一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

読者(私)も判っちゃいない(その4)

2006-08-15 | 乱読日記

このシリーズの趣旨はこちらをごらんください。


「オリジナルとコピー」  

テクストの「意味」は、文言それ自体ではなく、そのテクストがどのような文脈のうえに置かれるかによって決定される。どの文言をどのようにコピーするかということにおいて、すでに人々はそのオリジナリティを発揮し始める。だから、仮にある人が私の書いたものを丸写しして本を出しても、その引用箇所の意味は、私の本の中に置かれていたときとまったく別のものとなっているだろう。

お言葉に甘えてます。
そして、ろくでもない「別物」の見本を晒しております^^;



「『自分らしく』あるのは当然か」  

政治的状況において、「私」を固定的に設定すると、選択しうるオプションは減少する。だから、政治的人間は、システムにとっての最適選択をするために「私」をできるだけ固定化しないように努める。アイデンティティの維持よりシステム維持の方が自分にとっても「みんな」にとっても優先順位が高いからである。アイデンティティというものは、システムの「事後的効果」にすぎない。そのことを知っているのが政治的人間であり、広い意味での「大人」である。

たしかにそのとおりだと思いますが、世の中にはそういう「大人」はけっこう少なくて、システムにとっての最適選択をするためでなく自分にとっての最適選択をするために「私」を固定化しない人(「イエスマン」とか「茶坊主」などと言われますね)や、アイデンティティ=システムと思い込んでいる企業戦士系の人とか、実際にそうやって企業経営をしているオーナー会社もけっこう多いように思います。

よく聞かれる「俺は会社のためを思って言って(やって)るんだ」というセリフ自体がアイデンティティの維持を優先しているのかもしれません。(自分も気をつけねば・・・)



「後悔、後に立たず」  

「魔がさして」一線を踏み越えてしまう人というのは、「踏み越えたい」から「踏み越えた」のであって、誰も彼にそれを強制したわけではない。潜在的欲望をご本人同意のもとに顕在化した、というだけのことである。 私はそのようなものを「後悔」とは呼ばない。

私は頭の中に常に邪(よこしま)な考えが渦巻いている人間で、行動の基準は「どの『魔』をさすか」「今回は自重するか」というレベルでしかなく、本件については「おっしゃるとおり」と言うしかありません・・・



「論理的な人と理屈っぽい人」  

「理屈っぽい人」は一つの包丁でぜんぶ料理をすませようとする人のことである。
「論理的な人」は使えるものならドライバーだってホッチキスだって料理に使ってしまう人のことである(レヴィ=ストロースはこれを「プリコラージュ」と称した)。
(中略)
「自分の考え方」で考えるのを停止させて、「他人の考え方」に想像的に同調することのできる能力、これを「論理性」と呼ぶのである。

クレームを言われる方の中には「理屈っぽい人」も多いのは事実だと思います。 
そして、クレームをリスクにまで発展させてしまう企業にも「理屈っぽい人」が多いのではないかと思います。

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送電経路の機密性

2006-08-15 | よしなしごと

今朝はいきなり我が家も停電してしまいました。

最初はブレーカーが落ちたかなと思ったら、近所中停電でした。
仕方がないので顔だけ洗って、電車が動いているかダメならバスにしようなどと考えながら歩いている途中に復旧しました。
信号が消えていると「付近一帯停電」というのを実感しますね。

さて、停電の原因は江戸川の事故だとか


首都圏139万世帯停電 交通網ストップ 3時間後復旧
(2006年 8月14日 (月) 17:28 産経新聞)  

14日午前7時40分ごろ、東京と千葉、神奈川で約139万世帯の広範囲な停電が発生した。
(中略)
この日朝、東京都江戸川区と千葉県浦安市の間にある旧江戸川で船に積載したクレーンが送電線に接触する事故が起きており、東京電力はこの事故が原因と断定した。

東電によると、停電は東京都大田区、世田谷区、江東区などのほか、千葉県浦安市と市川市、神奈川県川崎市北部と横浜市青葉、緑両区などに及んだ。


別ルートで送電再開 復旧までは短時間 首都圏広域停電
(2006年 8月14日 (月) 13:46 朝日新聞)  

接触事故が起きた送電線は、2番目に高い電圧の送電線だ。首都圏の需要をまかなうために、大規模な送電を担っている重要な送電線だった。この送電線のすぐ上流部は1次変電所がループ状に整備されているが、事故で首都圏に70カ所ある1次変電所のうち5カ所で、過電流から設備を保護するための装置が働き、送電を遮断した。  

電気は、各変電所の下流部にある2~4次の変電所を通して、通常の送電線の6600ボルトまで下げて配電することになっている。送電を遮断した1次変電所の下流部の変電所でも同様に保護装置が働き、一時的に電流が遮断された。この影響で、都内だけでなく千葉、神奈川各県にも停電が広がった。  

一方、東京電力では送電線事故など送電トラブルを回避するために、主要送電線をループ状にするとともに、各変電所間も網の目状に系統を展開している。このため、別のルートで送電するよう順次切り替えることができた。ただ、復旧は、担当者が各変電所で安全を一つ一つ確認しながら手動で行うため、それなりの時間がかかった。


報道は「報道の使命」とかがあるのでしょうが、テロ対策を考えると、「どこを遮断するとどこが停電する」というような送電経路の情報はあまりオープンにできない、というあたりでこの程度の公表になったんでしょうか。

アメリカでは電力自由化が進んでいて、電力会社間の余剰電力の取引なども盛んなようですが(エンロンも本業はそれでしたよね)、そうなると、安定性やロスの問題がるので送電経路の問題はけっこう大きなポイントではないかと思うのですが、そういう取引にも格付けとかファイナンスがあるとすれば、情報開示の問題と、もう一方のアメリカの得意技"National Security"の問題はどういう風に交通整理しているのでしょうか?


それともそんなに神経質になる類の話ではないのかな?

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