旧愚だくさんブログ

愚だくさんブログ過去記事蔵です。

仏像返せ!

2013年04月03日 | 仏教・仏像

仏像を盗まれた対馬市の観音寺前住職を中心に仏像の返還を目指した
「対馬観音寺の観音様を守る会」
が結成された。


署名を兼ねた葉書で応援と支持を伝えよう!おう!

 

〒817-0022
対馬市厳原町国分1453
西山寺(御山内)
対馬観音寺の観音様を守る会



この際、対韓感情抜きにしたって構わない。
西山寺のために、
貴重な文化財を取り戻すために、
信仰の対象を取り戻すために、
是非ともご協力をお願いします!


金剛界礼懺

2012年11月23日 | 仏教・仏像

真言宗智山派伝法院の「常用経典」の講座は、先月今月の2回続きで「金胎礼懺(こんたいれいさん)だった。


礼懺は「礼拝」と「懺悔」の略称で、金剛界と胎蔵界の二種があり、それぞれ①懺悔②礼仏③嘆徳(諸尊の仏徳を讃嘆する)④発願⑤結偈(結びの文)の五つにより構成される。
真言行者は、金剛界胎蔵界曼荼羅の諸尊を礼拝することにより自己のあまねく罪業を除き、心身の状態を調える。
(テキスト抜粋)

そして、前回は胎蔵界礼懺、今回は金剛界礼懺の講義。

以前、「金剛頂経」講座を聴講したら益々ややこしくなった曼荼羅が、この金剛界礼懺経ではすっきりと理解出来た・・・いや、それは言いすぎか、何せ曼荼羅だなからなぁ・・・アウトラインをガッツリと掴んだとでも言うか・・・いや、それも言いすぎか・・・と、まぁ、吹聴は出来ないまでも自分なりに分かったのだった(汗


金剛界曼荼羅のキーワード、それは相互供養!


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(↑金剛界の中心、成身会の図)


<金剛界五仏>
大日如来
①阿閦如来
②宝生如来
③阿弥陀如来
④不空成就如来

大日如来の徳を四如来がそれぞれ分割して持っている。
つまりは、大日=阿閦、大日=宝生、大日=阿弥陀、大日=不空成就

画像の赤い線は大日如来が四如来を供養することを表し、線の先には供養のためのみ仏が存在する。
青い線は四如来が大日如来を供養することを表し、線の先には供養のためのみ仏が存在する。

赤コーナー
①内四供養菩薩
②四摂菩薩
青コーナー
③四波羅蜜
④外四供養菩薩
⑤大日如来&四如来
⑥四如来をそれぞれに取り巻く眷属(有名どころは金剛薩埵)である十六尊
の合計三十七尊が相互供養の下に展開されているんだわねぇ。
そして、その三十七尊を礼拝するのが金剛界礼懺、と。

そして、三十六尊は等しく大日如来であり、逆もまた然り。
大乗仏教の基本「仏性」を密教的に説いたのが金剛界曼荼羅で、曼荼羅に存在する末端のみ仏も大日如来と同一の存在、まさに個々の仏性。

ちなみに、金剛界を英訳するとdiamond worldだそうだけど、胎蔵界や金剛界の「界」の意味はworldではなく、「身」「舎利」「要素」「性(仏性)」とかなり内面的な世界となるそう。


以上、忘れないうちにザッとまとめてみた。


足利に伝わる二軀の大日如来像

2012年11月10日 | 仏教・仏像

栃木県立博物館にて開催中の
足利尊氏~その生涯とゆかりの名宝~
を観覧。
そして、山本勉氏の講演「足利尊氏と仏像」を聴講して来た。

先の記事でも触れたけど、山本勉氏と言えば、足利市光得寺に伝わる大日如来像、そしてクリスティーズ・オークションに掛けられたことで大きな話題を呼んだ現・真如苑の大日如来像が「運慶の作である」と追究したことで有名な学者さん。
日本彫刻史の中でも運慶を始めとする慶派作品の研究を主にしていらっしゃる。

今回の講演も光得寺像と真如苑像の二軀の大日如来像についてが主な内容だった(期待通り)。


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↑光得寺像

光得寺大日如来像は、足利義兼(尊氏の6代前である足利氏2代目当主。妻は北条政子の妹)に縁が深く、鑁阿寺奥の院であり義兼の御廟所でもある樺崎赤御堂に安置されていた。
やがて、樺崎赤御堂は樺崎八幡宮となり、明治の神仏分離令に従い大日如来は石造五輪塔などと共に光得寺に移された。
鑁阿寺に伝わる「鑁阿寺樺崎縁起●仏事次第」の中には、その存在が記されている。

厨子内に配された三十七尊、当初は八頭であったと思われる台座を支える四頭の獅子は、東寺講堂ご本尊である大日如来像の荘厳と同じで、此処からも東寺像を規範としていた運慶作である裏づけになるそう。


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↑真如苑像

このお像に関しても「鑁阿寺樺崎縁起●仏事次第」に触れられており、「宝形御厨子」に納められた「三尺皆金色金剛界大日如来像」がこれであると考えられ、光得寺像よりも年代が遡ると思われるらしい。


講演中、スライドにて、運慶のデビュー作と言われる円成寺大日如来像、そして運慶最晩年の作と言われる興福寺北円堂弥勒菩薩像が映し出されたが、真如苑像は明らかに円成寺像寄りのお顔立ち、そして光得寺像はこれまた明らかに興福寺北円堂寄りの顔お顔立ちをしていおり、その差異が面白かった。


ところで、山本氏が光得寺像と巡り会う契機となったのは、その当時群馬県立女子大に通う学生が光得寺像を卒論テーマにしたことだった。
方や、真如苑像との経緯は・・・
この講演で初めて知って、驚いた。
真如苑像を有していた足利市在住の某氏から山本氏宛てに書状が送られたそう。
「あなたが解き明かした光得寺の大日如来像と私が有する大日如来像の像底部分があまりにも似ている。ひょっとすると、光得寺像のように胎内に何かが入っているかも知れない。それを解明するにはどこを頼れば良いのか」
と、簡約するとこんな内容の手紙に同封された2枚のスナップ写真。
これを見た瞬間、山本氏は仰天したそう。
「これは只事ではないぞ」と。


そして、此処からがヒジョ~に興味あるお話だったのだが、その某氏は某古美術商から購入したそうで、その古美術業者は関東北部で入手したと言う。

推測するに、このお像が光得寺像に続き、ほぼ間違いなく運慶作であろうと解明された時に話題になり、それから約4年後にニューヨークのクリスティーズに掛けられると分かるや否や「日本文化の海外流出の危機!」と大騒ぎになり、足利市では「足利市民で買い戻そう」なる大々的な運動まで起きたほどだった。
もしも、このお像が盗難によって某古美術商から某氏に渡ったものであれば、これだけ大々的に報道されたら「これはウチの仏さま!間違いない!」と持ち主が現れそうなものだが、そんな気配は一向になかった。
・・・ってことはだ、このお像は売られたのだろう。
そして、売却したのは他ならぬ寺の住職・・・決まりだな。

実は、類似のことがウチの近くでもあった。
由緒正しき観音さまを売っ払って、厨子には蝋細工に金箔を施した観音さまを入れて誤魔化してい悪党僧侶が居った。
売却して得たお金は、当然のことながら遊興費用。
欲まみれの悪党坊主、来世は餓鬼道に堕ちるであろう。南無・・・


しかし、結局は某氏ですらこのお像がトンデモナイ価値のあるものだと分かるや、一番センセーショナルなやり方で売却してしまう。
本当に真如苑像は人の欲に翻弄されたお像だと同情を禁じえない。
またそれだけに、このお像の生き残るための執念をヒシヒシと感じるのも確か。

真如苑がどのような宗教団体かは存じ上げないが、少なくともこれ以上この大日如来像を辛い目に遭わせないで欲しい。
そして出来れば、ずっと公開可能にして欲しい。
調査期間が過ぎたら真如苑ご本尊として厨子の中、門外不出・・・なんてことにはなさらぬよう(祈


以上、かなり乱雑な上、感情的な着地をしたレポートになってしまった(汗
・・・が、山本氏の講演は非常に面白かった。


しかし、仏像は良いね。ちっとも飽きない。
今月末には、本山研修にて滋賀県の湖東三山巡りをする。
湖東三山と言えば藤原時代の仏像の宝庫~☆
そして、その翌週は奈良マラソンのアフターランにて奈良の古刹巡り。天平時代の仏像群~☆
今月は、鎌倉~平安~奈良へと一気に時代を駆け上り!
これを仏教美術的に言えば、奈良~平安期、そして鎌倉期にて原点回帰の動きが活発になる(仏教も造仏も天平の頃に戻ろうとする)ことから、
奈良~平安=往路、平安~鎌倉(擬似奈良(笑))=復路
仏像駅伝だと思って駆け抜けるぜ♪


密厳院発露懺悔文

2012年06月08日 | 仏教・仏像

昨日は智山伝法院の平成24年度受講講座初日で、昨年に続いてまた月に一度のオノボリサンが始まった。

第一回目は
「密厳院発露懺悔文(みつごんいんほつろさんげのもん)」

これは、新義真言宗の祖である覚鑁(かくばん)により著されたもの。

覚鑁が生きた平安後期は非常に不安定な時代で(平成と同じ!)、政治は腐敗し(今と同じ!)社会秩序はくずれ(同じ!同じ!)自然災害が度重なり(これも同じ。涙)人々は末法の世が来たと恐れおののいていた。
そして、あろうことか仏教界も荒んでおり、僧が僧兵となり仏塔や伽藍の破壊が繰り返された。

そのような時代に、高野山の伝法会を再興を志して入山したのが覚鑁。
覚鑁は、大伝法会を行うために大伝法院と密厳院を建立するなど精力的な活動をし、従う僧侶も増え、入山からたった4年で高野山の一大新勢力となった。

しかし、此処からが良くある話で(笑)そんな新勢力を面白く思わぬ旧精力・金剛峰寺方は、覚鑁を非難し批判し追放しようとする。
そして、大伝法院方と金剛峰寺方の軋轢がひどくなり、とうとう覚鑁は密厳院に籠もり約1500日に及ぶ無言三昧行に入り、自行内観に専一した。
その時に著したととされるのがこの密厳院懺悔文。

8年間に及ぶ大伝法院方と金剛峰寺方の確執の中で、僧侶による様々な悪行を目の当たりにし、それを懺悔する心で著したものとされる。

そこには、生きとし生ける者が犯してしまう悪行を私(覚鑁)が代わりに懺悔し、その報いを受けましょうぞ・・・と。

何て崇高な精神なんだ!


しかし、それだけに自分にゃ耳が痛い内容で、例えば

「屡しば忿恚を起こして忍辱ならず
多く懈怠を生じて精進ならず」
(よく怒りの心を起こして我慢することもなく、何時でも怠けてばかりでちっとも精進しません)

「遊戯笑語して徒らに年を送り
諂誑詐偽して空しく日を過ぐ」
(遊び戯れ、笑い話をして無駄に年を送り、他にへつらい欺き、空しく日を過ごしています)

これって、まんま自分やん!

つーか、そんな自分の不徳すら代わりに懺悔してくれるのだろうか、興教大師。


あれ・・・?
ひょっとして、自分、坊さんだった・・・?

あいや~!
代わりに懺悔する立場じゃん・・・


ほとけの教えは?

2011年11月29日 | 仏教・仏像

これまでにも何度か書いたが、ウチのじいちゃんは現役バリバリの認知症。


一昨日の夕ごはんの時、
じいちゃんが箸ではさんだ芋の煮ころがし、
ツルン!と箸から落ちた。

お陰でじいちゃん大慌て!
やおら立ち上がり、血相変えて、
テーブルの隅から隅までを凝視しつつ

「芋がなくなったぞ!何処に行ったんだ!」

と、ワラワラワラ・・・

「じいちゃん、芋はお鉢の中だよ。元の場所に戻っただけだよ」

と言ったら、強張った顔が一気にほぐれて

「お~、そうかそうか。ところで、俺の芋はどれだ?」

「多分、コレ」

「コレか。そうかそうか・・」

と、目出度く芋を口に運んだのであった。
受けるわ~

またある日は、TVに映ったダライラマ14世を見るなり

「○○(ツレアイの名前)が出てるぞ!○○がTVに出てる!」

おいおい、幾ら同じ坊さんとは言え、
自分の息子がダライラマ氏に見えるとは・・・

しかし、楽しみの少ないじいちゃんに
少しでも夢を見せてあげようと  ヾ(ーー )コラコラ・・

「ホントだ!TVに出てる!すごいね~」

などとテキトーなことを言ってたら

「コラッ!そんなこと言うと益々混乱するでしょ!」

とばあちゃんに叱られた。
ヾ(´▽`;)ゝ ウヘヘ


それにしても、脳みそあっての人間なんだなぁ・・・
と、つくづく感じ入る今日この頃。

これからじいちゃんは何処に向かってしまうのだろう。

人は死ぬ間際に一生分の回想をするとも言われるが、惚けてしまうとそれも叶わないのだろうか。
冥土の土産すら持てないのか。

何だかなぁ・・・


おっと!そーゆう時のための仏教じゃないか!
・・・大汗


本気かよ

2011年10月08日 | 仏教・仏像

APPLE社のCEOが亡くなったニュースで、APPLE STORE銀座店前で追悼する人達の画像が流れた。

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見ていたら、
合掌率、高っ!!!

思わず嬉しくなった。


仏教ネタつながりで言えば、この方の俄か遍路姿には呆れたもので・・・

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遍路で禊→イメージアップを狙うのか?

そして、平成の砂の器・菅氏に物言う輩が現れた!

これが面白くてですね・・・
久々の抱腹絶倒!
筋トレで鍛えている腹筋でさえ痛くなるくらいに大笑いしましたぜ。

「空海が民主党政権を見たら何と言うか。菅さんに四国巡礼を禁ずる」
by大川隆法

幸福の科学総裁・大川隆法氏に招霊された空海はこう語った
「自分に権威を与えるために私の名を使わないで欲しいし、四国巡礼をしたから自分の罪はすべて許されたと言うようなことを言うために真言宗を使って欲しくない」
私、空海は四国巡礼を禁じる。それを破った場合には何らかの天罰が落ちても知りませんよ」

だそうで。
(* ̄m ̄) プッ
「私、空海は」と来たもんだよ。
(* ̄m ̄) ププッ
近々、SteveJobs氏も招霊もすると思われ。
(* ̄m ̄) プププッ

招霊だなんて公言するのは、「空海の名を使い」「真言宗を利用する」以上に悪いだろ。
つーかさ、まともなのか?この人。

過去記事「観音経」で、理屈抜きで我武者羅に信じる力の凄さ・・・みたいなことを書いたが、こーゆう輩が出るから困っちゃうんだよな。


Kan

下れ!天罰!(笑


観音経

2011年09月30日 | 仏教・仏像

日本で、般若心経に続いてポピュラーなのが観音経じゃなかろーか。

一昨日の伝法院講座真言宗常用経典概説の第三回目が、観音経解説だった。

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観音経とは通称で、正式には法華経に含まれる観世音菩薩普門品を指す。

法華経は、今から2000年前にインドの周辺地域で成立したと考えられており、アジアの広い地域で人気があったためにサンスクリット語、チベット語、モンゴル語、ウィグル語、漢語など様々な言語に翻訳された。
日本では経典を翻訳することはなく、漢文経典が読まれた。

漢訳された法華経は3つあり、

①竺 法護(じく ほうご)訳 「正法華経」 286年漢訳
②鳩魔羅什(くまらじゅう)訳 「妙法蓮華経」 406年漢訳
③闍那崛多(じゃなくった)・達摩笈多(だつまきゅうた)共訳 「添品妙法蓮華経」 601年漢訳

この中で鳩摩羅什訳の「妙法蓮華経」が法華経の中核をなし、法華経=妙法蓮華経となっている。

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話は逸れるが、
経典の漢訳と言えば、鳩摩羅什、玄奘三蔵、不空。
鳩摩羅什と玄奘三蔵は二大漢訳家とも呼ばれる。
玄奘三蔵は三蔵法師、不空は真言宗の第六祖、しかし鳩摩羅什は・・・?
まー、どのような坊さんだったかは分からないが、鳩摩羅什が中国そして日本の仏教に与えた影響は計り知れぬものがあると思う。
NHK学園で仏教美術を学んでいた時も鳩摩羅什の出典が多く、講師陣が親しみを込めて
「ラジュ~♪」
と呼んでいたのを思い出す。
「ああ、通はああやって呼ぶのかぁ・・」
なんて、妙なところで感心していた。

話を元に戻して、
鳩摩羅什による
法華経 観世音菩薩普門品第二十五
が、我々が観音経と呼んでいるもの。

普門品とは普門はあまねく開かれた門のことで、
あまねく方向にお顔を向け、すべての人々を救済せしめる観音菩薩の功徳を説く
の意。

ちなみに、観音さまには観世音菩薩観自在菩薩の2つがあるが、
観世音菩薩は観る+音で鳩摩羅什によるもの。
観自在菩薩は観る+自在で玄奘や不空によるもの。
日本全国にあまたの観音霊場があるけれど、観世音菩薩と呼ぶのが圧倒的多数だと思う。
ウチもそうだし・・・

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観音経の中核を成すのが、経典の始めに登場する
「善良なる者よ。もしも数え切れないほど多くの衆生が様々な苦難を受けた時、観世音菩薩の名を聞いて、一心にその名を称えるならば、観世音菩薩はすぐさまその声を観じて、一人残らずその苦難から救いとってくれるであろう」
ってもの。

様々な苦難とは、
七難・・・火難、水難、風難、刀杖難(傷害)、鬼難、枷鎖難(刑罰)、怨賊難(盗賊)
三毒・・・貧(欲)、瞋(怒り)、痴(愚かさ)

その上、苦難からの救済だけではなく、二求(2つの望み)を叶えてくれる。
二求・・・男児または女児をもうけること。

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それから経典は、
観世音菩薩は三十三の姿に化身して十九の説法を説く
と続く。

ちなみに、変化する・化身のことをサンスクリット語でアバターラと言い、それは大ヒット(?)映画アバターの語源だって。

●三聖身●
(1)佛身
(2)辟支佛身(自分独りで修行し、独力で悟りを開く者)
(3)聲聞身(小乗の僧侶たち)

●六種天身●
(4)梵王身
(5)帝釈身
(6)自在天身
(7)大自在天身
(8)天大将軍身
(9)毘沙門身
●五種天身(人間界)●
(10)小王身(一国の王)
(11)長者身(裕福な人)
(12)居士身(徳の高い人)
(13)宰官身(国に仕える人)
(14)婆羅門身(バラモン教徒)
●四衆身●
(15)比丘(16)比丘尼(乞食の仏教修行者)
(17)優婆塞(18)優婆夷(在家の仏教信者)
●四種婦女身●
(19)長者(女性で裕福な人)
(20)居士(女性で徳の高い人)
(21)宰官(女性で国に仕える人)
(22)婆羅門婦女身(女性のバラモン教徒)
●童男・童女身●

(23)童男
(24)童女
●人八部衆●
(25)天
(26)龍
(27)夜叉
(28)乾闥婆
(29)阿修羅
(30)迦樓羅
(31)緊那羅
(32)摩睺羅伽
(33)金剛身

(1)(14)までの一化身に一説法。
(15)から(18)までで一説法。
(19)から(22)までで一説法。
(23)(24)で一説法。
(25)から(32)までで一説法。
(33)で一説法。
よって、計十九説法となる。

それからも、観音様の功徳はまだまだ続き、先の七難からの救済プラス十二難からの救済となる!
すべて、観世音菩薩の力を念ずれば救済されると説かれている。

そして、フィナーレ・・・

妙音観世音 梵音海潮音
勝彼世間音 是故須常念
念念勿生疑 観世音浄聖
於苦悩死厄 能為作依怙

具一切功徳 慈眼視衆生
福聚海無量 是故応頂礼

妙音である観世音は、梵天の音、世間の音に優れているのです。
だから、常にその名を念ずるべきです。
観世音をよくよく念じて、疑いの心を抱いてはなりません。
観世音菩薩は浄らかな聖者であり、苦悩や災厄において最も頼みとなるのです。

観世音はあらゆる功徳を具え、慈眼をもってあらゆる人々を視ており、その福徳は大海のごとく無量なのです。
だから、観世音を心から礼拝すべきなのです。

佛説是普門品時
衆中八萬四千衆生
皆發無等等阿耨多羅三藐三菩提心

こうして、仏がこの普門品を説いた時、集まった八万四千の人々はみな無上無比の悟りの心を起こしたのでした。

つまりは、我々が観音様の名を呼ぶ・観音様を供養する・観音力を念ずると、
観音様は様々な姿となって我々の目の前に現れ、七難・十二難からの救済三毒からの解放、二求の成就のご利益がある
と説いた経典で、なんつーか、幼稚園児のマナーブック並みに分かりやすい。

分かりやすすぎるあまり稚拙にも思え、
「お経は分からないから有難い、とは良く言ったものよのぅ」
と思いながら聴講していたが、講師の最後の言葉でそれは払拭された。

「とても理論的とは言い難い、観音の絶対的な力を讃える内容に終始しています。
幼稚と言えば幼稚かも知れませんが、信じて繰り返し唱えることにより人間に力が宿るのです。
そして、これこそが信仰と言えましょう」

この言葉に、頭をカツン!と叩かれた気がした。

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そう、言霊と言う言葉があるように、人が考え・思い・信じて口から発した言葉は魂を宿すものなのだ。
観世音菩薩の功徳を信じ、一心に観音経を唱えるならば、観音経の言霊が良き方向に導いてくれるのではないか。

兎角、現代の日本人は理論武装しては真相の究明とやらに明け暮れ、小利口になっていると思う。
もっと単純でも良いのではなかろうか。

例えば、アメリカ人が何かと言うと星条旗に向かって胸に手を当てるようなこと。
国旗に熱い視線を送ることを習い性にした国民には、やはり強い愛国心が芽生える。
単純な繰り返しのようだが一個人への刷り込みは大きい。
そして、その集合体は強固で大きな力となって行く。

目の前の災厄から逃れたくて一心不乱に観音経を唱える。
「何を非科学的な!」と嘲笑されるかも知れない。
しかし、その姿こそが美しいのだ。
美しい輝きを見せた人は必ずや良き方向に導かれると思う。

理も大切だが、それと等しく心や念も大切にしたい。
・・・そう痛切した観音経解説だった。


銀座と新橋の地蔵さま

2011年09月29日 | 仏教・仏像

昨日は月に一度の真言宗智山派の研究機関伝法院の講座の日。

秋彼岸が終ったと同時に5月から続いた繁期も終わり、
心晴れ晴れ。
空も晴れ晴れ。
実に爽快な日だった。

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講座は14:00から16:00までなので、午前中に行って昼ごはんを食べて、銀座三越9階テラスで一眠りして体力・気力を蓄えてから講座に出向くのが、最近のパターン。

やれ筋トレだ、マラソンだ、と言いながらも、やはり歳には勝てませぬ。
長期旅行のマッサージ、日帰り旅行の温泉、そして上京の折の昼寝は欠かせぬものとなりました(汗

・・で、三越のテラスには、こげな地蔵さまが居られる。

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銀座出世地蔵尊

パッと見、木喰だけど、良く見るとまったく違う。
故・西村公朝氏が住職を務められていた愛宕念仏寺に納められた地蔵さまに、こんなお顔が多かったような・・・

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地蔵さまの由来。
へぇ・・・文化財なんだぁ。

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横にはこのような可愛らしい地蔵さまも。


そして、伝法院のある真言宗智山派別院真福寺にも地蔵が居られた。

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勝軍地蔵菩薩

何やら文殊っぽい。

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由来。

真福寺は、勝海舟と西郷隆盛が無血開城を決意したことで有名な愛宕山(新橋)の直ぐ下にあり、愛宕山には愛宕神社があり、山に沿った急斜面の参道がある。
↓そこに居られた地蔵さま。

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ボケボケ(汗

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仏の台座や寺社建築の木鼻に彫られた白象と同じ目。
しかも、しっかりと生え際が彫出されているところがリアル人間で怖い・・・

ちなみに、この地蔵さまの斜め前には田崎真也のワインセミナーがある。
興味はあるけど、敷居が高くて入れない。
それに、ワイン分かんねーし。

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そうそう、参道脇にはこんなアパート廃墟があった。
つげ義春の世界~♪


・・で、肝心の講座は
第3回 観音経解説
で、これがメチャメチャ面白かった。
今回が観音経、次回が理趣経、次々回が如来寿量品と、ガッツリとした経典が続く。
益々楽しみ。

観音経解説については、また改めて。


空海と密教美術展

2011年07月29日 | 仏教・仏像

東博にて大好評開催中!

「空海」「密教美術」なるタイトルを示すべく、全国真言宗寺院より平たく寺宝が結集したな・・・と、先ずはそんな感想。

展示のメインは、東寺講堂の諸尊による立体曼荼羅の再現。
それに関しちゃ、
「東寺は毎年行ってるし~、何を今更みたいな~」
と軽く考えていたが・・・
薄暗い堂内で拝するみ仏とは、また違った迫力を放っていたのであった!
うーむ・・・流石は密教パワー!恐れ入った!

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↑この特別企画展の中で一番楽しみにしていた「聾瞽指帰(ろうこしいき)」。
これは、儒教・道鏡に対する仏教の優位性を説いた「三教指帰(さんごうしいき)」の草稿と見られている。
大胆かつ流麗な筆使い!凄い!
ただただ圧倒されて拝しておった。

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↑☆新たな発見1☆
降三世明王の背面には4つ目の顔があった!

東寺講堂五大明王の中で、一番好きなのが軍荼利明王。
しかし、軍荼利さんはお留守番組だったのね・・(涙

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↑☆新たな発見2☆
帝釈天台座の象には、ちゃんとフグリが彫出されていた!
ムフフ♪これに気付いた人は少ないだろーな。

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ああああああっ♪耽美♪

しかし、この反対側斜め45度の位置から拝するお顔の方が数倍美しいよ。
自分、ずーーーっと張り付いてた。
また、ライトの当て方も絶妙で、端整なお顔が更に端整に。
美人がメイクして益々美人になった・・そんな感じかな。

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↑諸尊仏龕(ぶつがん)
仏龕とは、仏像と厨子を一つの木材から彫出したもののことを言い、これは白檀を三分割して作られている。
高さが、たった23センチの小ささだと言うのに、このみ仏の数!台座の細やかな細工!

これは、空海による唐の請来品の一つで、今回の展示には唐の請来品が沢山出ていたが、何れも精巧な作りで素晴らしいものだった。

あの中国が、かつては唐であったなどとは到底考えられないよなぁ・・
事故を起こした鉄道車両をそそくさと解体して埋めてしまうような国が、こんなに高い文化を誇っていたとは到底思えない(笑

日本人は日本人としての誇りを捨てて久しい・・・・が、中国人も中国人としての誇りを取り戻せよ。


それにしても、聾瞽指帰は素晴らしかった。
今回の前期展示で上巻、後期展示で下巻が登場するので、後期にも行くぞ~!


曼荼羅ビーム発射!

2011年07月14日 | 仏教・仏像

この夏、東博が熱く燃え上がる!

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特別企画展「空海と密教美術展」
7月20日から9月25日

東寺講堂の諸仏を始めとし、醍醐寺、仁和寺からも仏像参戦!
東博平成館に曼荼羅の世界を構築。
お像の素晴らしさも去ることながら、自分が興味あるのは、空海真筆の「聾瞽指帰(ろうこしいき)」。
超有名な「風信帖」も展示されるが、自分的には聾瞽指帰の方が好みで、筆の軽やかな舞いが素晴らしい。
あ~!観たい!観たい!早く観たい!

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彫刻室特別展示「運慶とその周辺の仏像」
7月12日から

ニューヨーク、クリスティーズ・オークションにて真如苑が落札した大日如来像がお出ましになる!
しかも、兄弟仏とも言われる光得寺の大日如来像と一緒の展示。
実は、この2躯を並べての展示はこれまでも何度かあったが、何せ片方は真如苑のご本尊、
「これが最後のお出ましかも知れない」
と思って有難く拝して来た。
それが、また拝せるなんて・・・・真如苑、ありがとう(涙
真如苑像も光得寺像も、本当に運慶らしき隙のないお像で、見応え充分。


期待度120パーセント!
廃墟も産業遺産も良いが、やはり自分はこの道が一番だと感じている今。


・・・ところで、一昨日は家と寺の暖房器具を仕舞いまして・・・

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写真の他に大型のファンヒーター3台があって、計10台!
全てを出して、残りの灯油をボイラーのオイルタンクに移して、油受け皿をきれいに拭いて、納戸の2階まで運んで仕舞ったのだった。
これも熱かった!暑かった!