国連女性差別撤廃条約(CEDAW)は、中絶についての記載はない。1970年代に、女性に対する暴力がまだ問題とされていなかったという限界があるのと同時に、中絶とか同性結婚とか現在でも政治的な問題についても、やっぱり沈黙を保ってる。
↓噴水で遊ぶ子どもたち
倫理的にはいろんな議論が可能だとしても、女性の権利擁護の観点からは、中絶は女性の権利として認められないといけないし、同時に、一人っ子政策のような出産制限を強制したりロマ人や障がいをもった女性への強制避妊手術とかは絶対否定されないといけない。
↓レストランでじっとできない子ども
カンボジアの学生たちと接していて難しいといつも頭をかかえるのは、「中絶は殺人だ」と思っている若者が圧倒的に多いこと。成人女性たちも、きっと、中絶はぜったいよくないと信じている人が多いと思う。5月ごろ、アルゼンチンの最高裁が「レイプの結果での妊娠の場合、中絶を容認する」という歴史的な判決を下したのだけれど、この判決にたいする意見調査でも、賛否は半分くらいにわかれて、女子学生は大多数がレイプの結果の妊娠でも中絶はだめという意見。
↓子どもは、電車の本をもらって超ハイテンション
こういう複雑な問題を、どうやってCEDAWの教科書に記載しよう・・・・と思って、いろいろと調査してると、便利なネットではたくさんの情報がでてきて、以下パキスタンの悲惨な情報が入手できたのである。
↓子どもたちはパスタやPIZZA大好き
*****************
パキスタン医科学研究所(PIMS; Pakistan Institute of Medical Sciences)の婦人科病棟に務める看護婦は、21歳の未婚女性から中絶手術の相談を受けた。その女性は鉄道で移動中にレイプされ妊娠してしまったという。しかしPIMSでの手術は拒否された。国立病院では非合法な中絶は厳しく禁止されているためだ。
イスラマバードやラーワルピンディでは、違法な中絶手術を行っている診療所がたくさんある。料金は高額で、1回の手術で5~6万ルピーが請求される。診療所では助産婦が協力しているケースも少なくない。また、なかには自宅で中絶手術を施す助産婦もいる。秘密裏に行われているため、誰もチェックできないのが現状だ。
カラチで行われた母性等に関する討論会では、パキスタン人口保健調査(PDHS; Pakistan Demographic Health Survey)の調査結果が公表された。これによると、全国で89万件以上の中絶が行われており、妊娠件数の6分の1に相当する。議会では妊娠中絶のようなセンシティブな問題を扱うことが避けられがちなため、危険な中絶手術をなくすための対策がとられていない。中絶は宗教の教義に反するため禁止されていること、そして母性衛生の問題への理解が行き渡っていないことから、中絶に関する議論には大きなコミュニケーションギャップがある。
クエッタでは、家族保健計画(Family Health Planning)事務所のスタッフ3名が射殺される事件があった。過激論者グループが家族計画に反対しての犯行との見方もあり、中絶に関する認識を高める動きは停滞している。家族計画プログラムの実施は、たとえ医師やウラマー(イスラム学者の権威)の承認を得たとしても、過激論者がいるかぎりは難しい。ほんのわずかなことでも反発を招き、教義に反すると思われることを言えば殺されかねない。とくに保健分野では、こうした状況が大きな障壁だ。
パキスタンでは中絶は違法ではないが、確実に制限されている。1990年代前半の法改正で、母親の生命への影響その他の事情があれば中絶を認めるとされた。その他の事情が何かは特定されておらず、基準は曖昧だ。女性たちは家族計画の手段として中絶を選ぶ。家庭で行われる中絶により死亡する女性も多い。
中絶は犯罪であるとする考えや、宗教で禁止されているかどうかに関する明確な姿勢が求められる。メディアで議論することも必要だとある専門家は訴える。「全国のテレビで中絶について発言するには1分あれば十分だが、中絶問題に関するヒステリーを鎮めるには100万年かかる。」
Every sixth pregnancy in the country is aborted, reveal experts (Express Tribune, Feb 11, 2011)
2011年2月11日
パキスタンの妊娠中絶の現状http://dubaislama.main.jp/news/2011/02/post-59.html