小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

小笠原諸島・母島の春

2018年04月23日 | 母島 日常 日記
■新年度となり、いわゆる春となりました!

春、とは言っても母島の春は本土の春とは違います。

桜は2月に咲いてしまい、
新しい芽吹きは、常緑の植物ばかりで、
新緑や山菜に溢れる本土の春とは違います。


まるで夏の様な色と気候ですが、
雲がまだ春っぽいのと、
どうしても海に入りたい感じになってないから、
夏じゃないと分かります(笑)。
母島に住んでいるとしっかり春を感じる場面が幾つもあります。

それは、
鳥たちが繁殖をはじめて、小さなヒナの存在に気付いたときにも春を感じます。

これは東山の遊歩道で見かけたトラツグミの巣立ち雛。

保護色のつもりなのでしょう。
僕が近づいても全然動きません。

ひたすら親の給餌を待っています☆

集落ではメジロの巣立ち雛がよく間違えて保護されてくるケースが増えるのもこの春です。

このメジロは小学生が地面で鳴いていたと保護して来てくれました。
実はこの時期は地面で親鳥の給餌を待っている時期なので、
連れてきてしまってはいけないので、
すぐに場所を聞いて、元の近くの枝の上に乗せました。

みんなで待つこと10分。
無事に親がヒナを見つけて給餌しに来てくれました!!
みんなで大喜び♪
あまりに時間が経過すると親は育雛放棄してしまう場合があるので、
誤保護の場合は時間との勝負になります。

今回は無事に戻れて本当によかったです☆


南崎の方ではカツオドリたちがペアリングを始めています。

顔の青いのがオス(左)、白いのがメスです(右)。

また、島の春と言えばこんな景色。

風景もガスっていると表現するのですが、
霧が濃く出て、雲が下がってくるのもこの季節の特徴です。

近くの湾でもアオウミガメが交尾している姿が見られ、生き物の恋の季節なんだな~と思わせてくれます。

島の伝統漁でもあるカメ漁をするのもこの時期です。
空気がガスって、湿気が高くじめっとしていて、ベタ凪の中、カメの交尾が見れる陽気を島では「カメ陽気」と言っています。

そんなカメ陽気な時期は、シロハラミズナギドリの繁殖期でもあり、
低い雲に集落の明かりが反射して、
沖から見るとぼぅっと光って見え、それに寄せられて不時着するケースが増えます。

ときどきこうして段ボールで保護して、
朝になったら放鳥する活動もしています。

ネコの捕食や交通事故を避けるためです。


春は渡りの途中で立ち寄ったツバメなんかも見かけます。

島では営巣することはないのですが、
この小さな体で大海原を渡ってくるのですから、
こうした餌となる昆虫もいる休憩地点はきっと重要なのでしょう。

見ているとちらほら増えて4羽以上になってきました!


伊豆~小笠原に来るツバメがどこからきて、
どこに行くのかを調べる方が母島に来たら、
なぜかいっぱい見える様になったという不思議(笑)!

こんな小さな体で大海原を渡ってくるから驚きです。
ゆっくり休んで、次の土地に渡るんだよ~


■子どもと過ごして春を感じる事も多いです♪
先日、出逢いと別れの季節と言う記事を書きましたが、
今はまさに出逢いの春。

新しく赴任した先生方が港で出迎えられる場面です。

先生の多くが初めての母島で、きっと期待と不安で胸がいっぱいだったと思います。

子供たちや島の人の温かいお迎えで、きっと胸の緊張が軽くなったのではと思います♡



また、この春はお世話になった大好きな保母さんも離島するという事で、
小さな子供たちもバンバン見送りダイヴをしていました!

いや~すごいぞ!!


気付いたらうちの次女も普通に飛んでいた(笑)!!


こんなに小さい子ばかりの見送りダイヴはなかなかお目にかかれません。
本当に子供たちに愛される保母さんだったのがわかります♡


気候も割と暑く感じる日も増えて来て、休日は海で過ごすことが増えてきます♪


魚もいっぱい!!


また、4月8日はお釈迦様が生まれた事を祝う「お花まつり」があります。

島の清見寺という場所にみんながあつまり、
仏像に甘茶をかけます。

その後はお汁粉やお菓子を頂き、
みんなでお釈迦様の誕生に想いを馳せて過ごします☆


■美しい夕陽を見ても雰囲気が春を感じさせてくれます。

夜の帳をかすかに匂わせる空の色も夏や冬のそれとは少し違います。
そして、なんと言っても雲が違いますね~

一日の終わりにこうして、太陽に感謝を捧げる。

きっと石器時代の小笠原諸島に住んだ人々も同じ春の夕陽を見て、
色んな事に想いを馳せたはずです。

小笠原群島最高峰の乳房山。
父島よりも100m高いこの山が雲霧帯を作り、
母島の豊かな土壌と気候を育んでくれます。

父島にあんなにあったヨモギ。
母島ではごく限られた場所にしかありません。

以前、集落にも数か所あったそうですが、
草餅を作るのに利用していたら絶えてしまったようです(笑)。

その他では新しく桜(カンヒザクラ)を植える試みなんてのもありました。

春は本当に新しい動きも多くて、
なんだかそわそわする季節なのかも知れませんね♪

もう少ししてGWを過ぎると、
小笠原は梅雨入りとなります。

空梅雨で大変な水不足が問題化した去年に比べて、
今年のダムの水量には少し安心しています。

太平洋の島々に住んできた人々にとって、
一番その暮らしを左右したものは水だったのではないかと思います。

私達がこうして特に不自由なく暮らせることの有難みをひしひしと感じます。
感謝感謝ですね☆

石器時代・古の小笠原カノー時代を想う ~モアナを観て

2018年04月08日 | 小笠原 先史時代
■昨晩、小3の次女と大昔の小笠原の話しをしました。

それは小笠原貞頼が発見し、
ナサニエル・セーボレーが定住を始めた江戸時代ではなく、
その遥か昔の石器時代に人が住んでいた小笠原の時代です。
今から約2000年前、約1世紀頃に小笠原に人が暮らしていたと考えられています。

その頃の時代の名残として、
父島の三日月山や北硫黄島で遺跡が発見され、
カヌーを掘った石器や貝細工、斧が発見されています。

それは、何世代も建造物が残る欧州などの石の文化ではなく、
季節の流れで風化してしまう木と石の文化です。

その頃から、
直接ではないにせよ文化的に今でも受け繋がれているもの…
アウトリガーカヌーとフラに思いを馳せるようになりました。



■形状的にはフィリピンやインドネシア系ではなく、
ハワイ系となる小笠原のアウトリガーカヌー(カノーと呼ばれていました)。

日本では小笠原が唯一ハワイ系が直接伝わってきた場所だと聞いています。

何気なく始めて、
今も母島カノー部に所属し、関わらせてもらっていますし、
フラも素人ながらにやらせてもらっていますが、
まさかそれらが古の時代の小笠原に繋がっていることを知ったのはずっと後の事でした。




■遥か昔の石器時代、
太平洋に住む民たちがカヌーを使い、自由に島を移動していた時代があると言います。
大航海時代にキャプテンクックが太平洋の島々を渡り歩き、
遠く離れて交流すらなくなった島が
なぜか似た文化を持っていることを発見したそうです。

調べてみると、
昔は船で自由に島間を自由に行き来していたが、
その島で自給自足ができるようになると、
海を渡る術を忘れてしまってきていた様なのです。

それはまだカヌーの帆が大陸から綿が伝わっておらず、
タコノキ(アダン)の葉を用いて作られていた時代です。



■その伝統航海術、
いわゆるGPSはもちろん、海図や羅針盤など、
一切の近代器具を使わず、
星と波と風だけを頼りに海を渡る術【スターナビゲーション】を現代に復活させた人達がいます。
それがハワイのホクレア号です。

15年前、僕が父島でカヌーを始めた年に、講演会がありました。
太平洋の島々の文化を研究する後藤明さんと、
ホクレア号の初来日に携わったシーカヤッカー&海洋ジャーナリスト内田正洋さんです。

二人の話を聞いて、沢山の感銘を受けました♪

小笠原の考古学の話はなんとなくうる覚えで知っている程度でしたが、
これをきっかけに、カヌーという具体的な存在を経て、
遥か昔の小笠原に想いを馳せる事が出来たのです☆

その伝統航海術というのは本当にすごくて、
その星見となる人は、船の行先のすべてを司り、
目的地にたどり着くまでの数週間、
一度も睡眠を取らず、うつらうつらした状態のまま、
今、自分たちが地球のどこにいるのか、
どこに行こうとしているかを把握し続けているというのです。

星の見える夜はいいものの、
星の見えない昼間や荒天時は、
風の匂いや温度、水の感触、
うねりや波から、地形を意識していると聞きました。

星見の人が出発地から目的地までの道のりを
完全にイメージできるまでは、
カヌーは出発できず、待ち続けるのだそうです。

僕はこの話を聞いて、感動して震えていました。


今こうして眺めている海と島に、
そんな時代があり、そんな技術があったなんて!!


■そんな事を色々思い馳せるにはことがあったのです。
昨晩、次女と初めて映画「モアナと伝説の海」を観ました。

その中で、小笠原にも良く似た風景の中、
遠い昔の太平洋のカヌー文化が描かれていたのです!

タコノキの葉で作った帆を使い、
木のパドルで船を操舵し、
遥か大海原を星を見て渡る場面。

この映画の製作者はとても研究しているんだなぁと感じました。
そしてポリネシアに対してとても深くリスペクトしているということがひしひしと伝わってきました。

DVD/BDに映像特典のメイキング・ドキュメンタリーが付いているのですが、
映画を作るにあたって、足かけ5年間、何度も何度も太平洋の島々を巡り、
キャスティングもほぼポリネシア人、
脚本も多くの現地の有識者を巻き込み作成されている場面が描かれていました。

ホクレア号の伝統航海術ももちろん取材されていて、
スタッフもどんどんポリネシアに対する見方が変わり、
リスペクトしていっていました。

その象徴という場面、
ずっと西洋に文化を否定されてきたけれど、
現代の西洋が行き詰っているのを感じた時に、
モーレア島の漁師で長老でもある故イヴ“パパ・マペ”テヒホタータが語ります。
「今度は西洋が我々の文化に飲み込まれてみては?」
ハッとされられます。
まさに究極の発想です!!
本当に大切なヒントは、実は先住民の文化だったと多くの人が気付き始めているのです。



■ガイアシンフォニー(地球交響曲)という映画の第三番に
ハワイのホクレア号のナイノア・トンプソンが出てくる場面があります。
その取材の時の話で、
僕が大好きなエピソードがあります。

撮影前にクマに襲われて亡くなってしまった写真家・星野道夫と
ハワイのカヌーがなんと不思議な縁で繋がる場面です。

それは監督:龍村仁さんがナイノア・トンプソンを取材していて、聴いていて偶然繋がった奇跡の話です。

当時、ホクレア号を建設するときに必要な大きな大木が必要となりました。
しかし、ハワイにはそんな大木はなく、頭を悩ませていたそうです。

ですが、ある時アラスカから海流で流されてくる大きなトウヒの木が、
ハワイに流れ着き、それを使って大きなカヌーを作っていたことに気が付いたそうです!

偶然にも取材前に不慮の事故で亡くなってしまった星野道夫の撮影の舞台はアラスカ。
まったく別に取材していた二人の点が線で繋がった瞬間です。

そして星野道夫の生前最後のエッセイのタイトルが「旅をする木」。
あまりにも不思議で魅力的なこの話をしたとき、
鳥肌が立つほど感動したのを覚えています。


■先日、にっぽん丸に乗ってきたKONISHIKIさんが母島で素敵なライヴをしてくれました。
そう、彼はハワイ出身。
そしてフラ。
カヌー。

この小笠原に暮らしていて、古から今に繋がるものがこんなにあるなんて!!

ハワイはそのまま人が定住し、先住民となり今も暮らしていますが、
小笠原では石器時代の暮らしは今まで直接は繋がっていません。

太古の小笠原の暮らしはどうして続かなかったのか?
どんな暮らしだったのか?
その部分にとても興味があるのです。


きっと太古の子供たちも今と同じように海に飛び込んで遊んでいたでしょうし(笑)、


今はいない色んな鳥もいたはずです(これはメジロの巣立ちヒナです)。


水のない島に人は定住できなかったといいます。
今は水をたたえて美しいこの風景も、
ダムを作った現代ならではの島の風景です。

文化や暮らし、農耕、狩猟をしていても、
古の時代の暮らしをいつも想像しては、
色んな事に想いを馳せます。

きっと人の営みは基本的には何も変わらず、
幸せに生きる為に、
頑張っていたのではないかと思わずにはいられないのです。


ローゼル、種蒔きの季節~多種栽培~

2018年04月03日 | ローゼル栽培
■母島も4月となり、
そろそろローゼルの種を蒔く季節となりました。
(自分的には母島では3月~5月蒔きがベスト)

今季はなんと新たに3種類のローゼルの種が手元にあります(笑)。
○バリ・ローゼラ(去年行ったバリで購入)
○レッド・ローゼル(頂き物)
○パープル・ローゼル(頂き物)

バリのはうちなーローゼルに似た感じであるのを現地で見ましたが、
レッド、パープルの2種はまったくの未知の品種なので楽しみです。

レッドとパープルの種を下さった方によると、
「風味が濃く 色もパープルは濃く出ます。
煮溶かすと繊維が殆ど残らず加工しやすい品種」
との事でした!楽しみです♪

去年は母島、うちなー、ルビーの3種に挑戦し、
様々な違いがとても面白かったです♪

今年は6種に挑戦!
種を並べると、凄いですね~

旅をするたびに増える品種、この中からベストな3種位が見つかるといいな~と思ってます♪


■購入の方から色々と質問があり、
去年栽培した3種の特性を表にまとめてみました。

左:うちなー、中央:ルビーローゼル、右:母島ローゼル

それぞれに向いた特性があり、面白いですね♪

僕はいつも満月の3日前を目標に種を蒔きます。
時期と温度と天体のタイミングが合えば、発芽も結構スムーズです☆


蒔いて4日で発芽しました。

いつも思う事ですが、
あんな小さな種から、たった数日で大きな双葉が出てくる神秘に、
不思議な気持ちに包まれ、自然と感謝の気持ちが湧いてきます(*^_^*)

僕は最近はローゼルはポットで苗を作らず、
すべて直播きで栽培するに至りました。

その理由は台風に強くなること(倒れても根が切れず起こせて復活できる)、
栽培初期の後半の管理が楽なのと、
作物がより健全な根を張れるからです。

しかし、栽培初期の管理が少し大変で、
マイマイにやられる場合も多いので、
1か所に多めに蒔きます(10粒以下位)。
※マイマイの駆除剤も使わない方針です。


今の所、発芽率は50%位です。
これはもっと気温が上がると80%位まで上昇します。

しかし、母島では遅めに種を蒔くと、ゴールデンウィーク後に梅雨入りし、
マイマイの活動が活発化して、発芽後の双葉を食べられてしまう場合が増えます。

梅雨入りまでにそこそこ大きく育てば大丈夫なので、
早めに蒔くことにしています。

様々な理由でダメなときは何度も蒔き直しを行います。


去年のこぼれダネで発芽したローゼルは、
もうこんなに立派に育っています!


■少し前の2月にはモロヘイヤの種取りも行いました。
例年は1月に行いますが、今年は僕と子供のインフルエンザと冬の長雨でタイミングが合いませんでした(笑)。



カラカラに鞘が乾くまで待ちます。


近づくとこんな感じ。


木を鎌で根元から切り、
そのまま一輪車(ねこ)の台に叩きつけて鞘割りをします。

これがすんごく気持ちいい♡

集まった種はこんな感じです。

枯葉や枯れ鞘、ゴミはあとでうちわや風を利用して取り除きます。

あとは密封容器に入れて完了!
母島では4~6月に蒔きます。

夏の高栄養な葉物として重宝しますよ~~♪


■この春休み母親も長女も内地に行っていて、
親父と二人っきりの春休みを謳歌しています(笑)。

日々、畑にフィールドに島の自然を堪能しまくってます♪

彼女にとっては赤ちゃんの頃から保育園に年中で入るまでは、
僕とずっとこの自然の中で過ごしてきたので
いつも以上に生き生きしております(*^_^*)

やっぱり大自然の楽しさは偉大です!
いつも状況が異なり、飽きることがないし、
沢山のギフトをくれます。

次女も小さい頃から慣れ親しみまくっている環境なので、
遊びもレベルアップし、手慣れたものです♪

小笠原の脆い岩場だってクライミングしてしまう彼女。

こんな春休みもいいですね~♡