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『週刊エコノミスト』3月28日号 - 日本経済を衰退させた、株主還元の増加とプロビジネス政策

2023-03-23 | 『週刊エコノミスト』より
今週のエコノミストは日本株特集、ちょっと節操なくはあるが
結果的には悪くないタイミングになりそうな情勢ではある。

ただ特集冒頭の資料を見ると喜ばしくない現状が見える。
視野狭窄の投資家は株さえ上がればという貧しい心しかないが、
日本の場合は直近20年で株主還元が数倍に急膨張している一方、
経済成長率は寧ろ低迷、所得も一向に伸びず「安い日本」になり果てている


特に配当総額は2002年の2兆円強、2008年で6兆円強だったのに
2022年には総額16兆円を超えている。だが日本経済は低迷するばかりだから
株主還元策が日本経済を衰退させていると考えざるを得ない。
特集では日本株にとってのポジティブ材料として挙げられているが
日本経済にとっては寧ろ株主還元はネガティブ材料としか見えない。

『週刊エコノミスト』2023年 3/28号【特集:日本株の大逆襲】


市岡繁男氏は景気先行指数に注目している。
日本の景気先行指数は欧米に比べて良好だが
それは日銀が金利を抑え込んでいるためでは、とのことだ。

確かに債券先物と景気先行指数の連動性は無視できない。
日銀が金利抑制を放棄するとは思えないが、
日本経済の回復の弱さはそのためでもあろう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドはメイン特集は常識的な内容だった。
それよりコラム「数字は語る」が抜群に素晴らしい。
日本企業の「ITに見識のある役員の割合」は三割以下が多数(約72%)、
情報システムの内製化は「コスト削減のため」が55%、
デジタル人材のキャリアパスが整備されている日本企業は2割以下、
デジタル人材のロールモデルが示されている企業に至っては1割程度、
ともに米国企業の半分以下という寒気のする数字が並んでいる。

『週刊ダイヤモンド』2023年 3/25号 (お金の終活)


佐藤優氏の新しい連載は、今回はまあ妥当な線だ。
ロシア側がアメリカの脅威を過大に見ているのではとの指摘は正しい。
但し、ロシアの言う「教育」はソ連時代から一貫してマインドコントロールに近く
政治指導者の交代により急変する政治的なものであり続けてきた事実を言及すべきだろう。

    ◇     ◇     ◇

東洋経済の商社特集は冷静で良い。
総合商社の国内回帰姿勢は地政学リスク・脱炭素などの
要因に迫られたやむを得ない選択との指摘は的確である。


他、今週号は研究者による寄稿がかなり良くて、
話題のリスキリングは就業には効果があるが
賃金増の効果ははっきりしないようだ。
つまり日本で言われる、雇用流動性の向上による所得増シナリオは疑わしいということだ。

『週刊東洋経済』2023年3/25号(シン・総合商社)


佐藤優氏のコラムは今週はかなり良い。
氏は裏目に出てばかりいるウクライナ情勢分析より
過去のヒューミントの話をした方が読者に有益であろう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週の注目はダイヤモンド、小粒ぎみ特集だが上場企業の役職待遇という目の付けどころが意外。

▽ サブ特集の「電力バトルロイヤル」の方が日本経済にとって重要だろう

『週刊ダイヤモンド』2023年 4/1号 (部長・課長の残酷)


▽ 学び直す年齢とレベルがいかにも苦し過ぎる、つい心配になる東洋経済英語特集

『週刊東洋経済』2023/4/1号 (中学レベルから学び直す40~50代の英語術)


▽ エコノミストはNISA特集、個人的には米国の個別株に向いていると思う

『週刊エコノミスト』2023年 4/4号【特集:徹底攻略 新NISA】

大論争「バブル世代 vs デフレ世代」が面白そうだ!
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