本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

間借りの想い出

2011-08-28 11:44:50 | Weblog
 昔々下宿屋、いや、賄いなしだから間借屋といえるところに住んでいた。ふすまを開け閉めするだけの普通の家の部屋である。

 戦災に遭わない古い三階建てで、南京虫がいて往生したものだ。一階は大家の老夫婦、二階は歳くった独り者の息子と行儀見習いとかいうお手伝いさんの部屋、そして三階に私を含め4人がそれぞれ間借りしていた。
 洗面トイレは一階にあり、小用の便器の前に「朝顔や 外にもらすな さおの水」と貼ってあった。

 両隣の家が支えあうようにくっ付いていて隙間がない。それでも坪庭があった。もっとも、一階奥にある大家のプライベート部屋の横にあるから目の当たりにしていない。三階の廊下の突き当たりの窓の真下にあるので、上から見下ろしたことはある。

 ある日、なにげなくその窓からのぞくと、例のお手伝いさんがたらいで行水をしていた。気配を感じたのか顔を上げたのであわてて首を引っ込めた。目の保養にも毒にもならなかった。デバ亀と思われるのは心外なので、それ以来、窓には近づかなかった。

 埼玉県に住む中学校校長をリタイアした知人がいる。今は賀状を交換する程度だが、かつての間借り人のひとりである。

 他愛のない想い出話でした。

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