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流出雑記 

2012/10/14

2012年10月15日 | Weblog

午後、夕飯の買い物のときカゴに森永のミルクキャラメルを入れた。

昨夜見た赤目四十八瀧心中未遂という映画のなかでヒロインの寺島しのぶが森永のミルクキャラメルを食べるシーンがあった。

遠足の度に支給されていた菓子だから味を覚えているけれど、あの黄色い箱を持っているというのをもう一度やってみたくなったのだ。 お会計をして肉や野菜を袋に入れ、キャラメルはポケットに入れて帰り道に開けた。 口のなかでの滞留時間3分くらいで、気付けばキャラメル自体はなくなっているが、バターと砂糖の甘いにおいだけ結構しつこく鼻の奥に引っかかっている。それで吸う息も吐く息も甘い。

夕方仕事に向かう大阪方面行きJR、2人がけの椅子で私が座っている通路側の真横に立った中年サラリーマンはやってきたときから何か呟いていた。横目で見る限りごく普通のサラリーマンだが、呟きに耳をすますと 「しねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしねしね… 」 と誰に向けてでもなく独り言のように、一瞬聞き違いかと思ったが、やっぱり確かにそう言っている。  まずい人が傍に来てしまった。本を読むふりをして横目で動向に気をつける。スポーツ新聞を広げて読んでいる格好で 「おまえもおまえもおまえもおまえもしねしねしねしね…」と言い続ける。

吊り革にぶら下がって斜めに立ってみたり、暴れたりしないけれど小学生のように落ちつきがない。酒臭くないので酔っているわけでもなさそうな中年男性の自暴自棄。 周囲の人もちょっと警戒した様子になっている。 サラリーマンがスーツのポケットから何かを取り出す仕草をした。まさかポケットナイフじゃなかろうなこんなところでうっかり刺されるのはごめんだと、本をしまってすぐ逃げられるように手を空けておいた。京都から私が降りる高槻までは停車駅がなく、駅でもないのに立つと何か奴の気に障るかも知れないと思ったのと、わりと混んでいて動きにくかった。高槻までは約10分。ポケットから出てきたのはレシートくらいのしわしわの紙切れで、何か書いてあるものを見てまたポケットに仕舞った。

スーツの中で化膿している中年サラリーマンは、家に着いてスーツを脱いでひと風呂浴びたら少しさっぱりした気持ちになったりするんだろうか。 帰る家には誰か待っているんだろうか。

 次は高槻~というアナウンスが聞こえた。降りる客の流れに乗って席を立った。私が座っていた席にサラリーマンは座った。その横に座っていた青年は眠りこけていた。