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流出雑記 

停電の日

2011年01月16日 | Weblog
夕方、昨夜炊いたぜんざいをおやつに食べようと思って、トースターで餅を焼いていたらブレーカーが落ちた。
我が家の一階は冬場、暖房器具を使いながら台所で電子レンジや電気ケトルを使うとよく落ちるので、またかとレバーを上げに行った。しかしブレーカーのレバーは落ちていなかった。でも電気は消えている。
あんまりしょっちゅう落ちるものだから器具や線がいたんでしまったのかも知れない。何度か上げ下げしてみたが明かりはつかない。
時刻は4時半をまわっていて、外は雪景色。このまま夜が来るのは困るので、とりあえず関電に電話する。深夜帯、休日サービスセンターにつながり、2時間以内に点検に行くが故障していたら今日は直せないかも知れないと言われた。
二階の電気は生きていたがエアコンだけが動かなかった。
一階のパネルヒータや座椅子を二階に上げて、どんどん冷えてくる暗い部屋から避難する。
玄関と台所のそばのテーブルにキャンドルを置き、冷えたのでコーヒーを入れようと久々にやかんで湯を沸かす。電気ケトルだと2分ばかりで沸くのに、コンロだとこれくらい時間がかかるのか、と青い火の上の黄色いやかんを見ながら湯が沸くのを待つ。ちょっとした非常事態に見舞われたときのいつもと違う楽しさと、今日復旧しなかったら困るという不安が混ざる。
暗い手元をキャンドルで照らしながらインスタントコーヒーの粉をカップに入れて沸いた湯を注ぐ。
こういう状況下にはインスタントコーヒーが合うなと思う。
コーヒーを二階に持って上がり、助けがくるまで絵を描いて待つ。

一時間ほどで雪のなか関電の人が来てくれた。
大元のブレーカーの中の器具が疲労してだめになっていたそうで、ネジを外して何かを取り替えるとパッといつもの部屋が現れた。

それからいつものように炊飯器でごはんを炊き、ケトルで湯を沸かす。タジン鍋で鶏を蒸し、味噌汁を作り暖かい部屋でテレビを見ながら夕食をとり、食後に抹茶のパウンドケーキとフレーバーティーを飲んだ。
さっきまで今夜は鍋で米を炊くかと思っていたのに。

便利な道具の上に整った生活があり、ない、使えないとなったときの無能さ、無知はちょっと怖いほどだった。
如何に生活が道具に寄りかかっているかをこういうことがないとなかなか振り返れなくなっている。生きていることと切っても切れないほど浸透しているこの当たり前の快適さと便利さ。

夜、ミヒャエル・ハネケの『セブンス コンチネント』を見る。
いくつか見たミヒャエル・ハネケ監督作品の中でだんとつに好きだった。昨日見た『ピアニスト』は嫌いではなかったが、もう一度見たいとは思わなかった。『セブンス コンチネント』はまた見たくなる日が来るだろうと思う。
ある家族の一家心中までの話し。実話が元になっているらしい。
変化、それも劇的なものでなく、ゆるやかに壊れていくような時間を紡ぐ編集とカメラの視線、繰り返される日常動作からその完全な破綻までの捉えかたが素晴らしかった。
夫婦と一人娘がそれまで生活していた家にあったもの、衣類から文房具から家財道具一式をそれぞれ黙々と引き裂き、破り捨て、叩き壊してゆくシーンがあるのだが、今日突然の停電に見舞われたことを思いながら見ていた。
私は生活を支える機能の不全にただ困惑し、復旧を待つばかりだったが、この人たちは生活の道具を、それに支えられ、くくりつけられている日々の繰り返しを完全に断ち切り捨て去る決意なのだと。
最後には全財産を紙屑同様に便所に流し、娘が餌をやっていた熱帯魚の水槽まで父親が叩き割ってしまう。
壊されたものの残骸にまみれて熱帯魚が跳ねて娘は泣き叫んだ。
数日後、家のなかで三人は遺体で発見される。

映画を見終わって、明かりを付けて風呂をお湯で満たす。
歯ブラシに歯磨き粉を付けて歯を磨く。
炭のシャンプーで地肌を丹念に洗いリンスをする。
石鹸で体を洗う。
細かい泡を立てて洗顔する。
洗濯機で洗ったバスタオルで体と髪を拭く。
化粧水、美容液、クリームを順番につける。
ボディクリームを塗る。
ドライヤーで髪を乾かす。
この文章を打ち終わったら、寝室をエアコンで温め、湯沸かし器のお湯を入れた湯たんぽを布団のなかに仕込んで目覚ましをかけて寝る。

今年の目標

2011年01月16日 | Weblog
無理のない早起きをすること
映画をたくさん見ること(週4本くらい)
魚料理のレパートリーを増やすこと
レ ブレドオルくらいおいしいパンを焼けるようになること
油絵をはじめること
もっと描くこと
季節の花を欠かさないこと
体をばらばらにすること
Apartment of Angels(スクラップブック)を作りあげること
相模くんと作品を作ること
インプロセッションの場をもつこと
踊ること
動くこと
しゃべること
露骨に不機嫌な顔をしないこと
人に会うこと
言葉を書くこと
必要なものを読むこと
せめて3時までには寝る意識でいること