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「密教への道」最終講座

2009年03月22日 | 仏教・仏像

6回に渡る「密教への道」の第6回目。
とうとう最後の講座の聴講となった。

インドで誕生した仏教から密教が生まれる過程→密教とは何か→空海の密教観→両界曼荼羅に付いて・・・と続いた最後は、「空海密教の完成」に付いて。

弘法大師空海の際立ったところは、信仰を社会の中で形として表したことだと思う。
御仏の救いの具現化と言おうか。

・決壊ばかりしていた満濃池(四国)を修築し、灌漑用池として安定した水を供給させた。
・学問所である綜藝種智院(しゅげいしゅちいん)を創設して教育環境を整備した。この綜藝種智院は後に寺子屋に発展する。
・国の恩を重要視した空海は、鎮護国家の修法「御七日御修法」を行い、それは現在に至っている。
・その他、日本最古の字典を編み、三筆の一人で文藝に優れ、薬学の知識も豊富だった。

その空海が、唐より密教を持ち帰り、日本にて完成させたのが「秘密曼荼羅十住心論(ひみつまんだらじゅうじゅうしんろん)」で、
逆に言えば、この「十住心論」により、インド→唐→日本にと渡って来た密教は完成を見た。
ちなみに、現在までもインドで起きた密教が息づいているのは、日本とチベットだけ。

「十住心論」は、その名が示す通りに、本能だけに生きる凡夫が悟りの境地に至るまでを十の段階に分けてまとめられたもの。
十個それぞれの段階を「住心」と呼ぶ。

①異生羝羊心(いしょうていようしん)
異生とは凡夫のこと。
食と性欲の盛んな羊の如く、本能に支配されている状態。
②愚童持斎心(ぐどうじさいしん)
本来、人が持っているはずの仏性が少しだけ開いた状態。
自分を戒め、倫理道徳の道を行こうとする心境。
③嬰童無畏心(ようどうむいしん)
宗教的感情(祈りの心)が芽生えた状態。

①~③の此処までが、仏教以前のステージ

④唯蘊無我心(ゆいうんむがしん)
自分を深く追求した末に、自我は実在しないことを知った状態。
我は無なり。
⑤抜業因種心(ばつごういんじゅしん)
人が持つ苦しみの原因を悟り、独力で迷いの世界を取り除くことが出来る心境。
しかしながら、それは個人としての悟りで、他人を救うまでには至っていない。

④~⑤は、小乗のステージ

⑥他縁大乗心(たえんだいじょうしん)
自分と共に他人も救う心が生じる。
慈愛の心。
⑦覚心不生心(かくしんふしょうしん)
あらゆる現象の実在を否定することにより迷妄が断ち切られ、心が静まって安楽になった状態。
⑧如実一道心(にょじついちどうしん)
⑦で否定した現象の実在を肯定し、現象は分け隔てなく清浄であるとし、それこそが大日如来の表れとする。
⑨極無自性心(ごくむじしょうしん)
究極の境地に至りつつも、自分を戒め、更なる上を求める。

⑥~⑨は、大乗の顕教のステージ。

そうして、最後の十番目で密教のステージへと到達する。
①~⑨までで、理論としての密教が完成し、⑩で密教の実践となる。実践なくしての密教はあり得ない。

⑩秘密荘厳心(ひみつしょうごんしん)
無限に展開する心の世界。
真言密教は真理の扉を開く、開かれた中の宝はたちまち現れて、あらゆる価値が実現される。

以上、①の住心から始まって、究極の⑩へと至るわけだが、此処で注意したいのは、空海は低いステージの①や②を蔑ろにせず、⑩の秘密荘厳心、即ち密教の実践段階に至るには①も②も⑤も⑨も・・・と、全てのステージが必要不可欠なプロセスであると説いていることだ。
序列こそは付けるものの、貶めることはない。
秘密荘厳心のステージだけが密教なのではなく、全てのステージの過程が密教であるとする空海の思想こそ、広大無辺の境地だと思う。

そして、講話は密教から仏教に戻る。

今まさに涅槃に入ろうしている釈迦に、弟子入りを願った人物が居た。
名前はスヴァドラ。
釈迦はスヴァドラの願いを聞き入れ、そしてこう言った、
「私は良き道を求めて51年間生きて来た」

良き道とは、煩悩に囚われぬ心。
自分に降りかかった災厄の原因を外に求めようとした時、人の心に貪・怒・愚の三つの煩悩が頭をもたげる。しかし
「起きていることは全て正しい」
と正視し肯定することが、災厄の原因を自身の内部に追求する心を起こさせ、貪・怒・愚の三煩悩には至らずに居られる。

不幸な境遇の解決は、自分自身の心にある。
自分の外部に何かを求め続ける限り、人は幸せになれない。

「自分に何かが降りかかった時、自分の心に目を向けられるか」
これが、講話の最後の教えだった。

・・・と、まぁ自分なりにまとめてみたものの、「十住心論」の件を文章にするのは難しいっ!
特に、大乗のステージ以降が難しく、此処には仏教の柱とも言うべき「唯識」「中観」の思想が入り、それがチョ~難解!文章化なんて無理無理。
何せ「無我」に「空」だもんな~。

・・・てなワケで、此処から容量を超えて使ってしまったアタマのリセットタイム。

インドと言えば、この人!

Kaob10_1

レインボーマンだぁ~!

♪インドの山奥で、修行をして♪
七つの化身を持つ秘法を身に付けた、サイババ顔負けのヒーロー!


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2 コメント

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すばらしい!! (ナムナム)
2009-03-23 00:33:06
すばらしい!!
よくぞそこまでご理解されました。私など、大学の講義でも分かんなかったのに・・・

ところで、インドの山奥で修行したレインボーマンの「師」は、何と「台場だった」・・じゃなくて「ダイバダッタ」!
変身の呪文が「アノクタラサンミャクサンボダイ」!!
故・川内康範さんは、どういう宗教観でこれを作ったのでしょう?
ここに出てくる「死ね死ね団」というのが、オウム真理教とオーバーラップするんですよね。
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レインボーマンは、「おふくろさん」作詞の川内氏... (カメ)
2009-03-23 08:26:40
レインボーマンは、「おふくろさん」作詞の川内氏のプロデュースですか・・・知らなかった!
去年のお盆にお配りした寺便りに檀家さまが寄せて下さった寄稿文が川内氏と森進一の確執に触れたもので、その文章には「川内氏は寺の息子で、大黒さんであった母上がとっても慈悲深い人だった」と書かれていました。

その様な少年時代が「インドの山奥で♪」を編み出したのでしょうかね。

・・・にしても、難しいっすね、仏教は。
唯識と中観を把握していないと、その後の思想展開を学ぼうとしてもチンプンカンプンになりますね。
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