ウィリアム・スタインバーグ&ピッツバーグ交響楽団の懐かしい「キャピトル」録音から先のメンデルスゾーンの「スコットランド」交響曲に続き今日はリムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」を取り上げてみたい。 この作品はつい最近もオッテルローの演奏(コンサート・ホール盤)や数々の名指揮者による録音を紹介済みなのだがスタインバーグ盤も古くから筆者が愛聴し続けているレコードである。
写真は1960年前後に発売された国内盤初期のLPである。(東芝/2LC-11) ジャケット裏面に「TOKYO SHIBAURA ELECTRIC(東京芝浦電気)」と印字されているところも時代を感じさせる。 原盤は「米キャピトルーP8305」で録音は1955年、ピッツバーグの「シリア・モスク(Syria Mosque)」でのモノラルによるスタジオ録音である。 ステレオ録音が本格化する前のモノラルLP時代、レコード会社各社はハイファイ・レコーディング技術による音の探求に励んでいた。 このLPのジャケット右上に印字された「FDS」は当時「キャピトル」が開発したテクニックであった。 因みに「FDS」とは「Full Dimentional Sound」の略でハイファイによる多元音響の世界を目指したものと思われる。
レコード購入当時、箱型の「アンサンブル・ステレオ」でこのレコードに針を下ろした時のそのクリアな音の記憶はまだかすかに残っているがそれから半世紀以上も経過した現在もそのその美しい音質は失われていない。