先日、ダニエル・バレンボイム＆「ウェスト＝イースタン・ディヴァン・オーケストラ」によるベートーヴェンの交響曲全集が「デッカ」からリリースされた。（写真/ＤＥＣＣＡ ４７８ ３５１１, 5CDs) 筆者も気になり早速、入手した。
バレンボイムは１９４２年アルゼンチン、ブエノスアイレスの出身だが１９５２年家族ともにイスラエルに移住、現在はイスラエル国籍を取得している。 彼はイスラエルをめぐる政治的問題にも関心を持ちパレスチナ系アメリカ人の文学研究家のエドワード・サイードの協力のもとでこの「ウェスト＝イースタン・ディヴァン・オーケストラ」を創設するに至った。（１９９９年） オーケストラの団員は長年に渡り抗争状態にある中東地域（パレスチナ、イスラエル、シリア、レバノン、ヨルダン、エジプト etc.)からの有能な若手演奏家たちによって組織されている。 因みに本拠地はこの楽団創設きっかけとなった都市、ドイツのワイマール置いているようだ。バレンボイムはこのオーケストラの活動を通じて全世界に平和のメッセージを発信している。
さて演奏の方も期待通りで楽員たちの息のあったアンサンブルが見事である。 バレンボイムの指揮も見得を切るといったような誇張もなくむしろオーソドックス・スタイルなベートーヴェンに好感が持てた。 昨年（２０１１年）８月ケルンの「フィルハーモニー」におけるスタジオ録音である。