私のレコード・ライブラリーから

私のレコード/CDコレクション紹介

語りつきのチャイコフスキー「くるみ割り人形」ほか

2011-12-19 13:10:01 | 管弦楽曲

 今週末はクリスマス・イヴ、今年もいよいよ大詰めをむかえた。クリスマスに因んだ音楽は数多くあるがチャイコフスキーの舞踊音楽「くるみ割り人形」もその一つだろう。この作品については全曲盤も含め多くの名盤があるが今日はちょっと珍しい「語り」つきのものを取り上げてみたい。
 写真CDは「NAXOS」レーベルから10年ぐらい前にリリースされた1枚でカップリングされたリムスキー=コルサコフのオペラ「クリスマス・イヴ」からの「組曲版」にも英語による「語り」がついている。語り役は女優のプルネラ・スケールズがあたっている。演奏は「くるみ割り人形」組曲がミヒャエル・ハーラス指揮スロヴァキア・フィルハーモーニー管弦楽団、後者の「クリスマス・イヴ」はイゴール・ゴロフスチン指揮モスクワ交響楽団によるものである。この二人の指揮者は日本でほとんど馴染みがないがハーラスはハンブルクの国立歌劇場等で活躍するオペラ指揮者、一方のゴロフスチンはモスクワ出身でエフゲニー・スヴェトラーノフ時代の「ロシア国立交響楽団」のアシスタント指揮者を務めていた。両人ともこの「NAXOSレーベル」を中心に多くの録音がある。
 私は後者のリムスキー=コルサコフのオペラは未聴だが1894年から95年にロシアの文豪ゴーゴリの「ディカーニカ近郷夜話」から題材をとったものでチャイコフスキーにも同題材のオペラ「チェレヴィチキ(小さい靴)」(1885)というオペラがある。

 

カラヤン&ベルリン・フィル「1977年来日公演ライヴ、ベートーヴェン交響曲全集」

2011-12-17 22:10:25 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 このたび昨年分売りで初CD化されたカラヤン&ベルリン・フィル来日公演、1977年11月東京・普門館における「ベートーヴェン交響曲全曲ツィクルス」のライヴ盤が「5CDセット」となって再リリースされた。(写真上/TOKYO FM/TFMC-0031)これらのライヴ録音は「FM東京」により全てライヴ収録されたもので翌年正月のFM東京「TDKオリジナル・コンサート」特別番組で「第5番」・「第6番」(大阪の朝日放送が映像収録)を除いてオン・エアされている。
 当時カラヤン69歳、最も脂がのりっきたカラヤンのライヴによる唯一の「ベートーヴェン交響曲全集」で聴き応え充分である。当時ほとんど連日、会場の「普門館」に足を運んだ私は今も鮮明に指揮するカラヤンの姿が脳裏に浮かぶ。またこの全集セットに添えられた1977年来日時のカラヤン・ミニ写真集もなかなか魅力的だ。

(1977年カラヤン・ベルリン・フィル来日・東京公演プログラム)

クラウディオ・アラウの「リスト作品集」

2011-12-16 19:58:31 | 器楽曲

 南米チリ出身の20世紀を代表するピアノの巨匠クラウディオ・アラウ(Claudio Arrau/1903~1991)はベートーヴェン弾きのイメージが強かった。実際、筆者も彼のベートーヴェンのレコードをよく買い求めたものだった。もう40年以上も昔になるが彼が1968年に来日した際に新宿・厚生年金会館大ホールで聴いたベートーヴェン/ピアノ・ソナタ「ワルトシュタイン」の演奏は今も忘れることができない。またこの時プログラムのラストを飾ったリストの作品「エステ荘の噴水」ほかも印象的だった。彼はリストの作品をSPレコード時代からレコーディングしておりベートーヴェンと並んで得意のレパトリーにしていた。
 写真(上)はアラウが66歳、1969年にフィリップスに録音したリストの作品を集めたLPアルバムである。収録作品は「ペトラルカのソネット第104番・第123番(巡礼の年第2年/イタリア)」・「バラード第2番ロ短調」・「オーバーマンの谷(巡礼の年第1年/スイス)」・「忘れられた円舞曲第1番嬰ヘ長調」・「エステ荘の噴水(巡礼の年第3年)」の全6曲が収められている。今改めてこれらの彼の演奏に耳を傾けると自然にリストの華麗で甘美な旋律の世界に引き込まれてしまう。まさに円熟期に達した最高潮のアラウが聴ける1枚ではないかと思う。

(クラウディオ・アラウ、1968年10月来日公演プログラム)
 
 

テミルカーノフ&ロイヤル・フィル - 「ラフマニノフ交響曲第2番」

2011-12-15 16:16:31 | 交響曲

 ユーリ・テミルカーノフも今年73歳をむかえ巨匠の域に達した指揮者のひとりであろう。私が彼の指揮に初めて生で接したのは1974年に「第2レニングラード・フィル」を率いて初来日した時だったと思う。写真のLPはその3年後彼が「ロイヤル・フィル」とレコーディングしたラフマニノフ「交響曲第2番ホ短調作品27」である。(英EMI-ASD3606)この録音は「英EMI」が「メロディア」の協力を得て行ったものだった。また彼のロンドン・デビューもこの「ロイヤル・フィル」からだったと思うがその後彼はこのオケの首席指揮者に迎えられ(1992年~98年)、現在は名誉指揮者となっている。
 このラフマニノフの演奏を聴いても彼の美妙な音の色彩感が味わえる1枚で後の「サンクトペルブルク・フィル」との再録盤(1991年)もあるが私はこの旧盤に愛着がある。尚、このLPにはジャケット並びにレコード盤レーベルの「EMI」ロゴに「EMIAngel」のシールが覆ってある。
 

ギュンター・ヘルビッヒ&ベルリン交響楽団の「ニールセン/交響曲第5番」

2011-12-14 00:43:14 | 交響曲

 指揮者ギュンター・ヘルビッヒは1931年チェコ出身、今年80歳を迎えたドイツの名匠である。これまでにも何度か来日しており筆者は1980年代に「読売日響」定期に客演したころの彼を思い起こした。彼は旧東独のワイマールでヘルマン・アーベントロートの元で研鑽を積みその後シェルヘンやカラヤンにも学んでいる。写真のLPレコードは彼が旧東独の「べりリン交響楽団」の指揮者になって間もない頃(1960年代末頃)の録音と思われるニールセンの大変興味深い「ニ楽章構成」の「交響曲第5番作品50」である。これは旧東独「エテルナ」レーベルのズッシリと重量感あるレコードで演奏も若きヘルビッヒの鋭角的な切れ味を感じさせる。ニールセンの作品は日本ではまだまだマイナーだがじっくりと聴きこむとこの「第5番」も第1楽章の印象的に響く「小太鼓」のリズムなどに惹きつけられる。
 ヘルビッヒは現在、2008年にも来日した「フィルハーモニア台湾(国家交響楽団」のアーティスティック・アドバイザー及び首席客演指揮者を務めている。
 
 

ムーティ&ニュー・フィルハーモニア管のメンデルスゾーン「スコットランド」

2011-12-12 18:32:53 | 交響曲

 ムーティ&ニュー・フィルハーモニア管弦楽団によるメンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調作品56「スコットランド」も昨日取り上げたチャイコフスキーの交響曲「冬の日の幻想」とほぼ同時期(1975年)の録音で発売当時話題となった1枚だった。写真は「英EMI」の初出LP盤(ASD3184)でゲーテの「海の静けさ」と「幸福な航海」の二つの詩を題材にした序曲「静かな海と幸せな航海」とのカップリングで組み合わせも当時ちょっとユニークだった。この録音でムーティが「スコットランド」の第1楽章の主題提示部の反復を丁寧に実行しているところも興味深いところである。またこのLPも発売当時香港のレコード店で求めたものでジャケットとレコード盤レーベルの「EMI」のロゴ・マークを「ODEON」と印刷されたシールで覆った懐かしい1枚である。

 


ムーティ&ニュー・フィルハーモニア管の「チャイコフスキー交響曲第1番」

2011-12-11 21:03:26 | 交響曲

 写真のLPは現在シカゴ交響楽団の音楽監督を務めるリッカルド・ムーティがイギリスの「フィルハーモニア管弦楽団」音楽監督時代にレコーディングしたチャイコフスキー/交響曲第1番ト短調作品13「冬の日の幻想」である。もっともこのレコードが制作された1975年当時はまだ「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団」と呼ばれていた。このオーケストラが元来の「フィルハーモニア管弦楽団」の名称に戻ったのは1977年からである。
 ムーティはこの楽団と1975年から1981年にかけ「マンフレッド交響曲」を含むチャイコフスキーの「交響曲全集録音」を完結しているがこの「第1番」その第1弾の録音だった。録音当時34歳の若きムーティの溌剌とした指揮ぶりが目に浮かぶような全体にテンポも速めにとった快活な演奏が魅力である。このLPは英EMIの初出盤ASD3213(1976年)なのだがジャケトとレコード盤レーベルの「EMI」ロゴ・マークに「ODEON」と印刷されたシールが貼ってあることに当時少々気になった。これはおそらくEMIのトレード・マークに「RCA」と同じ「ニッパー」のマークを使用していたため海外輸出盤は「ODEON」のシールで覆ったものと思われる。今思えばこの当時の「英EMI盤」(輸出用)は一時このようなシールが貼ってあったようだ。
 

航空ドキュメンタリー・レコード 「DC-10」

2011-12-10 18:21:58 | ドキュメンタリー録音

 今日は久しぶりに「ドキュメンタリー録音」のレコードを整理した。その中から懐かしい「DC-10」型機を飛行取材した写真の1枚についてふれてみたい。
 このLPレコードは今から30年余り前の1978年に「CBSソニー・レコード(当時)」発足10周年を記念して制作されたもので「KLMオランダ航空」の当時の花形ワイド・ボディ機DC-10-30に搭乗取材したものである。録音は1977年12月22日から23日にかけ東京(羽田)-アンカレッジーアムステルダム路線(北極圏回り)KL868便で行われている。現在では国際線の新ターミナルも開業し国際路線も新時代を迎えた羽田空港に生まれ変わったが当時は「成田新国際空港」開業を翌年5月に控えていた。今振り返ればLPレコード時代、特に1960年代中頃から70年代にはこのジャンル - 鉄道(SL)、航空機を中心としたドキュメンタリー録音がかなり出回っていたがその後CD時代に入りその数が激減したように思う。これも時代なのだろうか?
 手元の資料で「KLM」の東京ーアムステルダム路線の当時を振り返ると北回りがこの「DC-10」、南回り(東京ーマニラーバンコクードバイーアテネーアムステルダム)が「B-747」で運行していた。現在ではノン・ストップが当たり前なので当時よく利用させてもらった私にはこのLPを聴くと昔の思い出が脳裏に甦る。また「KLM」のDC-10」には機体にバッハ、ベートーヴェンなど音楽家の名前が付けられていたので「クラシック音楽」ファンの私にとってはことさら愛着を感じていた。写真(下)は記念に頂いた1980年1月16日に搭乗したDC-10(KL-867便)アンカレッジー成田間の飛行ルート・マップで機体名がこのLP録音と同じ「べ-トーヴェン」だった。

エレーヌ・グリモーのブラームス/ピアノ協奏曲第1番(ライヴ盤)

2011-12-09 20:58:11 | 協奏曲

 南フランス、エクサン・プロヴァンス出身の世界的女流ピアニスト、エレーヌ・グリモーの生演奏に最初に接したのは2002年3月のことだった。これは彼女がチョン・ミョンフン率いる「フランス国立放送フィル」来日公演に客演した時のことである。因みにプログラムはベートーヴェンの協奏曲第4番だった。写真のCDはこれに遡る1997年10月、彼女がクルト・ザンデルリンク、ベルリン・シュターツカペレのコンサートに出演した際のブラームス「協奏曲第1番」のライヴ録音である。(原盤ー仏エラート)これはグリモーの初のブラームスのピアノ協奏曲録音でもあった。ライヴ録音ということもあり白熱した彼女の繊細で深みのある演奏が魅力的な1枚だ。現在のところ彼女の唯一のブラームスの協奏曲録音と思われるが次回はもちろん「第2番」を期待したいところである。

カラヤン&ベルリン・フィル、ロンドン ライヴ盤 (1972)

2011-12-08 15:02:26 | ヘルベルト・フォン・カラヤン

 今日は「テスタメント・シリーズ」からまだこれまで取り上げてなかったカラヤン&ベルリン・フィルのライヴ盤を1枚紹介したいと思う。写真のCDは1972年5月、カラヤン&ベルリン・フィルのヨーロッパ演奏旅行に於ける5月16日の「ロイヤル・フェスティバル・ホール(ロンドン)」でのコンサート・ライヴである。
 CDの解説によればこの日当初の予定ではベートーヴェン/「交響曲第4番」とR.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」が演奏される予定だったが多くのオーケスラが活動するロンドンではプログラムの重複を避けるためもあり始めのベートーヴェンの交響曲が「第6番<田園>」に変更されたとのことである。いずれにせよこれらの作品はカラヤンが元から得意とする作品なので当日のロンドンの聴衆の期待も高まったと思われる。
 カラヤン&ベルリン・フィルの「田園」と「英雄の生涯」の録音はこのライヴも含めて正規盤で5,6種類を数えると思うがこのライヴ盤の演奏も上位にランクされて然るべきだろう。特に「英雄の生涯」のシュヴァルベのソロを聴くと翌1973年の来日公演での演奏が脳裏を過ぎる。