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新春の新刊 -『未婚と少子化』『戦狼中国の対日工作』『ルポ無料塾』『教養としての財政問題』etc

2024-02-12 | こんな本を読んでいます
連休には恒例の新刊紹介です。
ガザ・イスラエル関連は意外に良書が少ないような。。

しかし少子化・高齢者福祉・中国・台湾・教育と
各分野においてきらり光る新刊は出てますね。


『未婚と少子化 この国で子どもを産みにくい理由』(筒井淳也,PHP研究所)


 → 家庭庁の「こどもまんなか」は少子化対策とは全く関係がなく、
   寧ろ自分の子供を惨めにしないために子供数を抑制していること、
   そして婚姻率の低下こそが少子化の真因であること、
   非婚は経済面でのミスマッチが主因であると理路整然と論じる良書。


『教養としての財政問題』(島澤諭,株式会社ウェッジ)


 → これは昨年末に取り上げているが非常に重要な一冊。
   少子化対策財源には高齢者三経費の削減が最も効果大という指摘が非常に重要、
   (理由は単純明瞭、現役世代の経済負担軽減になるからである)
   但し奈義や下條の出生率急回復から全く学んでいないし、
   政策効果を高める現物給付の計量分析に触れるべきである。


『戦狼中国の対日工作』(安田峰俊,文藝春秋)


 → 中共による対日工作活動は既に在日中国人を介して日本に深く浸透しており、
   中国資本による土地取得などより遥かに深刻な問題である。
   自民党政権による中国からの留学生・労働者受け入れがいかに危険かも分かる。


『箱根駅伝は誰のものか: 「国民的行事」の現在地』(酒井政人,平凡社)


 → 箱根駅伝は読売新聞&読売テレビと有名監督のためのもので拝金主義に染まってしまった、
   有力選手は多額の「奨学金」でブランドものを次々買っている。


『台湾の本音』(野嶋 剛,光文社)


 → 台湾のいまをコンパクトに伝える一冊、
   深みにはやや欠けるがタイムリーでバランスが良い。


『日本人が知らない台湾有事』(小川和久,文藝春秋)


 → 漸く米シンクタンクのシビアな台湾有事シミュレーションを取り上げたのは良いが
   飽和攻撃による日本の大打撃予想を意図的に伏せており『米軍と人民解放軍』に遠く及ばない、
   しかも政府に忖度しイージスとパトリオットの有効性を誇張しており大減点。
   (米国の西太平洋への中距離ミサイル配備や日本版THAAD検討と外交カード化の方が遥かに効果的)

▽ 10年以上前の以下の本の方が分析はよりシビアである

『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』(布施哲,講談社)



『ルポ 無料塾 「教育格差」議論の死角』(おおたとしまさ,集英社)


 → 矢張り教育投資で貧困の世代間連鎖は防げないと研究者が認めていた、
   しかも高所得層は「経済力によって受けられる教育が異なるのは当然」という
   利己的かつ自己正当化の論理に染まっている。

▽ 高所得層はこの通り、格差や貧困など完全に無関心で我が家の財布と我が子の利益ばかり考える

『世帯年収1000万円―「勝ち組」家庭の残酷な真実―』(加藤梨里,新潮社)



『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(針貝有佳,PHP研究所)


 → 内容自体は興味深いが北欧やドイツ関連で既出の情報が多く、
   女性就労率の高さや積極的労働市場政策が重要なのに言及していない。


『ギフティッドの子どもたち』(角谷詩織,集英社)


 → ギフテッドの90%以上は天才ではない、
   思考停止した脳天気なギフテッド称賛は有害である。


『なぜ日本は原発を止められないのか?』(青木美希,文藝春秋)


 → あの吉田所長をして「東日本壊滅」を覚悟させた福島原発の過酷事故を経ても猶、
   原発広告と安全神話は垂れ流され原子力研究者はカネのため原発擁護を続ける。。
   (この本に風力とコージェネ、V2Hにより脱原発という具体策が欠けているのが残念)


『美味しいサンマはなぜ消えたのか?』(川本 大吾,文藝春秋)


 → 中国漁船のような一つの要因だけに偏らないバランスの取れた新刊、
   ノルウェー漁業や漁獲枠に言及しているのは良いが
   温暖化の影響は今後研究で新事実が判明してゆくだろう。


『老けない最強食』(笹井恵里子,文藝春秋)


 → 「老ける肉」「老けない肉」ランキングが興味深い、
    巷の極端な健康関連本と違い概ね良識的な内容である。


『インドの食卓: そこに「カレー」はない』(笠井亮平,早川書房)


 → 最後にこちら。軽めの読み物ではあるが、
   いま日本の外食企業がインド進出に挑戦している様子もレポートされている。

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