golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

ブリテン「4 つの海の間奏曲」

2008-03-21 08:36:36 | Weblog
寒風の中、男が一人北の海を見つめ立ち尽くしていた。人っ子一人いないこの荒涼とした海岸で。額には積年の辛苦によるものか、いく筋もの皺が見てとれた。

彼の目蓋にはある光景が映っていた。
やがて、一滴の雫が彼の頬を伝った。

…涎だった。

目蓋の映像はカニだった。いやフグや熱燗さえもリアルな画像として彼には見えていた。
「すばれるなぁ。早よ温泉さ入りてぇなあ」

歌劇「ピーター・グライムズ」より、4つの海の間奏曲、パッサカリア。
アンドリュー・デイヴィス指揮BBC交響楽団(apex盤)

「冬の日本海、グルメ一人旅」などというTV番組ではないのである。
「ピーター・グライムズ」は、人殺しの疑いを掛けられた漁師が自殺するというシリアスなオペラだそうである。

その中からブリテンが、「夜明け」、「日曜の朝」、「月光」、「嵐」という4つの海に纏わる間奏曲とパッサカリアを、抜粋、編曲したもの。

おいおい、危ない単語が2つも続くではないか。でも元のオペラが、作品33に対して、4つの間奏曲が作品33a、パッサカリアが作品33bとちゃんとブリテンオリジナルの正統なもの。

残念ながら元のオペラを聴いたことが無いのですが、この曲を聴いているうちにCD欲しくなって来ました。ブリテンがこの編曲版を作った経緯を知らないのですが、もしかしたらオペラ宣伝の為のサンプル版、試聴版の狙いなんかあったりして。

ドビュッシーの柔らかな「海」とはまた違った、荒涼とした海の情景だが、これもまた良いですね。嵐の迫真に迫った表現もまた。

カニやフグは高いから、イカでいいから一杯やりたくなっちゃいました。