牛に轢かれてあの世参り。
いやいや、
牛に引かれて善光寺参り。
何でも、昔のババアが洗濯物をついウッカリと牛の角に掛けてしまったら、牛が走り出し、「洗濯物を返せ~!」と追って行ったらそこは善光寺。
ババアは善光寺参りをして仏心を得た、と言うお話。
そんなわけで、昨日は寺庭婦人会研修旅行で、善光寺・山門特別拝観と軽井沢の旅に出掛けた。
参加者13名のバス旅行。
7時30分に出発し、途中で休憩をはさみながら10時30分には善光寺に着いた。
↑日本忠霊殿
戊辰戦争から第二次世界大戦までの戦争で亡くなった英霊を祀る仏式霊廟。
祀られる数は約240万柱。
靖国神社の寺バージョンと言ったところか。
実は、昼食をいただく予定になっている宿坊の職員が善光寺案内ガイドを務めてくれたのだが、このガイドとやらが、もろに客を提携業者に連れて行くことでバックマージンを取ると言った類。
善光寺とあまり関係のないところにアチコチ引き回され、時間のロスが大きくて辟易してしまった。
しょっぱなから、この日本忠霊殿内の奥座敷に案内され、善光寺御本尊についてのいい加減な説明(実にいい加減だった!)の後、おもむろに特別祈祷申し込み用紙を渡され、
「特別祈祷料・お一人さま3000円以上でお願いします」
ヾ(ーー )オイオイ・・
寺の人間にそれをやるのは禁じ手だろーが!
「寺の人間として目を逸らせたい宗教の集金マシーン的部分を、こうも露骨に出されたんじゃなぁ」
・・・と、着いて直ぐにウンザリ気分↓↓↓
↑忠霊殿前の獅子
とても凛々しいお姿をしている。
此処の獅子は「阿」だけ。それは、戦地に命を散らせた兵士が帰らぬことから「吽」の獅子を造らなかったそうで。
↑日本忠霊殿から本堂に向かう
↑途中に経蔵があった。
古くて立派な経蔵!
↑おっと!改修工事中かよぉ~!
善光寺と言えばこのアングルなのに、白いテントが残念だぁ~!
↑斜め横から見た本堂
善光寺本堂は、東大寺大仏殿、三十三間堂と共に日本を代表する巨大木造建築。
何度もの火災を経た後で現存するのは、1707年(宝永4年)に5年の歳月を費やして再建されたもの。
ところで、善光寺は、インド~百済を経て、552年(欽明13年)に日本に渡られた阿弥陀三尊を本田善光(よしみつ)氏が信州の地に安置されたのが始まりと言われる。
善光さんが開山した寺から善光寺と名が付いたと言うのだけど、どうも善光寺の寺名にちなんで後から作られた説話っぽい。
ただ、ご本尊の阿弥陀三尊が古代・飛鳥時代のものであるのは真実っぽい。
しかし、お前立(本尊)であるにも関わらず如何にも有難く開帳するのは善光寺側だけで、仏像研究者にはあまり重要視されていない。
絶対的秘仏とされているが、お厨子の中は実は空っぽと推論する研究者も少なくないのだ。
↑本堂前の獅子の香炉
先の日本忠霊殿前の獅子と同じ凛々しいお姿をしてますなぁ。
↑あはは!絵馬ならぬクマ!
しかも、リラックマ!
カワイイ~
↑さて、いよいよ本堂内部に・・・
・・・で、3000円を志納した特別祈祷とやらは、内陣に案内され、簡単に祈祷文を読み上げ、般若心経を1回唱えただけだった。
その間、内陣奥の龍の刺繍の幕が上がり、その先の須弥壇上に置かれた厨子が拝める、と言った具合。
勿論、厨子の中にはご本尊が安置されている。
自分達を案内するガイドと同種のガイドが、次から次へと団体客を内陣に引き入れては簡素な特別祈祷とやらが成され、その度に厨子を覆う幕が上がり下がりを繰り返す。
上げ下げするのは、勿論僧侶で、その光景たるや俗の極み。
マジで背筋が凍りついた。
毎度、お下劣な例えで申し訳ないが、それはまるで小向美奈子がチラッと股を開くことで大枚を稼ぐのと何ら変わりない。
先にも言ったが、仏像研究者の多くが
「善光寺ご本尊はない!」
と言うのも、こんな寺の体質に起因するのかも知れぬ。
↑三門
1750年(寛延3年)に建立された門。2002年から2007年までの間、大規模な修復工事が成され、その際に耐震補強もされたことで、2008年より約40年に渡って中断されていた三門二階への登楼参拝が再開された。
しかし、通年拝観ではなく、年に一度、期間を限定した特別拝観。
それなのに・・・
ガイドが三門をスルーして提携の土産屋に急ごうとするんだよ。
当然、強く制止したぜ!
「この旅行の目玉は三門特別拝観ですよ!」
すると、時間が押しているとか何とか言い訳するので、
「昼食や自由時間を削ってでも三門を拝観させて下さい!」
とゴリ押しし、無事に三門を拝観することが出来た。
ヤレヤレ・・
↑三門に掛かる鳩字の額
善光寺の文字には5羽の鳩が隠れており、善は牛の顔に似せているんだって。
↑三門から見た門前町の様子
二階には文殊菩薩像と四天王像が安置されており、江戸時代の作。
文殊菩薩がお祀りされていることから、この三門は知恵の門とも呼ばれているそう。
お像に関しては・・・
うん、まぁ、独自の解釈で勝手にやっちゃってるのが江戸らしいとでも言おうか。
↑三門前の地蔵菩薩
良いお姿だねぇ・・・
↑玉照院宿坊
本日の昼食場所。
↑何と、イタリアン懐石!
美味しゅうございました。合掌
↑食事の後は門前町をぶらり・・・
老舗味噌店すや亀にて味噌ソフトを食べた。 名前に惹かれた
↑結構イケる♪
↑回向柱
7年に1度のお前立本尊ご開帳の時に本堂前に建てられる高さ10mの角塔婆。
ご開帳が終わると、此処に納められて歴代の回向柱と共に徐々に土に還って行くのだそう。
↑このお堂には、爪彫如来像が納められている。
親鸞聖人が爪で彫ったと言われ、眼病に効果ありだそう。
爪彫り伝説・・・良くある話ね。
○○聖の布教手段だったと思われ。
↑買って来たお土産~♪
あのさ、善光寺って地方寺院ならではの素朴さに満ちているのだと、勝手に思い込んでいた。
ところが、それはトンだ間違いで、絶対的秘仏のご本尊を実に上手く駆使しては参拝人の現世利益願望を満たし、金を落とさせるのであった。
仏像フリークの自分はアチコチの寺院を拝観して来、その経験上言わせてもらうならば、こんなに俗っぽい品のない寺は、少なくとも他にはなかった。
(新薬師寺はちょっと危ない。笑)
案内ガイドも悪かったが、こんなガイドの出入りを許していることからして寺の体質が窺い知れると言うものだ。
創建から一宗一派にこだわることなく、女人禁制にすることもなく最初から庶民の女性も救い続けて来た善光寺。
(「牛に引かれて・・」は、その辺りに由来するのだろう)
その寺の有り難さを、寺の方で勘違いしちゃってる。
悪いけど、ガッカリだ。