23・5・10 Wed ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0001.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0002.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/18/c1a5cc5222f50c8962849ded7be42251.jpg)
以前から行ってみたかった池ノ谷からの三ノ窓ルート及び偵察、そして
条件がよければそこから残雪の北方稜線へと繋いで歩いてみましょう、
という事でⅠ垣さんと行ってみました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/dd/a694fee81a3a5d9a71fccaaddc6efc8d.jpg)
馬場島(5:43)を出発。先のGWに小窓尾根へ入ったⅠ垣さんのルーファ
イのおかげで法面工事中の白萩川登山口から池ノ谷出合へのルートはス
ムーズに通過ができました。
白萩川に降り立ちそのまま池ノ谷へと入渓したいところですが、そこへ
渡れそうな雪渓がありません。渡渉も考えましたがこれは避けたいので
白萩川との中州を下っていった場所から雪渓が繋がっているのが見つか
って、そこから雪の詰まった池ノ谷へと取り付いて遡ることにしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/4e/e13304ec0b1699e780ce370aa6a788e3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/61/5ce44bfa5276f2212a7edb9259eb528c.jpg)
雪渓でつまっている池ノ谷を辿ってどんどん登ってゆきます。池ノ谷の
雪渓を辿るには時期的に遅いような気がしますが何とか進んでゆけまし
た。ゴルジュ出口付近で雪渓が途切れて滝が出ていたので、その箇所を
高捲いて池ノ谷の核心を終えました(10:30)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/8e/b9cfd8a4666f7bdf85d1eec9b398dfad.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/53/07cacc75af40a2c1ff31dd98240e81cf.jpg)
小窓尾根からのルートと合流(10:56)して後はひたすら三ノ窓を目指し
て池ノ谷氷河を登ってゆきます。最初のうちは初めて見るその景色を前に
昂る気持ちでどんどんと前進してゆけましたが、だんだんと冷静になり、
無口になって、立ち止まって三ノ窓を見上げるばかり…、そうしているう
ちにふと「モモ」に出てくる道路掃除夫のぺッポ爺さんの言葉が浮かんで
きました…
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/22/f4f26207cf8ac1a8fd1ad7019f6ddce4.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/26/3b5525fd1e7687f412a17575208728c7.jpg)
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩
のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考
えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
そしてまたまた長い休みをとってから「ひょっと気がついたときには一歩
一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。どうやってやりとげたかは自
分でもわからんし、息もきれてない。」ぺッポ爺さんはひとりうなずいて、
「これがだいじなんだ」。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/d8/67cc99e733e1a66602ac0f3d21d7d274.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/38/04e14cbbc318edf29e57db381ac1c344.jpg)
そんなぺッポの言葉で、自分で自分を鼓舞しながらようやく三ノ窓直下
に到着(16:10)。やっぱり息は切れるしツライものはツライ、物語の方
はともかく現実の方はなかなかそう上手くは運ばないものです。なんと
か小窓ノ王の基部を乗り越え稜線上の台地に立ち、そこから小窓ノ頭へ
向かおうとしていると俄かに白萩側から湧き上がってきたガスで小窓側
の視界が塞がれてしまいここで足を止めて様子をみることにします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/c0/72e35a124df6b648b5a5609f37d70e12.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/4d/8201b6bbb42947af3b225ba27d2e4bf6.jpg)
再び視界が利くようにならないかな等と期待しながら小休止(16:36)を
してはみましたがそう上手くはゆかず、本日の行動を終えてここにでテン
トを張ることにしました。
陽が落ちる頃になると先のGWの頃よりも断然寒くなってきましたが、視
界はいつの間にか回復していました。水を作りつつ夕飯の温かい鍋を食べ
ているうちに疲れがでてきたので、そのまま早めの就寝…![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/z2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/z2.gif)
23・5・11 Thu ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0001.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/13/9d4d4ff6712f0f241e26aec170f85f3b.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/f7/f563477d45c8af26599c7f37a07b1657.jpg)
5時に起床して朝食のラーメンを食べて7時前に出発。早速、小窓の頭
への途中から小窓を目指して雪斜面を下って行きます。稜線直下が急な
斜面なのでここは念のためロープをだして下りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/f5/7c22238a9c544176c3e5e753019b90dd.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/c8/69a8d9749dc5bfc981bab84fd476e2a7.jpg)
小窓へ向かって小尾根から顔を出してるブッシュと雪斜面との境をどん
どんと下ってゆくと先が見通せない崖のような尾根端にある台地(8:20)
で足は止まりました。
小窓側へ降りるために台地から先を覗き込むと足元へ延びているルンゼ
の中に古い支点と固定ロープがあったので、ここで30mの懸垂をして小
窓雪渓の上に降り立ち、そこからトラバースして小窓にて小休止(9:00)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/0e/8d1b4e9aa142197a8d47cf0b0c059693.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/85/374399e51c140b57b69acda44d7fa3e5.jpg)
小窓から池平山南峰は見えていたよりも随分と遠いのですね。四つ這いに
なって急登を終えてようやく登り切ったピークが山頂だと思ったらそうで
はなくて、その向こうに山頂らしきピークが出てくるみたいな事を何度と
繰り返して半年ぶりの池平山南峰(11:30)に到着、長かった…。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/2e/9621fa58c767fbf286e6541ce8b2393e.jpg)
さて、いよいよここから大窓までが今日の核心かなと思っていたらまた
もや風にのってガスがやって来ました…、展望は利かないけど視界はあ
るので一先ず安心していいのかな…💦
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/e8/f6ce93bbf04488ef3459b49c5214a591.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/57/123b56e6472b12e62ba388019e66420b.jpg)
池平山南峰を固定ロープを頼りに鞍部へと下って北峰(12:15)を越えて
大窓ノ頭へと向かって行くと岩峰に阻まれました。ここで僕は稜線の上
にルートがありそうだと思って登ったけれどダメだった…、もとに戻っ
て岩峰基部を黒部側から回り込んでトラバース。残雪が割れていている
のでロープを出しながら前進。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/85/ed76328d33bed4918d9426893b1aeaf3.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/35/f93351d964a49e8e8225ba5b618ef803.jpg)
大窓ノ頭(13:23)に着いたところで霧消し、陽射しと共に視界と気持ち
が快復しました。とりあえず大窓へと下降してゆきますがこれがなかな
か長い。ふと振り返った景色の中に小窓尾根のニードルがありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/d3/093e47d90a1283dd3bdc757af02ba580.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/53/fd5004440bb2fc886e8f03d783b5d8e5.jpg)
大窓(14:40)で休んでいるとⅠ垣さんからレリーフがあることを知らさ
れました。みれば福井大学山岳部とあります…、同じ福井県人として何と
も云い難い気持ちになりました。
上の画像のような景色の中で今もこうして佇んでいるこのレリーフのこ
とが気になっている人のもとへ、僅かながらでも何かが届いたらと思い
ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/38/186d929e73bed8f10a6e273e45650244.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/f1/6622215e38d27b04e21541c0f3ffa92d.jpg)
さて、大窓からガレた谷筋を一歩一歩と白ハゲへと目指して登り返して
ゆきます。ここでも藪や残雪に惑わされ、それが白ハゲ赤ハゲの岩稜を
捲き終えるまで続きました…、そんな状況の中で僕の気持ちは更に打ち
のめされて、もうヘロヘロ…💦
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/d3/2be84f6808b8ffcc659df8f353710b6f.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/2c/30f4a737f9b6fee79d23f222cd65fdb5.jpg)
今日の核心部は終えたけれども、更に行動時間を延ばし少しでも距離を稼ぐ
ために白萩山へと進んでゆきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/02/72697b62447b99d51eb9226e65b39944.jpg)
そうして辿りついた白萩山の傍らで今日の行動を終えました(17:44)。
標高は下がっても寒さが抜けない状況のなかで、夕飯の釜‐1グランプリ
からヒントを得て作ってくれたシンプルな釜飯を頂きました。こうして
温かいものを沢山食べると元気を補給している感じがしてきます。
山バージョン「おツマミ釜飯」美味しかったです!
今夜は行動時間が延びた分、水作りや炊事であっという間に就寝の時刻
になってしまいました ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/z2.gif)
23・5・12 Fri ![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0001.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/a8/d955ee96149df7dff6a1512090d3e40e.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/01/db407b7a6e29af353612d0c2bbecbe8d.jpg)
五時前に起床して朝食のオートミールを食べてから出発(6:50)。朝一番
から赤谷山(7:22)への急登が体に堪えますが、昨日までの緊張感に比べ
れば気分や足取りも軽やかに感じます。
赤谷山からブナクラ峠(9:10)への下りは黒部側の残雪を辿りながら下っ
て行けました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/2f/86912c9eaeb8868eac71aa30fb4df8a4.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/f3/05c8397ca719438fc59ee8e5ae648c52.jpg)
ブナクラ谷沿いに夏道を拾いながら下ってゆき、標高1300m辺りでアイゼ
ンを外しました。入山から今まで訓練のようなアイゼン歩行から解放され
たことに併せて、下山したことの安堵感に包まれながら馬場島(12:15)へ
と戻りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/bf/60240043bbdbd19a079317240c0fd022.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/17/0dc94856170436e0089f78ff61629dae.jpg)
今回で三度目の北方稜線を歩いて感じたことは、北方稜線のグレードが今
も昔も変わらなくても、僕の気力体力が弱い方へと変わってきているなと
いうこと。そんな手強く感じた北方稜線だったけれど、それでもⅠ垣さん
のおかげで何とか歩き通すことができたことに感謝です。