教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

レッジョ・エミリアの教育~ハワード・ガードナーの精神の故郷

2008-06-17 23:42:17 | 
レッジョ・エミリア保育実践入門―保育者はいま、何を求められているか
ジョアンナ ヘンドリック
北大路書房

このアイテムの詳細を見る


今年6月、東京で開催された「私学経営研修会」で、ハワード・ガードナーの考え方を少し紹介した。

☆研修会終了後、幼稚園から高校まで経営されている学校の夏期研修のお手伝いをすることになった。プログラムの構築についての打ち合わせで、研修プログラムのまとめの部分で、ガードナーの「5つの心」という書とお手伝いする学校の教育の関係について触れることになった。

☆「熟練した心」「統合する心」「創造する心」「尊敬する心」「倫理的な心」の5つの心については、説明を要しないとは思うが、ガードナーの視点が面白いのは、この5つの心は、育てる時期がそれぞれ違うのである。かといって、その時期が固定しているわけではない。教育プログラムによって変幻自在である。

☆幼稚園から高校まで、どの心をどの時期から育てたらよいのか、とても参考になる。それゆえ幼稚園から高校まで教育を実践している学校では、興味をもたれたのであろう。

☆しかしながら、その5つの心をどうやって育てるか、そのプログラムまでは書かれていない。残念である。ただし、ガードナー自身が30年弱も研究しているレッジョ・エミリアの教育が紹介されている。

☆レッジョ・エミリアといえば、この都市でデビューした20世紀最大のテノール歌手は、あのルチアーノ・パバロッティ。ともあれ、戦後、教育と文化を市民が自ら作り上げた良質の都市である。この都市で生まれたレッジョ・エミリア・アプローチというプログラムがすごい。

☆創造的で倫理的な精神が育つ格好のケース・メッソドが展開されているのが本書である。それにしても、レッジョ・エミリア・プログラムのアメリカへの紹介には、あのJ.S.ブルーナーもかかわっているというのだから、かなり構造的であることは確かである。

☆つまり、科学の最前線について幼児も理解できる知の構造をプログラムの構造でサポートできるという発想。逆に言えば、幼児の時に学んだことが初等中等教育でも連綿と螺旋的に発展するということ、言いかえれば、成長の成果は、幼児期の学びの環境に大きく左右されるということ。

☆幼稚園から高校までの一貫教育を行っている学校の教師やその学校を選択した保護者必見の書である。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。