2月末から3月頭にかけて公演2本の怒涛の日々が終わり、冷えたり緩んだりしながら徐々に春が溜まってくる。溜まると言ったのは、木の芽花の芽をみていると日に日に膨らんでいくのがそう見えるから。春は命が張るのでハルなのだと聞いたことがある。芽吹いて咲いて実って冬枯れる。周期が巡ってくる。それでもうすぐ桜も咲く。
80年生きるとして四季に例えると0~20代が春、20~40代が夏、40~60代が秋、60~80代が冬になるなとぼんやり考えていた。その季節がどういう特徴をもっているか、四季を生きることに重ねると、その時期どういう処し方をすればいいかのヒントがあるように思う。季節の移りに触れないでぞんざいに過ごすと見落とす。自分もただ移りのなかに発生した移りの途中であると。定点にあるように錯覚する。そんなことは生まれてこの方一度もないことだった。
玄関のばらの新芽が動きだした。出たての葉が赤いのはなぜか。クロッカスの球根も芽ネギみたいな細い芽をたくさん出したところから青いつぼみを次々と咲かせ、におい菫も開花、嗅ぎたくて買ったニオイ椿はまだつぼみ。伊豆菫と、か細くて冬を越したのかどうか気がかりだった日本オダマキもちゃんと葉が出てきた。菫もオダマキも西洋のものは力強くて花も派手。異国の地で育つことのできるくらいだからそうなのか。紙細工のような密かさには魅入る。でも重たいフレンチローズにも魅了される。先日画家宅で見せてもらった白い春蘭がとても美しかった。こればっかりは胡蝶蘭がただのにぎやかしではないかと思えた程。
春はやっぱり花の話題が多い。
花粉症の改善に効果があると聞いて、数ヶ月間カスピ海ヨーグルトを母から譲り受け、培養し食べ続けてみた。レモンを漬けた蜂蜜をかけて食べるのが気に入っている。しかしどうも効果は感じられず、結局今年もアレグラ頼みとなる。昨年まで処方箋がないともらえない薬だったが、今年から市販薬になり、耳鼻科で待たされずドラッグストアで買えるので助かる。猫たちはそろそろ冬毛が抜けはじめる頃。
隣からやや花の咲いた菜の花をもらった。さっと茹でる。すり鉢でピーナツを荒くひいて和える。
3本198円は高いと思いながらホワイトアスパラを見つけて買ってしまう。オーランディーズソースで食べてみたくて黄身やバターで作ってみたが、ごまドレッシングかマヨネーズが勝る気がした。
寒い間常に飲んでいた甘酒もちょっと重たく感じるようになった。この冬夫はそれまであまり好まなかった粕汁を好きになってくれた。
酒粕常備生活に別れを告げ、春キャベツ新じゃがイチゴ。練乳って素晴らしいと思う春。