22・6・21 Tue
僕が20代の頃にその山名を知ってから一度は登ってみたかった火の御子
峰へ、偵察と登頂に繋がるルートの開拓を兼ねて行ってみました。
市ノ瀬に集合してI垣さんと別当出合を出発(1:30)。砂防新道から室堂
を経て七倉山との鞍部(7:30)へ。そこから地獄谷へと下降して火の御子
峰の取り付き点を目指します。
下降の途中にある2050m辺りの台地状のところにテントを設営して荷物を
デポ(8:40)。そこからアタック装備で火の御子北西支稜の取り付き点へ。
七倉山からの地獄谷本流へと繋がる雪渓を下って本谷出合へ(9:57)。
目に飛び込んでくるその景観の素晴らしさにはただただ感動。
七倉谷支流出合から北西支稜の取り付きまでの約900mほどを下流側へ
と辿ってゆきす。仰ぎ見るその威圧的な光景を目の当りにしたら何だ
かビリビリしてきました。
取り付きとなる支稜末端が僕達の前へと現れてきました。意外と取り付
き易い様子の支稜から取り付いて(10:15)藪を漕ぎながら標高を稼いで
ゆくと30分足らずで藪漕ぎから解放されて、目の前には崩壊的な岩稜の
景色(10:40)が広がっていました。
お互いにトップを入れ代わりながらこのボロい岩稜を攀じ登ってゆきま
す。ボロいとはいえ灌木があるのでとても助かります。
このような非日常感を放つ空間の中で未だ知らず未だ見たこともない山頂
を思い描きながら過ごしていると、好奇心と怖さがグルングルンと入り混
じったような複雑な心境になってきます、僕の場合は。
尾根に取り付いてから約三時間半でようやく山頂稜線が見えてきました。
あそこにさえ立てれば山頂も近いのかな…、そんな目処が立ってほしい
時計の表示は‐13:15‐。
そうしてロープを延ばしてつづけて5ピッチ程で漸く山頂稜線(13:55)に
立ちました。とりあえず目の前に聳えるピークまではのんびりと歩けそう
です。火の御子峰の核心は今も崩壊中である痩せた稜線歩きだと想定して
いましたが、この広くてガレた岩稜上を歩いている分にはそんな感じは全
くありません。
そして目の前に聳えるピーク(14:00)に立ち、その向こう側のガスが抜
けて見通しが利くようになると、奥には威圧的な岩稜がもう一つ聳えてい
ました。どうやらそれが火ノ御子峰の山頂のようです。
残り時間は少ないし天候は下り坂のような気がして前進するか否かの判断
に迷いますが、ここまできたのだし取り合えず火の御子峰との鞍部へ下り
立ってみて、そこでの様子からそれを判断しても遅くはないでしょう。
固定ロープを垂らして鞍部に下り立つと、山頂へは脆く痩せた岩稜であ
ることに変わりはないですが、確りした足場手掛かりさえあれば登攀そ
のものの難しさはなさそうです。
鞍部から50m程ロープを延ばしたところで傾斜が落ち着いてきました。
後はそのまま急なガレ場を辿って山頂へと行けるようです。それにし
ても喉が渇きました…colaをがぶ飲みしたいです…、ここでこんな事を
思うのも何ですが…
こうして火の御子峰に登頂(15:15)。自分達の力の範囲内で登れるルー
トを開拓するための偵察山行のつもりでしたが、相棒と共にこういう結
果を掴み取れたことがほんとうに嬉しい。
ほどなくして下山にかかります。今日が一年のうちで昼がいちばん長い
日とはいえ、明るい時間帯のなかで僕たちに残された行動時間はそう長
くはなさそうですから。
下りは落石に用心しながらの懸垂の連続です。痩せ岩稜とはいえ、それ
なりの幅があるので歩行も可能ですが、踏み外したら地獄と仙人の違い
こそあれ、奈落の底へと落ちてゆくばかりのロケーションが北西支稜の
肩まで続きます。
登りのルートと同じ支稜(16:40)を下降してゆきます。下降時は灌木
と岩稜の際に沿って藪を漕ぎながら下ってゆきます。中程まで下った
岩稜の地点から稜を脱して、北側から延びている雪渓に乗り換えて地
獄谷本谷(18:30)へと下り立ちました。
地獄谷出合(19:20)から七倉への雪渓を登り返して、ようやくテント
を設営した台地(20:40)に戻ることができました。今日は19時間行動
になりましたねと相棒に云われて、そうだなと返して、今日一日を振り
返りながら遅い夕飯を食べて、そして眠りました(23:00)
22・6・22 Wed
3:30 足つりと寒さで目が覚めました…、今回の山行で僕は防寒対策
よりも暑さ対策の方にばかり気が向いてしまったようです。
朝食のラーメンを食べて、鞍部の下降点へと登り返します(6:55)。
鞍部への登り返しがなかなかツライ…、でもって荷が重い…、お花には
癒されるよねと云ったところで荷は重し…
帰路は大汝峰(9:20)を経由してみることにしました。予報は午前中から
雨だったようですが、何だか晴れてきましたよ♪
とはいえ、室堂(10:20)に着いた頃になって雨は一とき降りに。あとは
砂防新道を下って別当出合へと下山しました。
今回の偵察山行で大きな成果を得ることができました。念願の火の御子峰
の山頂に立つことができたのはリードの面でもフォローの面でも僕の至ら
ないところを補いつつ導いてくれたⅠ垣さんのおかげだと思います。あり
がとうございました。