小笠原諸島・母島ジャイアン ブログ  -GIAN'S HAPPY BLOG-小笠原諸島・母島で自然農&便利屋

小笠原諸島・母島で持続可能な暮らしを目指しています。

その中や暮らしで学んだことを紹介したいと思います♪

母島2013年 ミズナギドリの記録

2013年12月30日 | 鳥獣保護員 活動
◆今年の秋~冬に母島で不時着したミズナギドリのまとめを報告したいと思います。
2013年はかつてないほどの数のミズナギドリが人の暮らしの明かりに寄せられ不時着しました。(11月21日~12月9日の期間でした)
その数はなんと208羽!

オナガミズナギドリが184羽。
オオミズナギドリが23羽。
シロハラミズナギドリが1羽という結果となりました。

写真で1回り大きい頭の白い個体がオオミズナギドリです。

保護した中で残念なことに命を落としてしまったオナガミズナギドリが11羽、保護して飼養の後無事に飛べたオオミズナギドリが2羽となっています。
光に飛び込む習性があり、特に巣立ち時には、街灯りに迷い、不時着します。
そうすると普段ずっと海の上にいる彼らはすぐに飛び立てない場合も多く、
ネコに喰われてしまったり、車に轢かれたりしまったする危険があります。

鳥獣保護員として、人の暮らしの影響で命を落とす野生の生物の被害を最小限にしようと夜間の回収を実施しました。
沢山の島のみなさんもライトダウンや回収、発見の連絡と協力をして頂きました。

昼間はフィールドや畑で集落に不在の僕に変わって母島観光協会が受け付けて下さいました。
連絡が入るとダンボールを持って直接回収に行ってくれたりしているのです。

お陰さまで未曾有の不時着の数でしたが、大きな被害とならず、数多くのミズナギドリを無事に放鳥することができました。
本当にありがとうございました!

◆母島列島の、オナガミズナギドリは鰹鳥島などの属島や母島本島では南崎等で繁殖・子育てをします。
有人島で現時点で繁殖が確認されているのはとても希なケースのようです。

夏に産卵し、冬にヒナ鳥が巣立ちます。
産卵前には1ヶ月間オスメスが並んで巣穴でぼ~っとする謎の「ハネムーン期」なんてのもあります♪
10m以上も潜って魚やイカを捕食するダイバーのような海鳥です☆


巣立ち直後なので、こんなアフロくんの様に産毛が残っている可愛い個体も数多くいます♪
アフロの他には胸毛くん、モヒカンくん、ヒゲヒゲや股間だけ毛深いマッスル派と随分と楽しませてくれます。

ちなみにこのアフロくんは随分と気性が荒かったので「具志堅用高」と名前が付きました(笑)。

鳴き声は様々ですがこんな鳴き声を記録できました。

まるで子供の玩具のラッパみたいです(笑)。

◆一方、小笠原では年に1羽ほどしか不時着しなかったオオミズナギドリも23羽と多数、不時着しました。

オオミズナギドリは北海道から八重山諸島で繁殖してる大きめなミズナギドリです。

小笠原ではとても珍しく、今年は色んな珍事件を発生させました。
なんと地中のパイプの下にハマっているのを発見なんてのもありました。

伊豆諸島の御蔵島では山中に繁殖し、島の食文化の中にも取り入れられています。

今回は貴重なオオミズナギドリの鳴き声の撮影にも成功しました♪

なんとも変な楽器のような鳴き声です。


今回は様々な事情で2羽ほどすぐに飛べないオオミズナギドリがいて、鳥獣保護員として少しの期間飼養しました。

中でも4日ほど羽の油が少なくて水に浮けなかった個体を放鳥したときは何とも言えない感動がありました。
その子とは放鳥のときには僕の股の下に来るほどの関係になりました(笑)。

そんな可愛いオオミズナギドリも野生化に戻らなければいけません。(実際、海鳥の餌やりはかなり大変です)

放鳥は基本的に砂浜にそっと置いてやり、自分で飛ぶ心の準備が出来てから自ら飛び出します。
多くの日は上に放り投げて舞い上げて飛ばすのをイメージしますが、あの方法は羽の筋肉を痛めてしまったり、うまく飛ばずに地面に激突して怪我してしまったりするので、最後の手段以外はやらないほうがいいようです。

待っていると、気の長い子でも30分位で飛び立ちます。

これはオオミズナギドリの放鳥シーンです。
お散歩中の島民のすぐ横を飛んで沖へと飛んで行きました。

本来は地面からは直接飛び上がれないなどと言われていましたが、200羽近く放鳥してみるとそうでもないように思えます。
うまく軽く飛び上がっていけるようです。
軽い向かい風があるのがベストのようです。

※様々な事故や怪我の可能性もありますので、もしご覧の皆さんが不時着した鳥を保護した場合はその地域の自治体の鳥獣担当者にご連絡下さい。
小笠原の場合は父島はNPO法人小笠原自然文化研究所(通称・アイボ)、母島は母島観光協会か僕まで連絡を下さい。
状態の確認、計測、記録をしてから飛翔可能な個体は放鳥します。


◆島に暮らす人たちにとっても、海鳥が落ちてくるこの時期は季節的なイベントになりつつあります。
特に子供たちの発見力と好奇心はとても素晴らしいです♪
我が家の子供たちも数多くの放鳥を手伝ってくれました。

夜間に回収したミズナギドリはダンボールで朝まで保護します。
数が多い日は15箱以上も並べて放鳥します。

我が家の4歳の次女は初めのうちは調教しそうなほどでした(笑)。


しかし、時々噛み付いてくる気性の激しい個体を見るうちに怖くなって来たらしく、逃げるようになってきました。

これは怖くなって姉の背中に逃げるようになった次女です(笑)。

それでもやはり鳥は大好きらしく、盛んに付いて来ます。
飛んでも海面に降りた個体を心配そうに駆け寄っていったりします。

個体によっては海面上で羽繕いをし直して、ゆっくりして飛ぶ心と体の準備をする子もいます。
最後は自力で飛んでいくのです。

朝の放鳥は子供にとっても楽しいイベントのようです♪

島の子供たちも回収、放鳥と多く関わってくれました。


それぞれ、自分で保護した個体を箱から出して放鳥します。


噛まれるととても痛いので手袋は必須です!

島に来た高校の修学旅行生にも放鳥を見学してもらったりしました。



そんなこんなで今年のミズナギドリも無事に巣立ち期を終えることができました。
こうして少しでも人の暮らしの影響で命を落とす野生動物を減らせたら嬉しいです。

本当にありがとうございました。

また春にはシロハラミズナギドリなど、小型の冬繁殖のミズナギドリが不時着します。
新種として報道された小型の「オガサワラヒメミズナギドリ」の繁殖も冬と言われています。
そんなとても珍しい個体との遭遇の可能性もあるわけです♪

母島で落ちて困っている鳥を見かけたらお気軽に母島観光協会や僕まで連絡を下さい。
よろしくお願いします。

◆ついこないだまでのそんなに遠くない昔、小笠原という海洋島は海鳥の宝庫でした。
そこでは海に流れた栄養は海鳥たちが地上へ戻す循環が形成されていました。
糞や骸へと形を変えて栄養が島の大地へと戻り、豊かな大地となるのです。

人の暮らしの影響で断ち消えたその循環は容易に取り戻せないでしょう。
新たにその循環の中に人の暮らしを経て、真の海洋島の循環が形成されることを願ってやみません。

今回の保護を通してそんな大きないのちの流れも感じさせてくれました。
私たちはその大きな自然の恵みの中で生きている、そんなことを感じさせてくれる島の秋冬の海鳥達の生命の躍動に触れた気がします。



小国「ウルグアイ」ムヒカ大統領の素晴らしいスピーチ。

2013年12月19日 | 名言集
「世界で最も貧乏な大統領」と言われている小国ウルグアイのムヒカ大統領が
2012年のリオ・地球サミットで語った素晴らしいスピーチの紹介をしたいと思います。

今までここまで言った大統領がいたでしょうか?
僕はダライラマ以外に政治的指導者がここまで視野の広い話ができる人を知りませんでした。
とても的を捉えた発言だと思います。

国に、私たちにムヒカ大統領は問いかけます。
人類の生きる意味とは...
発展の意義とは...

先進国はどのような気持ちで聞いたのでしょう。
ちなみに、日本ではほとんどTVや新聞でこのスピーチを取り上げていないそうです。

以下がその内容です。



会場にお越しの政府や代表のみなさま、ありがとうございます。
ここに招待いただいたブラジルとディルマ・ルセフ大統領に感謝いたします。
私の前に、ここに立って演説した快きプレゼンテーターのみなさまにも感謝いたします。

国を代表する者同士、人類が必要であろう国同士の決議を議決しなければ
ならない素直な志をここで表現しているのだと思います。

しかし、頭の中にある厳しい疑問を声に出させてください。

午後からずっと話されていたことは" 持続可能な発展と世界の貧困を なくすこと " でした。

私たちの本音は何なのでしょうか?
現在の裕福な国々の発展と消費モデルを真似することでしょうか?

質問をさせてください。

ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。
息するための酸素がどれくらい残るのでしょうか。

同じ質問を別の言い方ですると、西洋の富裕社会が持つ同じ傲慢な消費を世界の70億~80億人の人が
できるほどの原料がこの地球にあるのでしょうか?
可能ですか?

それとも別の議論をしなければならないのでしょうか?
なぜ私たちはこのような社会を作ってしまったのですか?

マーケットエコノミーの子供、資本主義の子供たち、即ち私たちが間違いなくこの無限の消費と発展を求める社会を作って来たのです。
マーケット経済がマーケット社会を造り、このグローバリゼーションが世界のあちこちまで原料を探し求める社会にしたのではないでしょうか。

私たちがグローバリゼーションをコントロールしていますか?
あるいはグローバリゼーションが私たちをコントロールしているのではないでしょうか?

このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で
「みんなの世界を良くしていこう」
というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?

どこまでが仲間で
どこからがライバルなのですか?


このようなことを言うのはこのイベントの重要性を批判するためのものではありません。
その逆です。我々の前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません、政治的な危機問題なのです。

現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。
逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。


私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。
幸せになるためにこの地球にやってきたのです。

人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。
命よりも高価なものは存在しません。

ハイパー消費が世界を壊しているのにも関わらず、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出しているのです。
消費が社会のモーターの世界では私たちは消費をひたすら早く多くしなくてはなりません。
消費が止まれば経済が麻痺し、経済が麻痺すれば不況のお化けがみんなの前に現れるのです。
このハイパー消費を続けるためには商品の寿命を縮め、できるだけ多く売らなければなりません。
ということは、
"10万時間持つ電球を作れるのに、1000時間しか持たない電球しか売ってはいけない社会" 
にいるのです!

そんな長く持つ電球はマーケットに良くないので作ってはいけないのです。
人がもっと働くため、もっと売るために「使い捨ての社会」を続けなければならないのです。
悪循環の中にいるのにお気づきでしょうか。

これはまぎれも無く政治問題ですし、この問題を別の解決の道に私たち首脳は世界を導かなければなりません。

石器時代に戻れとは言っていません。
マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです。

私の謙虚な考え方では、これは政治問題です。
昔の賢明な方々、エピクレオ、セネカやアイマラ民族までこんなことを言っています

「 貧乏なひととは、少ししかものを
  持っていない人ではなく、
  無限の欲があり、いくらあっても
  満足しない人のことだ 」

これはこの議論にとって文化的なキーポイントだと思います。
国の代表者としてリオ会議の決議や会合をそういう気持ちで参加しています。

私のスピーチの中には耳が痛くなるような言葉がけっこうあると思いますが、みなさんには
水源危機と環境危機が問題源でないことを分かってほしいのです。

根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。
そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということ。

私は環境資源に恵まれている小さな国の代表です。
私の国には300万人ほどの国民しかいません。

でも、1300万頭の、世界でもっとも美味しい牛が私の国にはあります。
ヤギも800万から1000万頭ほどいます。

私の国は食べ物の輸出国です。
こんな小さい国なのに領土の90%が資源豊富なのです。

私の同志である労働者たちは、8時間労働を成立させるために戦いました。
そして今では、6時間労働を獲得した人もいます。
しかしながら、6時間労働になった人たちは別の仕事もしており、結局は以前よりも長時間働いています。

なぜか?

バイク、車、などのリポ払いやローンを支払わないといけないのです。
毎月2倍働き、ローンを払って行ったら、いつの間にか私のような老人になっているのです。
私と同じく、幸福な人生が目の前を一瞬で過ぎてしまいます。

そして自分にこんな質問を投げかけます。

"これが人類の運命なのか?"

私の言っていることはとてもシンプルなものですよ。
発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。
発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。

愛情や人間関係、
子どもを育てること、
友達を持つこと、
そして必要最低限のものを持つこと。

これらをもたらすべきなのです。
幸福が私たちのもっとも大切なものだからです。

環境のために戦うのであれば、
人類の幸福こそが環境の一番
大切な要素であるということを覚えておかなくてはなりません。

ありがとうございました。




人類の発展とは、幸福とは、運命とは...?

一体私たちの住む、この世界はどこに向かっているのでしょうか。

物を大切に、資源を大切に、と言いながら、次々と新しいものを
作り、売らなければ成り立たない経済社会。

失われていく環境、資源...
増える支払い、ローン、労働時間。

根本的な世界のシステムを、考え直し動く時だと思います。

オナガミズナギドリの巣立ちがほぼ終わりました!!

2013年12月10日 | 鳥獣保護員 活動
■メリークリスマス♪
オナガミズナギドリの巣立ちがほぼおわりました!!
と同時に島ではクリスマスイリュミネーションの開始です♪
小笠原のクリスマスはオナガミズナギドリが運んでくるのかもしれません☆



今年は母島に不時着した巣立ち鳥が本当に多く、なんと200羽を超えました(例年の5倍以上!)
11月下旬~のオナガミズナギドリ巣立ち期では、多くの島民の皆様からの発見、ご連絡を頂きました。

お陰さまで、たくさんの巣立ち鳥を、無事、海へ戻すことができました。
ありがとうございました☆


■母島列島の、オナガミズナギドリは鰹鳥島や南崎で子育てをします。
夏に産卵し冬にヒナ鳥が巣立ちます。
光に飛び込む習性があり、特に巣立ち時には、街灯りに迷い、不時着します。
夜間回収はライトダウンでヒナ鳥が救われています。

南島の営巣センサス調査(事業者:IBO)では巣立ち100%を確認したそうですが、センサス外の巣ではまだ巣立ちが遅れた個体が待機しているようです。
すべての巣立ちが終わるのは12月中旬から下旬。
しかし、巣立ちのピークはもう乗り越えたと言って大丈夫なようです。


鳥類初心者の僕が11月に鳥獣保護員となった瞬間に信じられない数の鳥が不時着しました(過去最高らしいです)。

同時に鳥類保護のパートナーの翼くんも傷病鳥獣を扱える資格を持ったばかり。
※ちなみにうちの次女のマリアが母島で一番大好きなお兄さんです♡

母島の2人のデビューには十分すぎるほどの経験を積ませていただきました(笑)。
本当に毎晩、どうもありがとうございました。

まだ完全に巣立っていない個体が落ちてきますが、その時は昼夜問わずまた連絡を下さい。
よろしくお願いします。

東京都鳥獣保護員@宮城雅司