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丹羽駐中大使の警告は正しい、対日暴動の引き金は石原都知事 - 尖閣問題で中南海の面子を潰した経済無知

2012-09-18 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
暫く前に丹羽駐中大使はフィナンシャル・タイムズのインタビューに応じ、
尖閣諸島購入計画が日中関係に深刻な打撃を与えると警告した。

FTに対してそのようなことを平気で喋るのは大失態であるが
丹羽氏の懸念は極めて的確なものであった。
メディアはその見通しが正しかったことを認めなければならない。

丹羽氏のミスは単なるテクニカルなものに過ぎず、
辞表願を出して国内誌に寄稿し単細胞な政治家と世論を厳しく諌めれば問題なかった。
そうすれば今頃は先見性を認められていたであろう。

当時、中国政府の動きを予想できなかった視野の狭い連中は猛省すべきである。
相手は韓国と違って日本経済への影響度の格段に大きい中国である。
大衆も粗野な群集心理に突き動かされる傾向が極めて強く、危険だ。

国内の大衆受けを狙ったあさはかな内向きパフォーマンスのために
中南海の面子を潰したのだ。その結果、中国在留日本人の身を危険に晒し、
日本企業の対中投資に損害を与えた軽挙妄動は厳しく批判されなければならない。
彼らは短慮と情動性において、あの粗暴な反日デモ参加中国人と同レベルである。

▽ 大国と交渉する時、相手の顔を潰してはならないのは常識中の常識

『対米交渉のすごい国』(櫻田大造,光文社)


「もし本当に安全保障を理解しているならば、
 尖閣諸島を買うなどという国内受けを狙ったアピールではなく、
 アメリカと共同で尖閣諸島海域での資源調査を行った筈である」

と当ウェブログは主張してきた。

何を始めるか分からない、人命も人権も軽視している中国政府に対しては
決して日本単独で正面から衝突してはならない。
他国と協力して中国を不利な状況に追い詰めるべきだったのだ。


↓ 参考

強まるベトナムの対中警戒感 -「中国は争いのない場所を意図的に領有権係争地にしようとしている」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b3da3585ca587e4e7a1147b35d5c19ec


石原都知事「追っ払えばいい」 尖閣問題で中国批判(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/0915/TKY201209150111.html
”東京都の石原知事は14日の定例会見で「気が狂ってんじゃないかと思う。俺の物は俺の物、おまえの物も俺の物という形でやられたらたまったもんじゃない」と中国を批判。「追っ払えばいいんだよ。体当たりしたらいいんだ」とも述べた。
 自らの言動が日中関係を悪化させているとの指摘に対しては「経済利益を失ったっていい。あの国の属国になることの方が、私はよっぽど嫌だね」と話した。
 また、自民党総裁選の各候補者に尖閣諸島などについて公開質問状を出し、18日までの回答を求めたことも明らかにした。〔以下略〕”

なぜ自民党総裁になれなかったのかがよく分かる報道である。
このような煽動的発言を聞いて喜ぶのは日本国内の原理主義者たちだけだ。

中国の反日デモが更に凶暴化して日本人に死傷者が出る可能性も
驚くべきことに全く理解できていないようだ。
我が国と中国とでは人命の軽重が全く違うのが何故分からないのか。

そもそも尖閣購入計画で愚かな世論を煽ったのが
凡庸な野田政権の「国有化宣言」に繋がったのである。
軽々しく国政に嘴を挟むとこうなるという典型例だ。

もし中国経済に依存したくないのなら何年も前から北欧並みの育児支援を行い、
出生率と女性就業率を強力に引き上げる人口政策を断行すべきであった。
社会全体が老化し、内需がお先真っ暗の今になって強がるのは愚劣だ。


中国反日デモ、暴徒化拡大=日系企業に放火、略奪―30都市、72年以降最悪に(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012091500189
”【北京時事】日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に抗議する反日デモは15日午後も中国各地で続き、一部で暴徒化して日系工場が放火され、百貨店やスーパーが襲撃されるなど大きな被害が出た。日本大使館前のデモ参加者が2万人以上となった首都北京をはじめ、デモが展開された都市は30以上に広がり参加者は7万人に達し、1972年の日中国交正常化以降で最大規模に拡大したもよう。
 中国各地では、柳条湖事件(満州事変の発端)から81年を迎える18日を前に、16日以降も激しいデモが続く恐れがある。日中関係のさらなる緊迫化は避けられそうにない情勢だ。
 日本大使館などによると、山東省青島ではデモ参加者が数万人に膨れ上がり、パナソニックなど日系企業10社では工場が放火されたり、生産ラインが破壊されたりするなどの被害が出た。青島のジャスコ黄島店でもデモ参加者がガラスを割って侵入、鉄パイプで店内の器物を破壊し、商品を略奪した。
 北京のデモは10時間にわたって行われ、参加者数は靖国神社参拝問題などを受けた2005年4月のデモ(1万人規模)を超えた。デモ隊は公安当局の規制を振り切って大通りを埋め尽くし、「釣魚島は中国のものだ」「小日本を打倒しろ」と気勢を上げた。
 石やペットボトルを大使館にめがけて投げたり、館内に乱入しようとしたりするなど暴徒化。
〔中略〕
 このデモ隊に対しては、計2000人以上の武装警察部隊などがバリケードを築いて配置に就き、激しいもみ合いとなった。混乱はなかなか収まらず、当局がデモを制御できない状況が浮き彫りとなった。”

戦前から国民性は変わっていない。
暴走が始まると手がつけられなくなる。
かつて魯迅が「狼の目」と書いた群衆と同じである。


デモ襲撃被害「責任は日本に」 中国、18日は大規模化も(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201209/CN2012091701001789.html
”【北京共同】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)国有化に抗議する中国の反日デモで、日系企業などが襲撃され多大な被害が出たことについて、中国外務省の洪磊副報道局長は17日の定例記者会見で「その責任は日本が負うべきだ」と述べた。今後の反日デモについて「事態が深刻化するかどうかは日本側の対応にかかっている」とした。中国政府として反日デモを静観する姿勢を示したもので、18日はデモが大規模化する可能性がある。”

意図的に群衆を放置して対日圧力に「活用」していると推測される中国政府。
人権意識・国際社会秩序を軽視する先進国にほど遠い相手である。
まともな交渉や常識など通じないことを認識する必要がある。


中国、領土問題で日本の挑発続けば経済的報復に出る可能性=人民日報(reuters)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK819750420120917
”尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる中国での反日デモを受け、複数の日系企業が中国における工場や店舗の操業・営業を一時停止している。
 中国国営メディアは17日、両国間の貿易が滞れば日本がもう一つの「失われた10年」を迎える可能性があると伝えた。
 日本のメディアによると、複数の企業は一時的に、中国におけるオペレーションを抑制したり、中国出張を途中で切り上げたりしている。
 キヤノンは従業員の安全への懸念から、17─18日に中国の4工場のうち3工場で生産を停止する。パナソニックも同様の措置をとった。
 トヨタ自動車は、放火された疑いがある山東省の販売店を含め、反日デモで受けた被害を集計していると明らかにした。
〔中略〕
 中国共産党機関紙の人民日報(海外版)は日本に対し、両国間の緊張が一段と高まれば中国政府は経済的な報復に訴えると警告した。同紙は1面の論説で、中国は「経済カードを使うことにこれまでは極度に慎重であった」と指摘。「だが、領土の主権をめぐる争いで日本が挑発を続ければ、中国はその戦いに応じるだろう」と論じた。”

軍事衝突では負ける可能性が大きいと判断した中南海は、
確実に効果の出る経済的圧力を選択した。
この程度が予想できないメディアや日本国民は外交も国政も論じる資格はない。

↓ 参考

中国指導部「尖閣諸島での決戦は絶対に避けるべき」- 冷ややかな政府と煽動する大衆の落差
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/34854cb53efaba16d949a0807916d832

▽ 昔から中国は老獪で、日本の足元を乱す変化球を投げてくる





『暗流―米中日外交三国志』(秋田浩之,日本経済新聞出版社)



中国、外資歓迎アピール=対日関係冷え込む中―商務相(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120917-00000057-jij-int
”【北京時事】中国の陳徳銘商務相は16日、広東省東莞市で開かれた博覧会で、「加工貿易は外資導入の重要な要素で、経済発展に大きく貢献している」とした上で、「今後も中国が国際分業に参加する重要なモデルだ」と強調した。
 中国では賃金上昇や景気減速懸念などを背景に、沿海部などで外国企業が撤退する動きが拡大。直接投資が減り、資本流出懸念もささやかれている。唯一好調だった日本企業の対中投資も、沖縄県・尖閣諸島の国有化を受けた日中関係の急激な悪化で、冷え込む可能性が高まっており、外資歓迎の姿勢を改めてアピールしたものとみられる。

「強いメッセージを」と受け狙いを繰り返す自民党の総裁選候補がいるが
外交音痴もいい加減にすべきである。中国が最も恐れているのは
対中直接投資の減少と海外からの技術移転がなくなることだ。

従って、日本からのメッセージは主に国際社会に向けなければならない。
中国大衆の粗暴さと暴力を放置する中国当局の無責任を、
破壊された建物と工場の大写し写真を掲げて糾弾し、
(平和な横浜中華街の写真を横に並べれば更に効果大である)
責任ある大国として相応しい行動を強く要求しつつ
「日中融和のため」尖閣諸島国有化を「無限延期」すると宣言すれば事態は収まる。
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