普段はほとんど針を下ろすことがないセルゲイ・クーセヴィツキー(Sergei Koussevitzky/1874~1951)ボストン交響楽団のベートーヴェン交響曲第3番「エロイカ」のLP(写真/米RCACamden-CAL404)を聴いてみた。久しぶりに聴いてみると新鮮さも感じる。このクーセヴィツキーという人はなぜか日本ではそれほど人気がなかった指揮者のひとりだった。彼は旧ソヴィエト出身の名指揮者だが当初はコントラバス奏者として音楽活動を始めた人である。その後1920年にフランスに亡命、アメリカに渡り1924年から名門ボストン交響楽団の音楽監督として49年にミュンシュにその役を引き継ぐまで実に四半世紀に渡って活躍した。
「米RCA」に名盤の「シベリウス交響曲第2番」をはじめ多くの録音があるがこの「エロイカ」は影に隠れあまり話題にならなかった1枚だった。こうして改めて聴いてみるとクセのないオーソドックス・スタイルの「エロイカ」も悪くない。