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2012年の予言:「高齢者三経費の増加で世代間格差が更に増大」- 消費税増税しても高齢者福祉で蕩尽

2012-01-03 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
消費税引き上げへ向けて着々と動きが進んでいる。
財政的に増税は必至なのでそれ自体は非難されるべきことではない。
しかし現状、増税論議において致命的なミスが2つあり、
近い将来に予想される経済危機を増幅することになろう。

1つ目は、増税分が高齢者福祉にだけ蕩尽されてしまうこと。
これが最大の問題であり、かつ日本経済にとって致命的である。

日本の場合、高齢者3経費で子供手当を遥かに超えるバラまきがなされており
しかも「給付」が多過ぎて経済波及効果が著しく低いという欠点がある。

貧しく困っている方々を助けるのなら良かろう。
しかし、家計金融資産の統計を見れば明白であるが
日本の金融資産は高齢層に極端に偏っている。
カネを持っている者にカネをバラまく最悪の政策になっているのだ。

しかも大和総研の原田泰氏の試算によれば、
現在の公的年金は消費税負担分を自動調整しているため、
2050年には
消費税60%への引き上げが必要と言う。
これを致命的と言わずして何と言うべきだろうか。

賢明な有権者は、貯蓄課税(マイナス金利による円安誘導効果もある)や
退職金課税優遇(長期安定職の労働者を優遇する愚劣)の大幅削減をせずに
消費税引き上げに同意することを絶対に行ってはならない。

▽ 巨額公費が投入されている年金は「老人手当」と呼ぶべき、との主張

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)


2つ目は言う迄もなく行政改革が不充分であること。
消費税引き上げと引き換えに閣僚・議員・公務員等の人件費を抑制しなければ
年間およそ30兆円もの規模の賃金利権が温存されてしまう。
重税の北欧で議員や公務員の所得水準が低いのは有名な事実だ。

社会的責任の重い公共部門が「痛み」に耐えないで
どうして有権者に増税を求められると言うか。
非正規職員を含め他人にだけ「痛み」を押しつけている現状は厚顔無恥だ。

▽ 日本の公共部門の非効率性は、北欧と比較すると余りに明白





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


消費税10%なら:「夫婦と子ども2人」現役世代に打撃(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111230k0000e020097000c.html
”「社会保障と税の一体改革」に伴い、家計にどの程度の影響が出るのか。大和総研が復興増税などの影響も織り込んで試算したところ、15年の実質可処分所得(収入から社会保険料などを差し引いた額)は今年に比べて4~9%減少する見通しだ。その半分程度は、消費増税の影響という
 「夫婦と小学生の子ども2人の現役世代」「単身の現役世代」「年金生活者の夫婦」を比較すると、最も打撃が大きくなるのが「夫婦と子ども2人の現役世代」だ
 日本の平均に近い年収500万円のケースでは、11年比で31.4万円所得が減少する。年間300万円超を消費に回すと想定すると、消費税の5%増税で16.7万円の負担が増えるほか、来年6月から始まる住民税の年少扶養控除廃止(11年比6.6万円の負担増)や子ども手当の制度変更(同5.4万円の負担増)の影響が大きく、民主党政権が柱の一つに掲げてきた「子育て世帯支援」に逆行する形となっている。
 年収別では、新たな子どものための手当で所得制限の対象となる1000万円世帯の影響が最も大きく、年71万円の所得減。可処分所得は11年比で9.2%減少する。年収300万円世帯の減収幅も同8.5%と大きい。一方、単身世帯では、所得減少の要因の8割超を消費増税が占め、可処分所得の減少幅は約5%となる見通しだ。
 年金生活者も、夫婦合算の年収が240万円のケースで16.3万円の所得減となる。このうち10.3万円が消費増税の影響だが、残る6万円は年金の「特例水準」解消に伴い、これまでもらい過ぎていた年金の支給額が減るためだ。年収360万円のケースでも22.7万円の所得減となる。
 試算は15年1月から消費税が10%に引き上げられたと想定し、復興増税、12年度税制改正、「税と社会保障の一体改革」で実施が固まった社会保障改革や消費増税の影響などを織り込んで、11年と比較した。所得税の最高税率引き上げや給付付き税額控除など制度の概要が流動的なものは除外した。【赤間清広】”

何度も書いているが、次世代に投資しない国は滅びる。
日本は悪しき道に足を踏み入れ、動きが取れなくなりつつあるのだ。

消費税を引き上げるなら医療・保育・介護分野での雇用増に
予算を重点投入すべきである。当たり前ではないか。
それでこそ税収増・社会保険料収入増が実現できる。

特に保育分野は年率5%を超える成長が続いている。
我が国においてこれほど有望な成長部門はない。
費用対効果を厳密に検証しつつ予算積み増しが必要だ。

▽ 日本の世代間格差は最大、経済成長率が低迷

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


もし富裕高齢層への野放図なバラマキを今後も続けたら、
それは赤い貴族が牛耳っていたかつてのソ連と同じである。
この国そのものが没落するだろう。
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