民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

原発汚染水漏れと危機管理

2013-08-22 16:08:03 | 政治

福島第一原発からの地下水と貯蔵水との、2種類の汚染水の海への流失が連日報道されている。東電は多分早くからこのことには気づいていたか、そんな事態が生ずることは、どこかで予想していたことだろう。予想しつつも、実際問題として知らないうちに汚染水が海に流れ込んでいてくれれば、そのほうが知らなかったで済んで好都合と思っているだろう。なぜなら、大量の地下水の流入は止まることはないし、地上に保管される汚染水も留まるところを知らない。汚染水もれがなくて、汚染水の地上貯蔵が続けば、廃炉のめどがつかないように汚染水の貯蔵の終結のめどもたたず、日本中が汚染水のタンクでいっぱいになってしまうだろう。これはブラックジョークではなく、現実の問題である。東電はそれがわかっている。だからこそ、汚染水を何が何でも陸地でくいとめて海への流出を防ごうとはしない。いくらかでも海に流れてしまえば、地上での処理にお金をかけなくてすむし、ぐずぐずしていれば、国際的信用を失うことを恐れた政府が直接に介入してきて税金が投入されるだろうから、企業として保障や廃炉といった利益を生まない汚れ仕事に手をつけなくてすむ。こんなことを考えているだろうとは、素人にもわかる。ならば、東電は国有化すべきであるし、この国を挙げて廃炉に向け、そして公海を汚染させるという人類にとってとりかえしのつかない事態を一刻も早く終わらせるために、全力を傾けるべきなのだ。そうすることが、戦後処理云々などといったアナクロニズムに拘泥し独りよがりの論理を振りかざすよりも、はるかに緊急性を要することなのだ。集団的自衛権などよりも事態ははるかに先をゆき、この国は周辺諸国と人類の全てを道ずれに、海という広大な資源を全く手を付けられない地獄へとかえつつあるのだ。アメリカが太平洋の向こうでなくこちらにあったら、日本の施政権を奪って周辺諸国と共に原発の処理に自ら手をつけるだろう。ことはそこまで深刻だというのに、日本の政治家どもは、この危機に対してなんら反応していない。あたかも、国体護持を叫んで敗戦を先送りし続けたあの時と、事態の進行具合は同じではないか。

世界1安全な日本の原発を輸出するなどといった首相の現実認識のなさにあきれてしまう。原発推進派の政治家は、まずは家族をあげて福島に移住すべきである。