ヤスジロウのdiary ♪

未だみぬ過去を探し求めたい

扇の御峰 2023

2023-05-25 | 山登り

23・5・23~25 

昨年とは異なるルートから火の御子峰を目指そうということで、今回はお花
松原の北側に延びる地獄尾根から火の御子峰を目指すことにしました。
一日目、市ノ瀬からの出だしは未明からの雨天で挫かれ、砂防新道を辿って
ベースへ。今回は靴も服も暖かい時期の装備に換えたせいか、陽が落ちた後
の冷え込みが体に重く感じました…


 

 

 

二日目、3:30に起床。外を覗くと視界は無い。外に置いておいたバイルや
テントが霧氷で白くなっている光景に軽く驚きました。日の出と共に視界
は良くなり好天のようだけど、この時期にしては風が冷たいく寒いのでフ
リースのフードを被りオーバー手袋をして出発(5:00)。
地獄尾根の取り付きになる真砂嶽に着く頃に再びガスで視界は無くなり冷
たい北風が吹き付けるばかり。仕方なく北風を避けられる地点で行動を止
めて、そこでツエルトを被って視界が回復するのを待ちました。
一時間を過ぎても回復の兆しがみえないので今回の目的を諦めてベースに
戻ります…、僕にはこんな寒くて視界もない状況の中で北風に叩かれながら
行動する自信はないから。

 

 

 

 

ベースに戻ってお茶を飲みながら過ごしているとテント越しに陽射しが入
ってきて天候が回復してきたのを知りました。外を覗くと青空が広がり視
界も良好!今更ですがもう一度行ける所まで進んでみることにしました。
再び真砂嶽(2450m)に登って地獄尾根を辿って進んでゆきます。今更で
すが400m低い標高の火の御子峰(1982m)へは目の前に広がる這松の藪尾
根をどんどん下ってゆくことになります。

 

 

 

 

 

藪尾根を下ってゆくと仙人谷側が崩壊している細い尾根になりました。
扇の御峰(2140m)の手前辺りからは仙人谷地獄谷側共に崩壊した様相
となり、ここからが地獄尾根らしい景色の始まりです。

 

 

 

 

念のためにロープを出して扇の御峰(14:20)へ。とはいえ今回はここ
で引き返すことにしました。先へ進もうにも行動時間の余裕はないです
から。先ほどの藪漕ぎを嫌った僕達は同じルートを戻った途中から尾根
を離れて地獄谷の中へルートを求めてベースへと戻ることにしました。

 

 

 

 

そんな地獄谷源頭から仰ぎ見る大汝峰の景色は素晴らしいし、後ろを振り
返ると笈ケ岳や大笠山を望むこともできました。ベース(17:20)に戻り、
翌日は大汝峰から釈迦新道を経て下山しました。

 

大汝峰から七倉山への途中から地獄尾根を望みました。玄関の位置に見える
扇の御峰から火ノ御子峰へはまだまだ長いようです。そこで門前払いをくら
った形で今回の山行を終えることになってしまいちょっぴりザンネンです。
また出直してトライしたいと思います。


池ノ谷から北方稜線 2023

2023-05-13 | 山登り

23・5・10 Wed 

以前から行ってみたかった池ノ谷からの三ノ窓ルート及び偵察、そして
条件がよければそこから残雪の北方稜線へと繋いで歩いてみましょう、
という事でⅠ垣さんと行ってみました。

 

 

 

 

馬場島(5:43)を出発。先のGWに小窓尾根へ入ったⅠ垣さんのルーファ
イのおかげで法面工事中の白萩川登山口から池ノ谷出合へのルートはス
ムーズに通過ができました。
白萩川に降り立ちそのまま池ノ谷へと入渓したいところですが、そこへ
渡れそうな雪渓がありません。渡渉も考えましたがこれは避けたいので
白萩川との中州を下っていった場所から雪渓が繋がっているのが見つか
って、そこから雪の詰まった池ノ谷へと取り付いて遡ることにしました。

 

 

 

 

 

雪渓でつまっている池ノ谷を辿ってどんどん登ってゆきます。池ノ谷の
雪渓を辿るには時期的に遅いような気がしますが何とか進んでゆけまし
た。ゴルジュ出口付近で雪渓が途切れて滝が出ていたので、その箇所を
高捲いて池ノ谷の核心を終えました(10:30)。

 

 

 

 

小窓尾根からのルートと合流(10:56)して後はひたすら三ノ窓を目指し
て池ノ谷氷河を登ってゆきます。最初のうちは初めて見るその景色を前に
昂る気持ちでどんどんと前進してゆけましたが、だんだんと冷静になり、
無口になって、立ち止まって三ノ窓を見上げるばかり…、そうしているう
ちにふと「モモ」に出てくる道路掃除夫のぺッポ爺さんの言葉が浮かんで
きました…

 

 

 

 



「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな?つぎの一歩
のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひと掃きのことだけを考
えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」

そしてまたまた長い休みをとってから「ひょっと気がついたときには一歩
一歩すすんできた道路がぜんぶおわっとる。どうやってやりとげたかは自
分でもわからんし、息もきれてない。」ぺッポ爺さんはひとりうなずいて、
「これがだいじなんだ」。

 

 

 

 

そんなぺッポの言葉で、自分で自分を鼓舞しながらようやく三ノ窓直下
に到着(16:10)。やっぱり息は切れるしツライものはツライ、物語の方
はともかく現実の方はなかなかそう上手くは運ばないものです。なんと
か小窓ノ王の基部を乗り越え稜線上の台地に立ち、そこから小窓ノ頭へ
向かおうとしていると俄かに白萩側から湧き上がってきたガスで小窓側
の視界が塞がれてしまいここで足を止めて様子をみることにします。

 

 

 

 

 

再び視界が利くようにならないかな等と期待しながら小休止(16:36)を
してはみましたがそう上手くはゆかず、本日の行動を終えてここにでテン
トを張ることにしました。
陽が落ちる頃になると先のGWの頃よりも断然寒くなってきましたが、視
界はいつの間にか回復していました。水を作りつつ夕飯の温かい鍋を食べ
ているうちに疲れがでてきたので、そのまま早めの就寝…

 

 

 

 

23・5・11 Thu 

5時に起床して朝食のラーメンを食べて7時前に出発。早速、小窓の頭
への途中から小窓を目指して雪斜面を下って行きます。稜線直下が急な
斜面なのでここは念のためロープをだして下りました。

 

 

 

 

小窓へ向かって小尾根から顔を出してるブッシュと雪斜面との境をどん
どんと下ってゆくと先が見通せない崖のような尾根端にある台地(8:20)
で足は止まりました。
小窓側へ降りるために台地から先を覗き込むと足元へ延びているルンゼ
の中に古い支点と固定ロープがあったので、ここで30mの懸垂をして小
窓雪渓の上に降り立ち、そこからトラバースして小窓にて小休止(9:00)。

 

 

 

 

 

小窓から池平山南峰は見えていたよりも随分と遠いのですね。四つ這いに
なって急登を終えてようやく登り切ったピークが山頂だと思ったらそうで
はなくて、その向こうに山頂らしきピークが出てくるみたいな事を何度と
繰り返して半年ぶりの池平山南峰(11:30)に到着、長かった…。

 

 

 

 

さて、いよいよここから大窓までが今日の核心かなと思っていたらまた
もや風にのってガスがやって来ました…、展望は利かないけど視界はあ
るので一先ず安心していいのかな…💦

 

池平山南峰を固定ロープを頼りに鞍部へと下って北峰(12:15)を越えて
大窓ノ頭へと向かって行くと岩峰に阻まれました。ここで僕は稜線の上
にルートがありそうだと思って登ったけれどダメだった…、もとに戻っ
て岩峰基部を黒部側から回り込んでトラバース。残雪が割れていている
のでロープを出しながら前進。

 

 

 

 

大窓ノ頭(13:23)に着いたところで霧消し、陽射しと共に視界と気持ち
が快復しました。とりあえず大窓へと下降してゆきますがこれがなかな
か長い。ふと振り返った景色の中に小窓尾根のニードルがありました。

 

 

 

 

大窓(14:40)で休んでいるとⅠ垣さんからレリーフがあることを知らさ
れました。みれば福井大学山岳部とあります…、同じ福井県人として何と
も云い難い気持ちになりました。
上の画像のような景色の中で今もこうして佇んでいるこのレリーフのこ
とが気になっている人のもとへ、僅かながらでも何かが届いたらと思い
ます。

 

 

 

 

さて、大窓からガレた谷筋を一歩一歩と白ハゲへと目指して登り返して
ゆきます。ここでも藪や残雪に惑わされ、それが白ハゲ赤ハゲの岩稜を
捲き終えるまで続きました…、そんな状況の中で僕の気持ちは更に打ち
のめされて、もうヘロヘロ…💦

 

 

 

 

今日の核心部は終えたけれども、更に行動時間を延ばし少しでも距離を稼ぐ
ために白萩山へと進んでゆきます。

 

 

 

 

そうして辿りついた白萩山の傍らで今日の行動を終えました(17:44)。
標高は下がっても寒さが抜けない状況のなかで、夕飯の釜‐1グランプリ
からヒントを得て作ってくれたシンプルな釜飯を頂きました。こうして
温かいものを沢山食べると元気を補給している感じがしてきます。
山バージョン「おツマミ釜飯」美味しかったです!
今夜は行動時間が延びた分、水作りや炊事であっという間に就寝の時刻
になってしまいました 

 

 

 

 

23・5・12 Fri 

五時前に起床して朝食のオートミールを食べてから出発(6:50)。朝一番
から赤谷山(7:22)への急登が体に堪えますが、昨日までの緊張感に比べ
れば気分や足取りも軽やかに感じます。
赤谷山からブナクラ峠(9:10)への下りは黒部側の残雪を辿りながら下っ
て行けました。

 

 

 

 

 

ブナクラ谷沿いに夏道を拾いながら下ってゆき、標高1300m辺りでアイゼ
ンを外しました。入山から今まで訓練のようなアイゼン歩行から解放され
たことに併せて、下山したことの安堵感に包まれながら馬場島(12:15)へ
と戻りました。

 

 

 

 

今回で三度目の北方稜線を歩いて感じたことは、北方稜線のグレードが今
も昔も変わらなくても、僕の気力体力が弱い方へと変わってきているなと
いうこと。そんな手強く感じた北方稜線だったけれど、それでもⅠ垣さん
のおかげで何とか歩き通すことができたことに感謝です。


コブ尾根 2023

2023-05-05 | 山登り

23・5・3 Wed 

あれは2006年頃ではないかと思います。岳沢小屋が甚大な雪崩被害によ
り営業を断念していた年にコブ尾根を末端から踏破しようと取り付いて
2700m付近で敢えなく敗退したのは。それから長い月日が経った今回、
カゴちゃんと再チャレンジすることにしました。上高地(6:15)を発っ
て岳沢小屋(8:06)へ。

 

 

 

 

岳沢小屋での小休止後、アイゼンを履いてコブ沢へ。1パーティが先行し
ているようです。コブ沢上部は雪壁のような急な傾斜と硬い雪質で緊張感
が続き足を休める所もなくて脹脛がツライ…、堪らず沢筋の雪斜面から支
尾根へと脱してそのまま主尾根へと合流。その先のマイナーピークで懸垂
の支度をしている先行パーティに追いつきました。継いでに懸垂(10m)
しますかと訊かれたので、ありがたくその厚意に甘えさせていただきまし
た。

 

 

 

 

懸垂で降り立った地点で僕達が先行する形になったのでそのまま岩尾根基
部の雪斜面をトラバース気味に登ってゆくとコブの頭の基部に辿り着きま
した(10:50)。最初は簡単に登れますがだんだんと岩稜が立ってきた辺り
からロープを出しました。

 

 

 

1P目カゴちゃん×35m、2P目僕×30mで岩場を抜けて、コブの頭からの懸垂
ポイントから15mの懸垂で雪稜へ降り立ちます(11:50)。

 

雪稜を辿り尾根の頭へ向かって登っているときに後ろを振り返ると先ほど
のパーティがコブの頭からの懸垂の準備をしていました。

 

 

 

 

あとは簡単な岩場を交えながら雪壁のような尾根筋を辿ってゆくのですが、
そこはそれなりに高度感があるのでステップを刻むのにも慎重になります。
岩場や這松に辿り着くたびに疲れた体と脚を休め、息を整え、前進の繰り
返しの僕…。

 

 

 

途中でもう1Pが先行していることに気が付き、その距離は随分と縮まっ
てきました。おかげで雪壁でのトレースが使えて僕は大いに助かったの
ですが。

 

 

 

 

意外にもコブ尾根の頭の直下で先頭パーティに追いついてしまった僕達
はそこで先行を促されましたが、ここにきてそれをするのは余りに気が
引ける心境なので差し控えさせ頂きました…。
コブ尾根の頭(13:20)で泊るには時間に余裕があるのでジャンダルムを
経由して奥穂へと向かうことにしました。先頭のパーティは天狗のコル
へと下って行きます。

 

 

 

 

ジャンを懸垂した後に現れるロバの耳の下降が一番怖かった…、それを
越えたあとは痩せた雪稜や馬の背を辿って奥穂高岳山頂(15:10)へ。
カゴちゃんと一緒に此処にきたのはかれこれ17年ぶりになるのかな…、
コブ尾根の敗退後、奥明神沢から前穂奥穂と抜けて涸沢で遊んだのは。

 

 

 

 

穂高岳山荘(15:40)へと降り立って、早速テントを設営してノンビリと
しながら過ごすことにしました。
テント場の使用は一人2000円とかなり高額なのであまり利用しようとは
思わないけど、水が貰えてコンクリ上に張れてロケーションが良くて心
地よいトイレがあるなら、ついでにGWだしそれもよいでしょう。乾いた
コンクリの上ではテントの設営諸々がとても快適です。

 

 

 

 

おツマミやCoffeeで小腹を満たしながらラジオを聴いてゴロゴロと過ごし
ているうちに夕飯のじこくになりました(18:00)。夕飯はカゴちゃんが作
ってくれた豚肉+マロニー鍋です。夕食後、再び寛ぎながら過ごして就寝
(21:00)しました。

 

 

 

 

23・5・4 Thu 

翌日は五時に起きて朝食を摂った後、カゴちゃんが涸沢岳を往復してい
る間、僕はテントの中でゴロゴロと寝転んで過ごしました。カゴちゃん
が戻ってきたので撤収して下山(7:00)に懸ります。

 

 

 

 

ザイテングラートを下って涸沢(7:35)へ。なんだかゴールデンな景色です。

 

 

 

 

そんなゴールデンな徳沢(10:10)のテントの多い景色に驚いて、だんだん
と行き交う人が増してゆくGWの上高地(11:26)へと戻りました。
今回は僕の苦手な車の運転やテントやロープ等を担ってくれてとても助か
りました。敗退したままになっていたコブ尾根のリベンジをこうして君と
果たすことができてよかったです。ありがとうございました。


さやかな空の下で

2023-05-01 | その他

23・5・1 Mon 



この頃になってようやく僕の思う日常の光景が戻ってきたようでとても嬉
しい。息苦しく思えたこの三年間を過ごす中で自分の心が病みそうなとき、
励みと鎮静をこれらから受けて過ごしていたから。

「空気の研究」山本七平      「群集心理」 ル・ボン
「監獄の誕生」ミシェル・フーコ  「大衆の反逆」オルテガ

さて、次はどんなふうに作られた社会空気の中で僕は生かされてゆくのだろ
う。たぶん次に作られる社会空気もまた今回と似たような息苦しさを伴うの
だろうが、それを醸成する何かからの距離をとらせて貰いながら過ごせたら
僕は嬉しいです。