golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

ラウタウ゛ァーラ「鳥とオーケストラの協奏曲」

2008-03-12 08:16:14 | Weblog
フィンさん、ご覧頂いてますか?
フィンランドの作曲家ですよ!

ラウタヴァーラ(1928~)の「カントゥス・アークティクス(鳥とオーケストラの為の協奏曲)」。

リントゥ指揮、ロイヤル・スコティッシュ管(NAXOS盤)

題名は、極北の歌という意味だそうです。
沼地、メランコリー、白鳥の渡り、と題する3つの楽章で構成されています。

この曲は是非実演を聴いてみたいなあ…。

指揮者の脇に止まり木が置かれ、そこで独奏の鳥達が指揮者の登場を待っている。
やがて指揮者が登場。オーケストラとともに鳥達も歌い出す。極北の大地を感じさせる雄大かつ寒々とした響きに乗り、鳥達が静かに鳴いている。沼地の朝の光景だろうか。

さすがに訓練された鳥達である。多数の鳥が、あたかも合唱団の様に揃って頭を振っている。一糸乱れず指揮者を仰ぎ見てその指示に従っている。オーケストラと共同で、ダイナミックな音のうねりを現出している。

第2楽章「メランコリー」(この曲の冒頭には、カデンツァらしきところもある)まではこのまま順調に演奏が進行して行った。

様相に変化が生じたのは、第3楽章「白鳥の渡り」。
照明と楽団員達の熱気で気温が上昇したのがいけなかった。もとより極寒の鳥である。渡り、という曲の内容も問題だった。

鳥達の本能が理性を上回り出したのである。高度なテクニックと素晴らしい声の独奏者から、只の鳥に還って行く。

1羽が羽を拡げ、飛び立った。

とたんに、彼が指揮者に変わった。今までオーケストラ指揮者の指示で歌っていた鳥達が、群れの指揮者に従い出したのである。

しかし、まだ群れ翔んでいるうちは良かった。新しい指揮者の下、統制も取れていたし、歌手の本分も忘れず歌い続けていた。

はじめ、聴衆は、高度な演出だと思った。オーケストラの上空を鳥の隊列が歌いながら飛び廻る。凄いスペースオペラである、皆感動していた。間違いなく今年のコンサートベストワンだ!と一人確信した評論家さえいた。

勿論、極寒の広大な大地であれば、鳥達も整然とした飛行を継続出来たはずてある。しかし、コンサートホールという閉じた有限な空間、しかも小学生でも知っている通り、熱気は上昇するのである。

彼らは思考回路を狂わされ、皆勝手な行動を取り出した。

客席に向かう者もあり、糞を掛けられ憤慨している紳士もいた。
オーケストラの指揮者の頭に止まり、なかなか離れようとしない者…。

そんな状況下でも楽団員の踏張りで、なんとか演奏は継続している。1羽が指揮者の禿頭に止まり、キョロキョロしているので、隣席のおばさんは笑いを堪えるのに必死。

季節外れの求愛ダンスを始めたり、何故か卵を産み落とす鳥なども出現し、場内大バニック、子供たち大はしゃぎ…。

…なあ~んてことは勿論無くて、実際には北極圏で収録された鳥の声が用いられている。独奏者達は登壇しないのである。

2日続けて「鳥ネタ」にしたせいでしょうか。「また、ベランダに鳩が来るようになった」とカミサンが言っていました。昨年、ツガイの鳩を追い払うのに苦労しました。またあの再現か。暫らく鳥に因む曲は聴かないようにしよう、と決意したgolf130でした。