故障

「故障」は、一般的に身体や機械が部分的に機能しないとか壊れているとかの意だ。だから投手の肩が故障した、テレビや車が故障したとなるわけだ。
　ところが、古い小説（私の知る限り、昭和３３年以前）には、「故障を考え出して話を先に延ばす」、「故障を言いたててわめく」という表現がある。前者は不都合や差しさわり、後者は苦情や異議の意味である。
　
　一般的な意味合いに慣らされているから違和感を抱くが、反面、言葉の深さも知る。
　本を読むということは、自家中毒を避けることだとしみじみ思う。