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『週刊東洋経済』4月6日号 - 日本のTFP低迷の「犯人」は安倍、全要素生産性の伸びが5分の1に

2019-04-05 | 『週刊 東洋経済』より
今週の週刊東洋経済の「FACTFULNESS」特集は今年1、2を争う失態だろう。
先週、「本当に賢い者は胡散臭いと見ている筈」と書いたが、
完全に予想通りの内容で典型的な「便乗」特集だった。

この特集を熱心に読む人間は明らかに「賢い人」ではなく、
「社会保障で破綻しない」など当たり前の話だ。
登場している本川氏は分析にバイアスが少なくない論者で
(世代的特徴なのか、日本の現状に肯定的な論調が非常に多い)
だから経済誌に取り上げられることが少ないのである。

日本でファクトフルネスの事例を探すなら、
老齢年金は経済にマイナスの影響を与える」や
病院や医療費が増えても寿命や健康度は改善しない」あたりだろう。

次週のダイヤモンドの統計特集の方がより的確で、
人を騙す数字の詐術を暴く内容になるものと思われる。


元日銀の早川英男氏の巻頭コラムがメイン特集より遥かに重要であり、
アベノミクスで矢張り潜在成長率が落ちていること、
高齢者や女性の労働投入は増えたがTFP(全要素生産性)の上昇率が
アベノミクス前は1.0%だったのが0.2%に急減している
事実が分かる。

今週のダイヤモンド誌でも大和総研の神田慶司氏が
日本の2014〜18年の1人当たりGDP成長率が
平均たった年0.4%でしかない
惨状を指摘している。
こちらの方が遥かに重要な「ファクト」である。

『週刊東洋経済』2019年4/6号 (FACTFULNESS 日本版 ~なぜ賢い人ほど間違うのか?~)


「深層レポート」では復興バブルにたかった悪質業者を
厳しく批判する良い記事もあったので非常に残念。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドのスタートアップ特集の方が東洋経済よりはっきりと良かった。
ただ、「あのアメリカですら低成長で開業率が低下している苦い現実」にも
「スタートアップで日本の成長率は改善しない」点にも触れられていなかったが。。

「100億円ほどの規模でも上場できる」日本の問題点も指摘されており、
(だから構造的に「上場ゴール」の温床となっているのだ)素晴らしい。
ユニコーンが少ない最大の理由は経営者にあると思うのだが。

『週刊ダイヤモンド』2019年 4/6号 (スタートアップ4.0 第4次ベンチャーブームは「本物」か?)


上でも触れた大和総研の神田氏の分析は26頁である。
これだけ無惨に1人当たりGDP成長が低落するのだから、
スタートアップバブルが日本経済を復活させることはあり得ない。
女性就業率を引き上げる厳しい北欧型の積極的労働市場政策の方が重要だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

エコノミストは働き方改革法特集は予想通りだった。
「表紙の印象とは逆に効果は極小なのでは??」と書いたが、
日本経済が成長率でも1人当たりGDPでも労働生産性でも
労働規制の遥かに厳しいドイツに大敗している事実を直視すべきである。

また、ワークライフバランスの小室社長は矢張りマクロ経済政策に疎い。
日本より遥かに多様性のあるシンガポールや香港の低出生率すら理解しておらず、
しかも男性の育児参加に固執する日本特有のジェンダーバイアスに囚われている。
これ迄の功績が大きいだけに政策への理解の乏しさが残念だ。

経済パフォーマンスで日本に「完勝」しているスウェーデン女性の
労働参加率の高さや家事育児の時間の短さ、そして高負担を直視しない限り、
(ジェンダーに囚われており税負担の低い日本女性と正反対である)
いつまでも自らの誤謬を認識できないであろう。
……しかもスウェーデン女性の多くは日本で言う「非正規公務員」なのだ。

『週刊エコノミスト』2019年 4/9号


他にはエネルギー戦略研究所の山家公雄所長の寄稿が素晴らしい。
矢張り日本の再生可能エネルギー普及の壁となっているのは
「不合理な先着優先」である。(実態は「電力大手の自社収益優先」だろう)
今の自民党政権で「中立」の送電運用などあり得ない。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次回もダイヤモンドに注目、今週の東洋経済のファクトフルネスより期待できる。

▽ 勤労統計・売り手市場・キャッシュレス等、タイムリーなポイントを押さえている!

『週刊ダイヤモンド』2019年4/13号


▽ 「2018」に数字を変えても気付かなそうな東洋経済

『週刊東洋経済』2019年4/13号 (AI時代に食える仕事 食えない仕事)


▽ 我が道を行くエコノミスト特集、「令和」記事が流石に俊速!

『週刊エコノミスト』2019年 4/16号

個人的には星野さんのインタビューの方が読みたい。
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