goo blog サービス終了のお知らせ 

2006~2022 備忘録

思いついたことを書き残す。

メモ001 戦後の住宅生産の歴史

2021年09月28日 | ひとりごと
日本の木造を主体とする住宅は技術者であり技能者であった「大工」職によって室町期に完成したグリッドプランで作られてきた。この辺が組積造(石造やレンガ造を主体とする西欧の建築家と技能者との間の大きな違いと思われる)
この間洗練を重ねてきた技術体系があっという間に大壁構造、つまり柱梁が見えない工法により2x4も鉄骨プレハブも見分けのつかない状況に飲み込まれていった。

新建材と言われる合板建材や石膏ボードの登場も後押しをしたのであろう。大工もこれらの安直なものにすっかり慣らされてしまい、住宅メーカーの下請けの大工はかんなものみもいらないとまで言われている。(誤解があったら失礼)
大工は可能性からすればデザイナーにもなり得たし、とにかく建築に直接触れる仕事をしているリアリティーは当然設計図を書いて現場でチェックしているだけの建築士では到底かなわない世界があったと思う。

我々設計者は既製品に頼らずオリジナルはものを求めている。ここで障害となるのが優れた職人と出会う機会が少なくなってしまったことだ。
先般も少し複雑な構造の建築を見積もりに出したらプレカットができないから見積もれないという反応があった。こちらははなからプレカットを望んではいない。
そもそも単純な架構にすれば全体コストが下がるのは目に見えている。しかしコストダウンを目的に設計を行っているわけではない立場からすれば主客転倒である。
建築技能者の再興について建設業者側だけでは済まされない問題である。

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。