こんな端正な本格を書く人って珍しいよ。法月氏は遅筆で有名らしいが、そうだろう、量産できないよ。この作風では。



 表題作は「六人の女王の問題」。筆者が、すごく力を入れて俳句の暗号などを作ったのは理解できるが、私は早々にリタイア。考える事を止めた。私の頭ではチト無理。
 でも、こういったパズルが好きな人にとっては、素晴らしい作品なんだろう。
 けれど、パズルが解けなくても、被害者の事件前後の行動から推理するのも楽しい。

 私が一番いいなと思ったのは、「冥府に囚われた娘」。都市伝説が発端となって、綸太郎が事件を知ることになる。

 ある女子大生のケータイに、友人A子からメールが届く。旅行で家を空けるから、鉢植えに水をやりに来てほしいって。自分も帰省するので、すぐに断りのメールを入れるが不達で戻ってくる。ケータイにかけてもかからない。
 おかしいなと思って、A子のマンションに行くと、部屋は空っぽ。管理人にきくと、A子は何日も前に意識不明で倒れ、病院に運ばれたが、植物状態が続いているという。 
 どうもダイエットのために、毎日何リットルものミネラルウォーターを飲んで、水中毒になったらしい。
 マラソンなどのスポーツ選手が、水分補給しすぎて血液中の塩分バランスが崩れ、こん睡状態に陥ることがある状態。
 ただ不思議なのは、A子が入院中に届いたメール。いったい誰がメールした? 植物状態になったA子に、水をやりに来てほしいという事なの?

 ね、ちょっとヒヤッとしませんか?
コメント (2)
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