ワルター「演奏の誕生」と題されたこの写真の2枚組LPはレコード3面に渡りモーツアルト/交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」のリハーサル風景が収められた興味深いものだった。 もちろん第4面には本番の全曲演奏が記録されている。 ワルターのリハーサル風景を収録したレコードは数多く出ているのでそれほど珍しいものではないがLP3面に渡り約90分近いプローベが聴けるレコードは他にない。
この録音は1955年4月26日・28日の両日に米東海岸の「コロムビア交響楽団」との演奏である。モノラル録音ではあるが1960年のステレオ再録音盤に優るとも劣らない演奏である。何でもこのリハーサル録音は当初ワルター本人に無断にレコーディングが進められレコード化にあたり許可を求めたところすんな了承されたとのエピソードもある。このあたりは彼の大らかさも窺え知るところである。 写真のLPは1979年に当時の「CBSソニー」からリリースされた(25AC658-9)もので因みに国内初出盤はこの録音の翌年1956年に「日本コロムビア」からリリースされている。