教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

上杉賢士プロジェクト②

2005-08-06 20:39:28 | 学習プログラム
前回紹介した上杉氏の書
「プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち」
の中から気になる一節のいくつかをしばらく
抜粋していこうと思う。

2003年OECD/PISAの報告
日本の「ゆとり教育」を再検討を迫る影響を与えるほどだった。

これに対し、上杉氏は有益な視点を示してくれる。

たとえば、

「皮肉なことに、PISAが示す2000年から2003年にかけての学力低下
傾向は、『生きる力の育成』を標榜して始まった新教育課程が軌道
に乗りかけた時期に発生した。とはいえ、わが国の教育改革におけ
るこの時期は、むしろ新教育課程をめぐる『学力低下論争』に揺さ
ぶられていた時期と考えた方がよい。不毛な論争に時間を浪費して
いた間に、学力のグローバル・スタンダードは確実に変化していた
のである。ネーミングの適否は別として、それを「ゆとり教育」の
せいにするのは見当違いもはなはだしい。」(同書76ページ)


上杉賢士プロジェクト

2005-08-06 19:10:17 | 学習プログラム
プロジェクト・ベース学習の
決定版が出版された。

「プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち
 ―日米18人の学びの履歴」

2005年7月20日 初版発行
著者  上杉賢士・市川洋子
発行所 学事出版株式会社
定価 本体2000円+税

上杉氏は千葉大教授で、ミネソタ・ニューカントリスクール
の開発した「プロジェクト・ベース学習」の紹介者であり、
日本版「プロジェクト・ベース学習」の教育実践も
活発に推進している。

私が上杉氏の教育活動を知ったのは、2002年秋。
京北学園校長川合正先生から、京北学園白山高校の
杉原米和先生(現教頭)が、上杉氏と協力して「プロジェクト学習」
を実践しているということを聞いたときからだ。

Honda「発見・体験学習」を編集・実践し始めたころだから
たいへん興味深かった。そこでCAL(最先端学習センター)
ぜひ発表していただこうということになった。

それから3年経ち、京北学園白山高校のケースも
含まれた「プロジェクト・ベース学習」の
集大成が生まれた。

たんなる実践例紹介本ではなく、
社会の変化を見据えながら、
それに対応できない今の教育を
どのように変えていったらよいのか
という視点で書かれているため、
教育実践を通しての社会のパラダイム論
になっている。

現実と理念の統合の産物とも言える。
文部科学省や教育関係者にとって
必読の書である。