四方源太郎日記(京都府議会議員・綾部市選挙区)

これからの綾部のために、さらなる「挑戦」を!

児童相談所のあり方を考える地方議員懇談会

2023年06月25日 | 論評・研究

 25日㈰遅めの朝ご飯インスタントの麻婆豆腐を作って、麻婆丼にした。麻婆丼は一番くらい大好きな食べ物だ。

 午後からは事務所に行き、書類整理やブログ書きなど。

 17時半から、オンラインによる「児童相談所のあり方を考える地方議員懇談会」発会の集いに参加した。千葉県議岩波初美さん(鎌ヶ谷市)呼びかけ人としてこの会の代表に就任され、私も副代表になることになった。

 この会の役員や会員の皆さんとは一度も直接お目にかかったことはないのだが、こういう形で組織が生まれていくことに、コロナ後の社会の面白さを感じる。

 この会の目的は…

「本会は、児童相談所にかかわりのある住民への相談対応を行う地方議員を中心に構成する。近年、虐待による児童死亡事例が抑制できない一方で、その反動として証拠も実害もない中で親子分離を強行するという行き過ぎた児童虐待対応が、全国各地で発生している。

 こうした児童相談所機能の不全は、児童相談所に絶大な権限を与えると同時に、多様で難しい役割と高度な判断を児童相談所組織に全面的に押し付けるという、我が国の虐待防止システムが現実からかけ離れて設計され運営されてきた結果である。

 児童の生命と安定した生活環境を保障するために、誤認での一時保護発生抑制と、公正で透明な児童相談所運営を実現させる目的で本会を設置する。

 同時に児童福祉法の原理である、児童の最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう、保護者がその第一義的責任を負い、その保護者とともに行政が責任を負う、この原理を尊重する国と地域を形成するために本会は機能する」

 …と、文章的には少し難しいが、児童虐待の防止強化と共に、「冤罪」からどう親子を守るかについても考え、そのための法整備等の働きかけをするために、地方議員が連携して声を上げるという趣旨であり、そこに賛同している。

 私も数年前、誤認保護によって8ヶ月間、親子が音信不通で引き離されたケースの相談を受けた。このケースでは保護者が親族の援助等でお金を工面され、二人の弁護士を立てて裁判された結果、裁判所の仲裁で京都府に申し立てを取り下げさせることができたが、こういったことがあまりにもブラックボックス化していることに当時、絶望感を抱いた。

 今日の発会の集いに参加して、精神科医の先生からお話を聴く中で、全国にはそういう事例がたくさんあることや、そのことで悩んでおられたり、精神疾患になられた方がたくさんおられることが分かった。

 

 昨年、令和4年2月府議会の一般質問で、私は下記の質問をした。

 児童相談所業務に対する第三者の評価・検証についてお伺いします。
 児童虐待によって幼い子どもが傷つけられたり、命を奪われたという報道に接するたびに、頼るべき存在である親から虐待を受けた子どもたちは何を頼りに生きていたのだろうか、どうにか助けられなかったのかと悲痛な思いになります。それは、どなたも同じだろうと思います。児童相談所や市役所がその家庭を把握していた場合は余計にそう思います。児童相談所でも努力していただいていることは理解しておりますが、さらに一歩を踏み込む勇気と、それを組織として後押しする仕組みが必要だと感じます。
 京都府では、今議会に「子どもを虐待から守る条例」を提案いただき、児童虐待防止の強化を図ろうとしていただいております。虐待が疑われた場合は、調査の前にまずその児童を保護し、児童の安全を確保した上で、保護者から丁寧に事情を聞くべきだと考えます。そして、保護者と児童相談所の意見が食い違った場合には、その保護が適正であるかどうか、第三者機関が公平に審査できる仕組みが必要だとも考えます。
 3年前の2019年2月議会予算特別委員会健康福祉部の書面審査において、私は福知山児童相談所が、ある児童を保護したケースを取り上げて質問しました。そのケースでは、保護者が虐待を認めなかったとして、児童相談所が児童養護施設への送致を決定し、裁判所に申立てを行いましたが、結局は児相がその申立てを取り下げざるを得ませんでした。それは、裁判所による調査の結果、虐待があったという事情はうかがわれないとの意見書が裁判長に提出されたからです。こういった調査は、児相が裁判所に申立てをする前に自らが行うべきものであったと考えます。
 なぜこういう事態が起こったのか、私は関係者の話を聞きました。保育園、市役所、児童相談所のそれぞれがあやふやな情報と思い込みによって、こういう事態に至ったことが分かりました。福知山児童相談所が裁判所に証拠資料として提出した当該児童への聴取記録は、予算特別委員会で一部を読み上げましたので府議会の議事録にも残っておりますが、私はこれは誘導尋問だと申し上げました。一方的な思い込みによって、結論ありきの調査が行われていたと言わざるを得ません。
 京都府の社会福祉審議会の中には、児童福祉専門分科会児童相談業務評価検証部会という、いわゆる児童相談所の業務を評価・検証する組織がありますが、このときは、評価検証部会の委員の一人が裁判で児相側の弁護人も務めておりました。チェックする側とされる側が同じ人物で、適正な評価・検証が行われていたとは思えません。この親御さんは多額の費用を工面され、弁護士に依頼されてお子さんを取り戻すことができました。もし弁護士費用が払えなければ、泣き寝入りしておられたかもしれません。その場合は子どもを虐待した親だと無実の罪を着せられ、何の問題もなかった親子は音信不通の状態で成人になるまで会うこともできなくさせられていたでしょう。児童虐待と同様の悲劇を生むところでした。
 私は、今回の新しい条例によって、子どもたちへの虐待が根絶されることを強く望んでおり、虐待が疑われる場合には、積極的に保護を行うことについては大いに賛同いたしますが、その一方では、児童相談所の思い込みによってのみ様々な判断がなされることのないよう、第三者による適正な事業評価・検証の仕組みを取り入れるべきだと考えます。
 新しい条例案の概要には、そういった仕組みの導入について具体的な記載がありません。3年前の反省も生かし、新しい条例の制定によって児童相談所に対する評価・検証の仕組みをどのように再構築されるおつもりなのか、お答えください。

 

 これに対し、長谷川学健康福祉部長の答弁は…

 四方議員ご指摘のとおり、子どもの命を守るため一時保護が必要な場合には、ちゅうちょなく行うべきである一方、一時保護は子どもの行動の自由や就学の停止など権利を制限することとなります。さらに、親権の行使等に対する制限でもあるため、判断の適正性や手続の透明性の確保が不可欠であると考えております。
 そのため京都府では、今議会で提案しております「京都府子どもを虐待から守る条例案」において、権利の擁護として虐待を受けた子どもから意見を聞く機会等の確保に努めること、また児童相談所の機能強化として、その機能を適切・効果的に発揮することができる運営体制の強化に努めることを規定しており、今後、条例の内容を具体的に実現していくため、弁護士などが子どもの意向確認を行う仕組みや、児童相談所の権限を適切に行使できるよう第三者による評価・検証を導入することとしております。
 さらに、国においては、今月3日の厚生労働省社会保障審議会専門委員会で、一時保護の司法審査の導入に向けた報告が取りまとめられたところであります。報告では、児童相談所が親権者等の同意を得られないまま一時保護を行った場合には、裁判所が保護の適正性について審査することとなっております。この司法審査の導入を含む児童福祉法の改正案については、現在開会中の通常国会に提出される予定と伺っております。
 今後とも、子どもの最善の利益を守る観点から、国の動きも踏まえながら、児童相談所の判断の適正性や手続の透明性の確保が図れるよう、運営の強化に努めてまいりたいと考えております。

 …というものであった。

 

 児童虐待から子どもの命を守るには「間違っていてもいいから、疑いがあれば躊躇なく一時保護し、保護した後で中立機関が事実関係を調査して間違っていればすぐに保護者の元に返す。その間違いについて、児童相談所の責任を問わない」という仕組みを創らなければならないと考えている。

 4年前に3期目当選を果たした年である令和元年度、私は府議会で子育て環境の充実を図る特別委員長を務め、令和2年5月に京都府知事に対して「児童虐待防止条例(仮称)」の制定を提言した。

 それを受けて、令和4年3月「京都府子どもを虐待から守る条例」が制定されたが、仏を作ってさらにそれに魂を込められるように、今後も児童虐待対策の内容の充実に取り組みたい。

 

 こういった京都府議会の本会議や委員会でのやり取り京都府議会HPの「会議録検索」で発言者名や発言語句から検索することができますので、興味のある方は検索してみてください。

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