丁寧な仕事が気に入って通い続けているクリーニング店の店主は生き物オタク。
生き物と言っても、主に地域の河川や山に生息する生き物で、それ等の現地観察会や勉強会を主な活動とする「自然観察クラブ」を主宰している。
その上、ご自宅を開放しての「黒川水族館」を夏期限定で開き、色々な生き物を見せてくれる。
昨日クリーニングを出しに行った際、
「今年も水族館をやるのですか?」
と訊いてみたら、
「やりますよー!」
と威勢の良い返事が来た。
そして、自然観察クラブの月報を一部下さった。
そこに引用されていた記事がとっても興味深かったので、更に引用してみる。
大町文衛著「日本昆虫記」
(昭和16年・朝日新聞社刊)
「6 光る虫」
動物の中には自ら光を放つ種類がいろいろ知られているが、これらは水中、否、殆ど海中に住むもの許りである。日本には有名なホタルイカがある。(中略)しかし陸に住むもので光を放つものといったら昆虫だけしかないのである。自ら光を発して行動の助けとするというこの偉大な能力は、他の高等動物にもないのである。これも小さな昆虫の大きな自慢の一つであろう。(中略)
蛍は成虫ばかり光るのではなく、一生を通じて光っている。まず卵は水辺の草の根元に産みつけられるが、この卵も光を放つ。それから孵った蛆のような幼虫も光りながら水中または湿地の中にあって段々成長をしてゆく。(中略)
蛍の幼虫が巻貝を食べる方法は極めて巧妙で、まずその大顎をもって麻酔薬を注射して、無力にしておいてから、その肉を消化して吸うのである。かくして段々成長してくると土中に入って蛹となる。蛹となっても光っている。(中略)
明るさは日本の蛍で一燭光の100分の1にも足りないが、それは熱を伴わない最も経済的な光なのである。即ち人間の作る灯火はそのエネルギーの大部分が熱となって放散されてしまい、光となる有効な率は極めて僅かであるが、蛍の光は殆ど総てが光となる不思議な光で、今は故人となられた神田左京という人などはその研究に一生を捧げられた位であるが、その原理はまだ完全に解っていない。大体、発行物質が酵素の作用によって酸化される時に発光すること位しか判っていないが、その腹端にある発行器の構造の微妙なことは驚くばかりで、発光層の前にはレンズに当たる処あり後には反射層ありという風に、最小の光で最大の効果があるようになっている。
この発光の生態学的の意義についてはまだ確説がない。或いは雌雄間の信号と言われるが、一生を通じて光る点が判らないのである。或いは又警戒信号ともいわれるが、その生態的意義よりも光の方が前にあったのであろう。(後略)
蛍が光るのは求愛行動だと決めつけていたよ、自分。
雄が光で雌にアプローチするのだと、単純に考えていた。
それが、卵の時から光り続けているなんて・・・
文章末尾の
「その生態的意義よりも光の方が前にあったのだろう」
を平たく言えば、
「ほ~た~る、なぜ光る?」
「ほたるの勝手でしょ~」
ってところか(笑
それにしても、生き物は面白いな~
先のヤマカガシVSヒキガエルも興味深かったし。
ウナギの生態も、渡り鳥が渡りをする理由も、未だ解明されてないんだよね。
何だか楽しくなって来た♪