今、読んでいる江國香織のこの本↑は、江國調が冴え渡って楽しい。
ヘンなタイトルだけど、「雨はコーラが・・」の雨とは、彼女の愛犬の名前。
本の書き出しにこんな一文がある
「雨は、オスのアメリカン・コッカスパニエルで、いま二歳です。濃い栗色の毛は長く、くるくるとカールしていて、散歩にいくと、いろんなものがくっついてきます。枯れ葉とか、小枝とか、紐のきれはしとか。雨の脚は太く、力強い。」
なんか、こんな風に書かれると、散歩の度に長い毛に色々とくっついてしまう事が微笑ましくて素敵に感じられるじゃないの。
長い耳に夥しき量の草の実を付けるワンに「んもぉ~っ!少しは気を使って歩きなさいよ~!」と、何時も文句を言ってるのに。
こんな風に、江國香織の本を読むと生活の細々としたものが愛しく感じられて来るんだなぁ。
夫と一緒にお風呂のカビ取りをした時の話。
自販機に缶入りコーンスープが並んだのを見て「今年も冬が来たんだ」と感じる話。
深夜にフラリと出掛ける大型書店での話。
など等。
江國香織が描く日常は、密やかで少しだけ湿っていて、そして少しだけ恨みがましい感じがして、それがとっても肌に合う。
お陰で(?)、高濃度塩素に何時もゲホゲホするカビ取り剤も、そんなに嫌いじゃなくなったし、自販機の端っこに並ぶ缶スープに愛情の眼差しを向ける様にもなった。
勿論、草の実だらけ、アフガンハウンドとしての自覚ゼロのワンも、「これはこれで素敵だ♪」と・・・。ハハッ