ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

いい一日でした。

2015-09-29 06:24:32 | 日記
下瀬信雄氏の、第34回土門拳賞受賞作品展を観てきました。
去る5月に、東京、銀座ニコンサロンで展示されたのですが、行けず終いでしたので、開催中の土門拳記念館での観賞となりました。

山形新幹線に乗って、新庄、陸羽西線で酒田まで。
今年の夏は企画し、予定した「お出かけ」がすべてバツになってしまったので、
「ったく、今年は」とボヤキ気味でしたが、昨日の「一人 お出かけ」で、解消。

まずは、晴れ。
幾つもの短いトンネルをくぐり、最上川のゆったりした川面を眺め、
黄色い稲穂、コンバインがあちこちで働いていて、
山並みを背景に、あちこちの神社に幟が立っているのは秋祭りでしょう。
稲の神さまが、山へ戻られる季節です。
大風や、大雨もあったけど、実りの黄色が輝いていました。
私は、窓側のシートに掛けて、電車と一体になっていました。

下瀬信雄氏が受賞した写真集『結界』、モノクロ57点。
下瀬氏は受賞の言葉の中で
  『私が映すものは、ごく身の回りのありふれた自然です。
   同じように詩人が歌うのは身近なものです。……………。
   私が見つめた小さな自然の息吹も、人々の胸に届くようにと願っています。
   自然から生まれた我々は、又そこから学ぶしかないのでしょう。
   ……………』
と、語っています。

“あゝ、そうでしたね”
“なるほど、風はこんな風に捉えたのですね”
などと、作品に語りかけながらの、1時間半でした。

画面構図に主役はなく、ハマウドや、カワラナデシコ、フキ、カラスウリ、ススキ、等々。
群生ですが、花や葉の先々まで繊細で緻密。
 「雨の日のヒガンバナ」に宿る小さな 小さな粒々の輝き。
 「風の日のカラムシ」、“あ、風が!”
 「カラスの群れ」はゴッホの、『カラスのいる麦畑』のような おののきは無く、
  ただカラスが群れ飛んで。
それぞれが、モノクロームな多彩さを内蔵していました。

観終えて、池に面したガラス張りの小部屋で ひと休みをしていましたら、一羽の白いサギ(?)がやって来て、ガラスに近づいてきたのです。
私は、仲間になった様な気がして、静かに見つめていました。

「記念にね」と言って、ケイタイのカメラを静かに向けましたら、
〈わたし、カメラ苦手なの〉
そんな声がしたような。
ゆっくり歩いて柱の陰に去って行ってしまいました。

帰りの陸羽西線。
窓外の東の山の端から、大きな、まあるい お月さまが昇りました。
久々に、こんなに大きな お月さまと出会いました。
暮れなずむ稲穂の黄色。
輝きを増し始める お月さま。

いい一日でした。

        ※「結界」 仏教用語。聖域を定めて結ぶ境界のこと。(作品展チラシより)
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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
写真展 (Cafeの宿六)
2015-09-30 07:13:54
ゴマメのばーば様

おはようございます。
素敵な1日 情景が目に浮かんできます。
一緒に旅している気分になりました。
下瀬氏の写真展 残念ながら観ることができませんでした。
写真集で拝見しようと思います。有難うございました。
返信する
気づかないだけで。 (ゴマメのばーば)
2015-09-30 09:02:44
(Cafeの宿六)さま。
おはようございます。
コメントありがとうございました。
ほんとうに、オアシスのような一日でした。
遠くへ赴かなくとも、きっと身近に美しいもの、畏れを感じさせるものは気づかないだけで、世界に充ち満ちているのでしょう。
(Cafeの宿六)さまの写真も楽しんで観ております。
返信する

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