外出しかけた時、自宅の前庭のビワの木を剪定していたご近所さんに
呼び止められました。
彼女は、花の付いた枝を持って「よかったら持って行って。」と声をかけてきたのです。
そういえば先日、ミニ新聞に「ビワ」の記事が載っていたな、と思い出し、
一枝頂戴してきました。
初冬に咲く花としてビワ(枇杷、バラ科、常緑高木)が以下のように紹介されていました。
花:白色
花期:11月から12月
名前の由来:漢名の「枇杷」の音読みから。果実や葉っぱが琵琶に似ているから。
花を観察すると花柄、ほう、がく、葉の裏にまでビッシリと綿毛が生え、寒さ対策も万全。
写真を見てわかるように厚手の外套に包まれているようです。
この花の匂いは不思議な匂い。ただ甘いだけでは言い表わしきれない独特な香り。
私は忘れていましたが、数年前に作った「枇杷酒」もこんな香りでした。
私が住む団地では、寒さに向かうこの時期、管理組合の園芸委員が、
敷地内の樹木の剪定や伐採の必要な木々を探し、テープを巻いていきます。
黄色テープは剪定、赤いテープは伐採。
そう、このビワには赤いテープが巻きつけられてしまいました。
集合住宅では勝手な植栽(丈が高くなる木など)は禁じられていますが、
このビワは無断で植えられたものなので、毎年、赤いテープが巻かれてしまうのです。
その度に、彼女は懇願するのです。
甘い香りでミツバチが寄ってくるし、葉は漢方に使われるし、実も収穫でき、
植えていても迷惑がかからないなどの理由で。
だから慌てて剪定したのです。
不精な髪型をすっきりカットしたようにそのビワの木は変身していました。
私を呼び止めたのはその後です。
頂いた枝を花瓶に入れながら又来年も同じことが繰り返されるだろうと思いました。
これからも組合員に泣き付き、結局「身勝手」な彼女に押し切られ、
ビワは生き延びるでしょう。