2月も上旬を越えようとする時期である。昨日は暖かった。だが、2月はやはり寒い。
幸田文のエッセイに「二月の味」がある。その冒頭が「熱いもの濃いものがほしくなるのが二月だと思う。季節としても冬が尽きようとして最も寒いときだし、人のからだも秋の栄養の蓄積がようやく涸れようとして油ぎれになるときだからである」とある。
秋の栄養の貯えより正月の飲み食いそして寝惚けた休みによる栄養貯金がやっと減ってきたころというのが正しい気もするが。
それはともかく、このあとタイトルにある食べ物の味の話になるのだが、殊に牛の舌の筆致が多く占めている。幸田露伴の好物だったらしく戦後間もないころから牛タンを食していたようだ。食料難の時代にベロをベロリと喰っていたとはさすが露伴先生ですね。
ところで、仙台では牛タンとテールスープがセットの定食があるようだ。舌と尻尾の組合せは妙だ。
テールスープは韓国料理でいえばコムタン。テールは日本の肉屋に置いていない。例の新宿の韓国街のスーパーでは売っていた。久留米の農産物販売所にもあった。これは珍しい。家庭で食べる日本人は例外ではないか。その例外が我が家である。真冬のコムタンはまことによろしい。