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ケイの読書日記

個人が書く書評

山口雅也「生ける屍の死」

2007-06-21 15:58:04 | Weblog
 非常に変わった作品。"生ける屍”とあるので、ドラッグで廃人同様になった人が活躍する話なんだろうか?と見当をつけて読み始めるが、正真正銘”生きる屍”つまりゾンビが探偵役なんである。
 出来の悪いドタバタコメディ映画を見たような気分。


 主人公グリンはお茶会で毒殺され、自分を殺した犯人を突き止めようとする。
 生き返ったとしても、不死の生命を約束された訳ではなく、数日後あるいは数週間後に朽ち果てる運命。
 グリンは自分の肉体が崩壊するまでに真相を掴もうと懸命になる。


 生き返った死人はグリンだけでなく、続々と甦ってくる。そんな死人たちが、別の死人や生きている人間に殺されるのだ。何度も。

 なぜ彼はあの時殺されなかったんだろう? そうだ、彼はもう死んでいたのだ。何てややこやしい!!

 後頭部をパックリ割られ、心臓にナイフを突き立てられても、ピンピンしているゾンビには本当に困る。


 アメリカでは今でも土葬が一般的というのには驚いた。やはりキリスト教の「最後の審判の時、生者も裁かれるが死者も墓場から甦り裁きを受ける」という宗教観によるんだろうか?
 しかし、100歳で死んだ人が、100歳の肉体で墓場から甦り、永遠の命を神様からもらったとしても、あまり嬉しくないような。

 やっぱり”輪廻”の方がいい。甦るのではなく、生まれ変わるのよ。
コメント (5)
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